表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/31

第17話:追跡の果てに

荒野を進むデミウルゴス一行。案内役として加わったゼルクスは、終始落ち着いた様子で先導していた。


「おい、ゼルクス。目的地までどのくらいなんだ?」デミウルゴスが気だるそうに尋ねる。


「あと少しだ。もうすぐ谷に着く。この先にローブの男が接触していると思われる痕跡がある」ゼルクスは振り返らずに答える。


リックが不満げに呟いた。「本当に信じていいのかよ、この男。どうも信用できない感じがするんだが」


「まあまあ、そう言うなよ。案内役がいなきゃ、俺たちだって何も見つからないかもしれないんだぞ」デミウルゴスは軽く笑いながら肩をすくめた。


「でも、彼の行動にはまだ謎が多いです。特に、彼がどうしてここまで詳しいのか……」アリシアが不安そうに口を挟む。


ゼルクスはそれを聞きながらも冷静に返す。「詳しい理由?それは簡単だ。私は長い間、ローブの男たちが引き起こしてきた混乱を追い続けているからだ。この土地にどのような痕跡が残っているのか、調べるのが私の役目だ」


「長い間って、どれくらいのことを言ってるんだ?」デミウルゴスが鋭く問い詰めると、ゼルクスは少しだけ微笑を浮かべた。


「君の世界が創造されてからのほぼ全てだと言えば分かるか?」


リックが驚いて声を上げる。「おいおい、この世界ができてからずっと?それってどういうことだよ!」


「気にするな。おそらく、こいつは俺が作った何かに関係してるんだろう。それ以上は詮索するだけ無駄だ」デミウルゴスが淡々と答えると、ゼルクスは無言で頷いた。


「主様、何かが近づいています」ノクスが突然警告を発した。


「敵か?」デミウルゴスが周囲を見渡すと、ゼルクスが低い声で言った。「いや、まだ分からない。しかし、この先の谷は危険だ。恐らくローブの男が仕掛けた罠がある」


「罠か。面倒くさいな」デミウルゴスは頭を掻きながら、谷の方角を指さした。「いいだろう、どんな罠か見せてもらおうじゃないか」


一行が谷に足を踏み入れると、周囲の空気が変わった。奇妙な音が風に乗り、薄暗い霧が漂い始める。


「おい、この霧……ただの霧じゃねえな」リックが剣を抜きながら辺りを見回す。


「幻覚を引き起こす魔法だな。この霧に長くいると、お前らの頭がおかしくなるぞ」デミウルゴスが軽く指を鳴らすと、魔法陣が展開し、一行を包み込む結界が現れた。「これで大丈夫だ。さあ、進むぞ」


「君の力には感心する。だが、この先ではさらに厄介な仕掛けが待っているだろう」ゼルクスが前を歩きながら言うと、デミウルゴスは肩をすくめた。


「厄介な仕掛けほど、壊しがいがあるってもんだよ」


奥へ進むと、巨大な岩で囲まれた空間にたどり着いた。その中心には奇妙な黒い球体が浮かんでおり、そこから闇のような魔力が漏れ出している。


「これは……?」アリシアが恐る恐る尋ねると、ゼルクスが冷静に答えた。「ローブの男たちが作り出した転移装置だ。この球体を使えば、他の場所へ瞬時に移動できる」


「つまり、ここは奴らの通り道か」デミウルゴスは球体を睨みつけながら言った。「じゃあ、この装置を壊せば奴らを追い詰められるってことだな」


ゼルクスは少し間を置いてから返す。「そうだ。ただし、この装置を壊せば、ここにある魔力が暴走し、大きな被害をもたらす可能性がある。それでも壊すか?」


「もちろんだ。被害が出る前に俺がどうにかする」デミウルゴスは片手を上げ、魔法陣を展開し始めた。「お前らは下がってろ。少し時間がかかる」


「分かった!ここは俺たちが守る!」リックが剣を構え、周囲を警戒する。


その時、霧の中から無数の影が現れた。それはローブの男たちが操る魔法生物だった。


「出たな……また面倒な奴らだ!」リックが叫ぶと、アリシアが弓を構えた。「私も行きます!」


ゼルクスは剣を抜き、一言だけ呟いた。「力を合わせよう。ここを突破するぞ」


デミウルゴスは魔法陣に集中しながら言った。「おい、絶対にここを守れよ。俺がこいつを壊せば、全部終わるからな!」


戦闘が激化する中、デミウルゴスの魔法陣が光を放ち始めた。「よし、準備は整った。これで終わりだ!」


彼が魔法を発動させると、黒い球体は爆発的な光を放ちながら消滅し、周囲の影も次々と消え去った。


「やったか?」リックが剣を下ろしながら呟くと、デミウルゴスが疲れた様子で言った。「まあな。これで奴らの拠点は少しは混乱するだろう」


ゼルクスが静かに言葉を続けた。「見事だ。だが、これで全てが終わったわけではない。ローブの男たちはまだ他にも拠点を持っている」


「分かってるよ。こっちの仕事が終わるなんて、最初から思ってない」デミウルゴスは肩を回しながら苦笑した。「次はどこに行くんだ?」


ゼルクスは少し考えてから答えた。「北の山岳地帯だ。そこにも彼らの痕跡がある」


「また移動かよ……本当に面倒だな」デミウルゴスは大きなため息をつきながら、次の目的地を目指して歩き始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ