第14話:森の奥の罠
森への出発
デミウルゴスたちは、村の北にある森の奥へ向かっていた。そこは、ローブの人物が拠点を構えているとされる場所だ。
「北の森か……俺がこの世界を作ったとき、この辺はただの無害な森だったんだけどな」
デミウルゴスが懐かしそうに呟くと、ノクスが警戒した声で応えた。
「主様、今はそうではありません。この森全体に強力な魔力が張り巡らされており、進むたびに気配が濃くなっています」
「罠ってやつだな。めんどくさいけど、行くしかないか」
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森の入り口で
森の入り口は暗く、冷たい霧が漂っていた。太陽の光は木々に遮られ、昼間にも関わらず辺りは薄暗い。
「嫌な感じだな……ここ、本当にただの森なのか?」
リックが剣を握りしめながら呟く。
「これは人工的に作られた魔法結界だな。森全体を罠にして、侵入者を迷わせる仕組みだ」
デミウルゴスは地面を調べながら説明した。
「解除できるんですか?」
アリシアが不安そうに尋ねると、デミウルゴスは軽く笑った。
「解除は簡単だけど、どこかに結界の核があるはずだ。それを壊さないと完全には解除できない」
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森に潜む幻影
森を進む中、一行は奇妙な現象に見舞われた。突然、周囲の景色が歪み、村の風景や亡くなった人々の幻影が現れる。
「母さん……?」
アリシアが目を見開き、幻影に向かって歩き出そうとする。
「待て、アリシア!それは罠だ!」
リックが彼女を引き止めると、その幻影が不気味な笑い声をあげながら消え去った。
「これは精神を揺さぶる魔法か……めんどくさいことしやがるな」
デミウルゴスは舌打ちしながら、手をかざして魔法陣を描いた。
「俺の結界で守ってやるよ。この先もこういうのが続くかもしれないけど、安心して進め」
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結界の核
さらに奥へ進むと、森の中心に奇妙な石碑が立っていた。その表面には魔法陣が刻まれ、黒い魔力が渦を巻いている。
「これが結界の核か」
デミウルゴスは石碑に手をかざし、魔力を吸収し始めた。
「これを壊せば結界が解除される。ただ、ちょっと時間がかかるから、周りの敵を頼むぞ」
その言葉を待っていたかのように、周囲の木々から黒い影が現れた。それはローブの人物が操る魔法生物のようだった。
「行くぞ!守りを固めろ!」
リックが剣を振りかざし、アリシアが弓を構える。
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魔法生物との戦い
黒い影は無数に増殖し、デミウルゴスたちに襲いかかる。リックは剣で影を切り裂き、アリシアは正確な射撃で次々と影を撃ち抜いた。
「多すぎる……これじゃキリがない!」
リックが叫ぶと、ノクスが空から指示を飛ばす。
「頭を潰せば増殖を止められます!中心にいる影を狙ってください!」
アリシアが弓を引き、中心の大きな影に矢を放つ。その矢が命中すると、影たちは一瞬で霧散し、消えていった。
「ふぅ……これで片付いたな」
リックが安堵の息をつく中、デミウルゴスが石碑から手を離した。
「よし、結界は解除した。これで森の罠はなくなったはずだ」
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ローブの人物との再会
結界が解除され、森の奥へ進むと、そこには再びローブの人物が立っていた。
「またお前か。執念深い奴だな」
デミウルゴスが冷ややかに言うと、ローブの人物は笑い声を上げた。
「よくここまで来たな、創造主よ。しかし、ここで終わりだ。お前の存在がこの世界の混乱を生んでいる!」
「お前の方が混乱を広げてるんだろうが」
デミウルゴスは呆れたように肩をすくめた。
「黙れ!」
ローブの人物は強力な魔法を放ち、デミウルゴスたちに襲いかかる。
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戦いの結末
デミウルゴスはその魔法を片手で防ぎ、逆に強力な反撃を放つ。ローブの人物は防御するが、デミウルゴスの圧倒的な力の前に徐々に追い詰められていく。
「これで終わりだ」
デミウルゴスが最後の魔法を放とうとした瞬間、ローブの人物は煙のように姿を消した。
「逃げたか……次は逃がさないぞ」
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次なる目的地
戦いが終わり、デミウルゴスたちは森を抜けた。
「結局、あいつの正体はまだ分からないな」
リックが言うと、デミウルゴスは答えた。
「分からなくてもいいさ。そのうち尻尾を掴む。問題は、次にどこで動きがあるかだ」
ノクスが静かに言った。
「次は東の荒野が怪しいです。あそこに封じられた魔物が活性化し始めている気配があります」
「やれやれ、休む暇もないな」
デミウルゴスは肩を回しながら、次の目的地に向かう準備を始めた。