第11話:封印の遺跡
新たな危機
ゼフィルスが去って数日後。村の平和な日常が戻ったかに見えたが、ノクスが緊張した表情でデミウルゴスに報告に来た。
「主様、大変です。山の向こうにある『封印の遺跡』が活性化しています」
「封印の遺跡?」
アリシアが首をかしげると、リックが険しい顔で説明した。
「あそこは、デミウルゴス様がこの世界を作る過程で失敗した試作品を封印した場所だって聞いてる。誰も近づけないように結界が張られてるんだ」
「正解。でも、結界が崩れてきてるのは想定外だな。面倒なことになりそうだ」
デミウルゴスは頭を掻きながら、重い腰を上げた。
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遺跡への道
デミウルゴスたちは遺跡へ向けて出発した。道中、アリシアが不安そうに尋ねる。
「封印の遺跡には、どんなものが封じられてるんですか?」
デミウルゴスはあくびをしながら答える。
「作ってはみたけど失敗した武器とか、危険な生物とかだな。特に気をつけなきゃいけないのは、『融合獣』ってやつだ。いろんな生物を無理やりくっつけて作ったやつで、制御不能になったから封印した」
「そ、それが出てきたらどうするんだよ!?」
リックが青ざめて叫ぶと、デミウルゴスは肩をすくめた。
「そのときは、適当に対処するさ」
「適当ってお前……」
リックが怒鳴るが、デミウルゴスは気にせずに歩き続けた。
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封印の遺跡
遺跡に到着すると、そこは巨大な石造りの建造物で覆われていた。入り口には古代文字が刻まれており、デミウルゴスがかつて作った結界が光を放っているが、その光は不安定に揺れていた。
「やっぱり、結界が壊れかけてるな。中で何かが動き出してるのかも」
デミウルゴスは手をかざし、結界を調べ始めた。すると、突如として遺跡全体が揺れ始め、中から異様な鳴き声が響いた。
「来たな……準備しろ」
デミウルゴスが冷静に言うと、リックとアリシアは武器を構えた。
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融合獣の襲来
遺跡の入り口から、巨大な融合獣が姿を現した。それは狼の頭、蛇の胴体、そしてコウモリの翼を持ち、異様なほどの魔力を放っていた。
「うわっ、なんだこれ!?」
リックが驚愕する中、融合獣が一気に飛びかかってきた。
「リック、アリシア、下がれ!」
デミウルゴスが指示を飛ばすと同時に、魔法陣を展開し、巨大な火球を融合獣に向けて放った。
火球は融合獣に命中したが、全くダメージを与えた様子はない。
「くそっ、魔法耐性もあるのかよ。厄介だな」
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作戦会議
融合獣が攻撃を繰り返す中、デミウルゴスたちは一時的に退避した。
「どうするんだよ、あんな化け物!」
リックが焦りながら言うと、デミウルゴスは冷静に答えた。
「融合獣は複数の生物を無理やりくっつけたものだから、それぞれの部位には弱点があるはずだ。まずは狼の頭を狙え。そこが一番重要な部位だ」
「私たちが攻撃して、その隙にデミウルゴス様が仕留める、という作戦ですね!」
アリシアが提案すると、デミウルゴスは頷いた。
「そんな感じだな。まあ、俺に任せとけ」
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反撃
再び融合獣の前に立ちふさがったデミウルゴスたち。アリシアが弓矢を放ち、リックが剣で牽制する。融合獣は二人に気を取られ、動きが鈍った。
「今だ!」
デミウルゴスは全力で魔力を練り、巨大な雷を融合獣の頭に落とした。
雷が命中し、融合獣の動きが完全に止まる。そしてその体が崩れ落ち、動かなくなった。
「ふぅ……これで終わりか」
デミウルゴスは疲れた様子で呟いた。
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遺跡の奥に
融合獣を倒した後、デミウルゴスたちは遺跡の奥へと進んだ。そこには、かつて封印した他の試作品が眠る部屋があった。しかし、いくつかの封印が既に解けている形跡がある。
「これは……誰かが意図的に封印を解こうとしてる?」
ノクスが警戒心を高めながら言う。
「そうかもな。ここで一旦封印を修復するけど、誰がこんなことをしてるのか調べる必要があるな」
デミウルゴスは手をかざし、封印を再び強化し始めた。
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