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第10話:天界からの使者

突然の訪問者


巨人を倒した翌日、村は再び平穏を取り戻していた。デミウルゴスは村外れの草原に腰を下ろし、昼寝を決め込んでいた。


「まーた怠けてるのか」

リックが呆れた顔で声をかける。


「疲れたんだから、少し休ませろよ。昨日は頑張っただろ?」

デミウルゴスが欠伸をしながら答えると、肩に止まったノクスが鋭い声で警告を発した。


「主様、空から強い魔力の波動が接近しています。天界から誰かが来たようです」


「天界? まさか……」

デミウルゴスが空を見上げると、そこには白い光に包まれた人影が降りてきていた。



---


天界の使者の到着


白い翼を広げた人物は地面に降り立ち、村の人々を見回した後、デミウルゴスの前に進み出た。


「久しぶりだな、デミウルゴス」


その声に、デミウルゴスは顔をしかめた。

「……お前はゼフィルスか。最高神の腰巾着が何しに来たんだ?」


ゼフィルスは冷たい目でデミウルゴスを見据えた。彼の装束は純白で、いかにも神聖なオーラを漂わせている。


「私は命を受けてここに来た。この世界の現状を確認し、必要であれば君を連れ戻すためだ」


「連れ戻す?面倒くさいこと言うなよ。俺はもう好きに暮らしてるんだ。天界に帰るつもりなんてない」



---


創造主の責任


ゼフィルスはため息をつきながら言葉を続けた。

「君がこの世界に放置した問題が、深刻化している。災厄の蛇に続き、巨人が目覚めた。それ以外にも、この世界には君の未完成な創造物が数多く眠っている」


「知ってるよ。でも、それがどうしたって言うんだ?俺はもう創造主なんて肩書きは捨てたんだ」


ゼフィルスは鋭い目で睨みつける。

「君が捨てたとしても、この世界は君が創り出したものだ。責任を果たすのは君しかいない!」


その言葉に、デミウルゴスは不機嫌そうに頭を掻いた。

「責任、責任ってうるさいな。俺はただの墜ちた奴だって言ってるだろ。勝手に期待すんなよ」



---


村人たちの反応


そのやり取りを遠巻きに見ていた村人たちの間で、不安の声が上がり始めた。


「デミウルゴス様、本当に天界から落とされた創造主だったのか……」

「でも、彼がいなければ蛇も巨人も倒せなかったし……」


アリシアが心配そうにリックに耳打ちする。

「もしデミウルゴス様が連れ戻されたら、私たちの村はどうなるの?」


リックは険しい表情で言った。

「村が危険な状況に陥る可能性は高いな……けど、彼が天界に戻るなんて思えない。あいつ、面倒くさがりだからな」



---


ゼフィルスの提案


ゼフィルスは鋭い口調で言った。

「いいだろう。君が天界に戻りたくないのなら、一つだけ提案がある」


「提案?」

デミウルゴスが眉を上げると、ゼフィルスは続けた。


「この世界の危機を完全に解消することだ。すべての問題を解決すれば、君を自由にしてやる。それができなければ、強制的に連れ戻す」


「……全部解決しろって?面倒くさいにも程があるな」


ゼフィルスは冷たく言い放った。

「その代わり、君が天界に戻れば、それ以上は問わない。さあ、どちらを選ぶ?」



---


デミウルゴスの決断


デミウルゴスは少しの間、黙って考え込んでいた。そして、ようやく口を開いた。


「俺は戻らない。好きに生きたいんだよ。でも、放っておくとこの村が困るのも事実だ。仕方ない……できる範囲でやるさ」


「その言葉を忘れるな」

ゼフィルスは満足げに頷き、翼を広げた。


「近いうちに再び確認しに来る。それまでに成果を見せてもらおう」


そう言い残すと、ゼフィルスは光に包まれ、再び天に帰っていった。



---


村での決意


ゼフィルスが去った後、村人たちがデミウルゴスのもとに集まった。


「デミウルゴス様、村のために戦ってくださるんですね!」

アリシアが感激した表情で言うと、デミウルゴスは肩をすくめた。


「勘違いするなよ。俺が動くのは、村が滅んだら面倒なことになるからだ。ただ、それだけだ」


リックは笑いながら肩を叩いた。

「まあ、何だかんだ言って、あんたは頼りになるよ」


「うるさいな。俺の自由時間をもっと増やしてくれたら、本気で感謝するんだけどな」



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