第五話 新たな街と仲間
ゴーレムを倒し、ダンジョンをクリアした俺はエシウスへ向かった。街の周りは緑豊かな森と川が流れ、穏やかな風景が広がっていた。これまでの冒険で得た経験と新たなスキルに自信を持ちつつ、エシウスの街にたどり着いた。
「ここがエシウスか」
エシウスは冒険者たちで賑わっており、武器や防具の店が軒を連ねていた。俺のいた街とは大違いだ。街中には多くの露店が立ち並び、商人たちが声高に商品を売り込んでいる。俺はまず、装備を整えるために武器屋と防具屋を巡ることにした。
「いらっしゃいませ!お探しの武器はありますか?」
武器屋の主人が俺に声をかけてきた。店内には剣、斧、槍、弓など、様々な武器が並んでいる。その中でも特に目を引いたのは、壁に掛けられた光輝く魔剣だった。
「この魔剣は何か特別な力でも宿っているのか?」
「ええ、これは『ルーンブレード』と言い、古代の魔力を宿した剣です。使用者の魔力を増幅させる効果がありますが、その分、扱いは難しいですよ」
「そうか。ありがとう、少し考えてみる」
いつか、この勇者の剣がどれだけ強いのか、店に置いてある剣と比べてみたいな。今はそんな剣に金を使いたくないから比べないけど。
俺は武器屋を後にし、防具屋へ向かった。途中、露店で売られているポーションや薬草も購入し、準備を整えていた。防具屋に行こうと思ったその時、路地裏に佇む一人の美少女が目に留まった。
その美少女はローブを纏い、長い金髪が風に揺れていた。彼女の目は青く、まるで深い湖のような輝きを放っている。彼女はローブの下に黒いミニスカートを着ており、動きやすさと可愛らしさを兼ね備えた服装だった。
「な、何か用でも?」
俺はそう聞かれてはっとする。見てたのバレたか....??
「あ、いや、何でもないよ」
「そうですか。ならこれで....」
ちょっと待てよ。このローブは多分、魔法使いのローブだ。しかも美少女。俺が探し求めていた仲間にピッタリだ。
「あのっ!! 君ってもしかして魔法使い? 魔法使いなら一緒にパーティーを組みたいんだけど……」
「魔法使いですけど、急に?」
彼女は驚いた表情をしていた。
「一緒にパーティーを組んでほしいんだが......」
「え......急に? でも」
話が急すぎて、戸惑っているのだろう。しかし俺はこんなチャンスを逃すわけにはいかない。俺は、圧の力で交渉する。
「頼む。一緒に組もう。お願いだ」
周りから見たら完全に不審者だな。でもこうするしかないんだ。そして、俺がゴリ押していたら、
「こんな私でもよければ、一緒にパーティーを組みましょう」
彼女はにっこりと笑い、そういった。彼女の笑った姿はとても可憐だった。
「でも、私、魔法使いなのですが、まだギルドに登録してなくて....」
「大丈夫だ。俺もまだ登録してないんだ。一緒に登録しにいこう」
誘ってきた方がギルドに登録してないなんて、ますます疑われるだろうと思ったが、そうでもなかった。こうして俺たちは共に、ギルドに登録するために、ギルド本拠地へ向かうことになった。
冒険者ギルドは大きな建物で、多くの冒険者たちが情報を交換したり、クエストを受けたりしていた。俺たちは受付に向かい、ギルドの職員に話しかけた。
「こんにちは。新しい冒険者を登録したいのですが」
「もちろんです。こちらにお名前と職業をお願いします」
俺は名前を記入し、職業を「勇者」として登録した。
「あなた様が勇者ですね。噂では聞いていましたが、本当に復活したとは」
噂がここまで広まってるとは....もう世界中に広まってんじゃね?? 隣では美少女が絶句している。
次に、彼女が名前を記入し、職業を「魔法使い」として登録した時、
「リ、リリス!? あの下人が!? 下人がギルドに登録できるわけないでしょう!!」
なるほど。ギルドに行けなかったのはそれが理由か。こんな美少女なのにギルドに入れないなんてこの世の中、どうなってんだよ。ここは、俺の力で、
「何を言ってるんだ? 彼女はこの勇者の仲間だぞ? 勇者の仲間に向かって下人というのか?」
「し、しかし....」
俺はもっと圧をかけて睨む。すると、
「わかりました。勇者様とのことなら....」
これで無事? 登録が完了した。
「ありがとうございます。改めてですけど、私、リリスって言います。あなたの助けがなければ、ここに来ることもできなかったわ」
「リリスか。俺はカイ。俺の目標は魔王を倒すことなんだ。魔王を倒すまで、一緒に冒険しないか?」
リリスは驚いたように目を見開き、しかしすぐに微笑んだ。
「ぜひ、お願いしたいところなのですが、良いのですか? こんな下人が仲間なんて....」
「何言ってんだよ。もうリリスはもう下人なんかじゃない。仲間だ。もう下人じゃないんだ。俺が仲間っていったら、仲間だ!!」
リリスは驚いた表情をしている。というか俺の言葉に感動している。
「ありがとう。こんなこと言われたの初めてで、すごく嬉しい。私、全力であなたの力になります!!」
リリスは頬を赤く染めながらそう言った。
「応!! 後、もう仲間だから敬語なんかじゃなくて、ため口で良いぞ」
まだまだ、会ったばかりで会話がぎこちないが、リリスは俺の仲間として加わることになった。
俺たちは冒険者ギルドを後にし、防具屋へ向かった。リリスも新しいローブや魔法の道具を揃える必要があった。
「いらっしゃいませ。どんな防具をお探しですか?」
防具屋の主人が声をかけてきた。俺は自分の体に合った鎧と盾を選び、リリスは魔法の効果を高めるローブとアクセサリーを選び、リリサはずっとローブを見ていた。
「ローブに興味がありますか? このローブは『エレメンタルローブ』と言って、火、水、風、土の四元素の魔力を強化する効果がありますよ」
リリスはそのローブを手に取り、輝く目でそれを見つめていた。
「これにします」
リリスは水のエレメンタルローブを買った。リリスはどうやら水属性の魔法使いらしい。
「何から何まで、おごってくれてありがとう」
「まだまだ金はいっぱいあるから大丈夫だ。じゃあ、これで冒険の準備は整ったな」
俺たちは防具屋を後にし、街を散策しながら次の冒険について話し合った。
「カイ、少し話してもいい?」
リリスが突然、真剣な表情で俺に話しかけた。
「もちろん、何でも話してくれ」
「実は、私の故郷は魔物に襲われて壊滅してしまったの。私はその時、なんとか逃げ延びたけれど……それ以来、強くなりたいと思って冒険者になったの」
彼女の目には涙が浮かんでいた。俺はその痛みを感じ、彼女の決意を理解した。
「だから、一緒に私の故郷の魔物を倒してほしいの」
「そうか。辛かったな。じゃあ、俺と、リリスで故郷の魔物を倒そう」
「カイ……ありがとう。勇者と一緒に戦えることが、とても嬉しいわ」
俺たちはお互いの手を握り、決意を新たにした。この瞬間、俺たちの絆は一層深まった。
翌日、俺たちは冒険の支度をして、ギルドへ向かった。
「ルネス村の魔物討伐。これが例の故郷の魔物退治か?」
「そうよ。これで、村が救える....」
「あぁ、行くぞ。リリサ」
「えぇ」
こうして、人生初めて、パーティーを組んで、魔物を討伐しに向かった。
ヒロイン初登場回、どうだったでしょうか??
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