第三話 勇者(ダンジョンへ向かう)
旅の一番初めの目的地は、魔物たちが頻繁に現れると言われる「黒森の洞窟」だ。俺のいた街は元々、冒険者が少なく、あまり腕が良くなかった。そのためにも、隣街の冒険が盛んである国、『エシウス』へ向かおうとしていたが、行くためにはこの街とエシウスの間にある黒森の洞窟を抜けなければならない。
もちろん、この洞窟を通らなくてもエシウスへ行く手段はある。だが時間がかかってしまうというデメリットがあるのだ。自分の力を知るためにも、俺は黒森の洞窟へ行くことを決意した。
この洞窟は、この洞窟は、初心者から上級者まで多くの冒険者が挑戦している初級ダンジョンとして知られている。まさに、この俺にピッタリのダンジョンだ。
道中、俺は街で得た名声のおかげで、多くの人々から助けを受けた。食事や宿を提供してくれる者、道案内をしてくれる者、そして勇者としてのアドバイスをくれる者たち。彼らの支えが、俺の旅を少しでも楽にしてくれた。
そしてついに、黒森の洞窟の入り口にたどり着いた。洞窟の入り口は暗く、不気味な雰囲気が漂っていた。
洞窟の入り口に立つと、冷たい風が吹き抜け、背筋がぞくりとした。勇気を振り絞り、俺は一歩を踏み出した。洞窟の中は薄暗く、足元には苔が生えて滑りやすい。しばらく進むと、広い空間に出た。
「ここから先が本当のダンジョンか」
この広い空間の先にモンスターが眠っている。いつ出てくるかもわからない。広い空間の奥に階段がつながっていた。階段を降りて、一番近いエリアが第一層となっていて、下へ進むごとに魔物が強くなっていく。もちろん、最下層のボスを倒したらダンジョンスキルと言う、特別スキルを入手できる。
「まずは第一層からだな」
恐る恐る階段を降りていき、第一層の入り口にたどり着いた。
中へ入ると、薄暗い闇の中から、低い猛獣の声が聞こえた。
目を凝らすと、巨大なライオンのような魔物がこちらに向かってくるのが見えた。
「来たか....!」
俺は剣を抜き、構えた。魔物は鋭い牙をむき出しにして襲いかかってきた。俺は冷静にその動きを見極め、素早く反撃した。剣が魔物の体に深く突き刺さり、魔物は苦しそうに倒れ込んだ。
たった一撃。多分、勇者の剣じゃなかったらもっと苦戦していただろう。
「ふぅ…なんとか倒せたか」
俺は汗を拭いながら、周囲を見渡した。第一層はまだまだ続いているようだ。気を引き締めて、さらに
奥へと進んでいく。
俺はその後も続けて7体の魔物を倒した。
「これで第一層の敵はもういないか。こんなに倒してレベルが2しか上がらないなんて」
俺の今のレベルは7だ。おそらく、レベルが上がるにつれて、レベルアップしにくくなるのだろう。
俺は第一層の最後の魔物を倒し、少し休憩を取ることにした。洞窟の中は静まり返り、遠くから水の滴
る音が聞こえるだけだった。体力を回復させるために持ってきた、住民からもらった食べ物を食べ、次の層に備える。
「よし、次は第二層だ」
階段を降りると、空気が一層冷たくなり、薄暗い光がさらに薄れていった。第二層の入り口にたどり着くと、そこには一層目とは異なる雰囲気が漂っていた。
第二層に足を踏み入れると、すぐに異様な気配を感じた。周囲を見渡すと、巨大な蜘蛛の巣が張り巡らされており、その中心には巨大な蜘蛛の魔物が待ち構えていた。
俺は剣を構え、慎重に距離を詰めた。蜘蛛の魔物は鋭い足を振り上げ、毒の滴る牙をむき出しにして襲いかかってきた。俺は素早く身をかわし、反撃の一撃を放った。しかし、蜘蛛の糸で防御されてしまった。
「これは一筋縄ではいかないな。どうせなら、あれを使ってみるか」
俺は、この前習得したスキルを使ってみる。全身の力を一瞬にして刀に集中させる。静寂の中、空気が張り詰める。
「溜め斬り!!」
刀が振り下ろされる瞬間、周囲の空気が震え、閃光が走る。斬撃の軌跡には、まるで稲妻が走るかのような光が残り、敵はその圧倒的な力に呑まれる。斬られた瞬間、衝撃波が周囲に広がり、地面が揺れる。まるで天地が裂けるかのような壮絶な一撃だ。
「「勇者レベルが3アップしました。スキル ガードブレイクを獲得しました。消費魔力は8です」」
お!! レベルアップしたぞ!! なになに?? ガードブレイク?? 名前の感じからすると、防御を壊すってことか。なるほど、、分からん!! まあ後で使ってみるとするか。
俺はそのまま第3層、第4層へと向かった。第三層は、蜘蛛よりも相性が良く、はっきりいって簡単だった。しかし、第4層はというと、、、、
「グォォォォ!!!!」
第一層のトラと姿は同じだった。唯一の違うところは、全身の毛が燃え盛るような炎になっていることだ。
もうこれ完全ボスじゃん.... でもこれ、まだボスじゃないんだな。
相手は俺に突進して、爪で攻撃しようとしてきた。爪は灼熱の刃のように輝いていた。
「溜め斬り!!」
俺はスキルで溜め斬りを繰り出したが、爪を出した手に深く傷がつくだけ。これはちょっと面倒くさいな。
相手は牙を出して、俺に嚙みつこうとしてきた。俺はとっさに、
「ガードブレイク!!!!」
スキルを発動した瞬間、剣に力がみなぎり、相手の防御を貫くように輝いた。剣が魔物の牙に触れると、激しい閃光が走り、魔物の防御が崩れた。
「今だ!!」
俺は全力で剣を振り下ろし、魔物の首筋に深く切り込んだ。魔物は苦しそうに倒れ込み、静かに息を引き取った。
なるほど、ガードブレイクは、敵の防御を打ち破るための強力なスキル。スキルを発動すると、剣に特殊なエネルギーが宿り、そのエネルギーが敵の防御を貫通するって感じか。
つまり、このスキルは、通常の攻撃では突破できない防御力の高い敵に対して効果的ってことか。便利なスキルをゲットしてしまったな。
「ふぅ...これで第4層もクリアだな。たしか、このダンジョンは第5層までだよな。いよいよボスとの戦いか」
俺は汗を拭いながら、次の層へ進む決意を新たにした。ダンジョンの最深部は、これまでとは比べ物にならないぐらい強いだろう。しかし、俺の心には新たなスキルという支えがある。次の層へ向かう足取りは、確かなものだった。
次回、いよいよボス戦です!!
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