一人に一つの魂
「な・・ぜ・・」桐原の体には机の上にあったナイフが刺さっていた。さしたのは言うまでもなく光男であった。「光男・・なぜだ」光男は桐原を見つめこう言った。「こいつがそう望んだのさ」このしゃべり方は光男ではない。「まさか・・」「俺だ」「佐藤・・・武なのか?」まさか、そんな・・「そうだ」俺は言った。「なぜだ・・」「こいつはあんたを止めたがっていたんだ。自分が望むのは復活なんかじゃない。死を受け入れてほしかったのかもしれない」「だがなぜだ、なぜお前の意思がある?」「俺思ったんだ。どんな人間にも魂は一つだけなんだって」「なんだと」「きっと死者蘇生なんて意味がない。したところで俺みたいに人格が戻る。あんたは意味のないことをしていたんだ」「ばかな・・」「あんたの光男はもう二度と戻らない。それを受け入れろ」「そんな・・・」桐原は窓まで歩いていき民衆を見た。「意味のないことで、これほどの人を傷つけたというのか」目に涙を浮かべ桐原は倒れた。そして最後の力を振り絞り「みんな・・・す・・・ま・な・・い」といい絶命した。
こうして長く続いた、日本の人口を減らし続けた法律は一人の青年の手により終止符を打たれた。