空に住まう者達
リンの話
鳥が鳴いている。
木の葉が揺れる。
空が唸る。
地響きが聞こえる。
大人の話し声。
子供の遊ぶ声。
お腹の音が昼を知らせる.....
「うーん..今日はこれにしよっと..
おばさーんこれくださーい!」
「はいよー!まいどあり!!」
賑やかな街の小さなパン屋で活気のある声が聞こえる。パンを買ったのは、「リン」という、街1番元気で、街1番大雑把な、15歳の娘だ。
今日リンは、母親が経営している靴屋の手伝いをしなければならないので、家には、昼頃には帰らないといけなかった。
「バキッバゴ!バリバリバリ!」
リンが家に帰る途中、パンを噛みちぎる。
「やっぱりあの店のこのめちゃくちゃ硬いパンが最高ね。食べてる感じがするわ」
すると、近くのおばさんが
「リン、またそのパンかい?固そうだね...」
「だって食べてる感じがするでしょ?」
私は答えた。
その時、
ゴロゴロゴロ...
空の唸る声が聞こえる
「最近空の様子がおかしいね...今日だけで15回も...もしや..リン...ついてきな...」
突然おばさんは静かに声を荒げ、私の手を強くひいた。
「いや..でもお母さんの手伝いが...!」
「そんなのはいつでもできるさ!」
おばさんがまるで世界が終わってしまう寸前のような顔で、手を引きながらずんずん家の反対方向にある、丘へと私を連れて行く。
その丘からは街を見下ろすことができる。
私が、どうしたの?と尋ねても、気にもとめやしない。
一体どうしたのだろうか。そう思った時にはもう丘についていた。
「ここで何があるの?」
私は不安げに聞いた。
「なにか不穏なエネルギーを感じるのさ....あたしにはわかる.....」
相変わらずおばさんはかおをしかめたままだ。
ゴロゴロ.....
また空が唸る。
ゴロゴロゴロゴロ
また唸る。
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
大きく唸る。
ピカッ!!!!!
その瞬間空は光に包まれ白に染まり、
視界には、何も映らなくなり、
同時に
ピシャッッという音が同時にけたたましく鳴り響いた。
そして、やっと視界が晴れて、見えるようになると、目の前にはおばさんの姿はなく、街の真ん中には大きな雷が落ちており、火事になっていた。
私がその景色を見て、唖然としているとき
ふと、空に目をやると、ゴウゴウという音と一緒に
黒く太く長い、、、
まるで、
黒龍のようなものがうごめいているのが見えた......
リンの話