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奴隷少女とダンジョンを突破するのはダメなのだろうか  作者: 生くっぱ
五章 灼熱慟哭のダンジョン浅層と壊された女戦士
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【第六十七話】情報を求めて

 その日の夜。

 ギルド【ブラックファルコン】の副隊長であったヤマナと、三番手を務めていた橙髪の少女フィオ、そして俺とリーシャンローメイを含めた五人での隠密作戦行動中。


 因みに今回はルクレティアだけ家でお留守番だ。場合に寄っては誰かと共に戻ったり、或いはすぐに動く可能性も考えられる。故に彼女には総合的な準備を頼んでおいた。ダンジョンに出るレベルの物資の補給から、大人数での来客まで。こう言った話なら彼女が最適だろう。


 そして、これまた役割として適任である家の中を放心状態で徘徊していたローメイを回収しメンバーに引き入れた。どうやら多少体力は戻っていたらしい。まぁあれだけの情事の後だ、今も時折下半身を気にする姿が……おっと、今は目の前の事に集中しなければな。


 さて。

 ヤマナ副隊長に促されるままにハーキンスの館へと辿り着いた俺たちは、館からやや距離を取った位置に潜伏していた。何故この位置で、何故ローメイなのかなど語るに値しない。


「で、ここからどうするのよ」

「慌てるな。事が始まれば俺一人で行動する。お前らはここで待っていろ」

「嫌よ! 私も行くわ!」

「なら一人で行って勝手に失敗してろ。俺達は帰るぞ」

「……くっ、分かったわよ」


 気持ちは分かるが今それを汲んでいる場合ではない。さて、手際良く進めてしまおう。


「ローメイ、どうだ?」

「幾つかありますが、近くだとこっちに」

「案内してくれ」

「分かりました」

「ーー?」


 俺たちのやり取りに訝しみつつも後ろに続くヤマナとフィオ。リーシャンローメイは共に魔力探知が使えるが、こう言った隠された物や特殊な何かを探す場合は僅かにローメイに軍配が上がる。そう、俺が今探しているのは【隠された屋敷への入り口】だ。


「ここです」

「成る程、これがそうか」

「何ですかこれは?」

「隠し扉だよ」

「隠し扉ですか?」

「どういう事よ! 説明しなさいよ! うっ……」


 ガシッと、フィオの頭を掴む。


「良い加減にしろ。遠足気分なら今すぐ帰れ」

「ご、ごめんなさい」

「分かったなら良い。質問自体は構わない、言葉に気をつけろ。ヤマナとて、それを我慢している事を忘れるな」

「うっ……」


 フィオを制すると、俺は地面を(まさぐ)った。そしてその土の下に隠されていた扉の存在を看破し、被せられたいた土を払い除ける。そこには何故ここあるのか分からない様な鉄製の何かが存在していた。地面に隠された不可思議な紋様を備えた鉄の塊。それは何か。答えは、恐らく地下からここへ脱出する為の緊急時専用の脱出口だろう。


「こういう権力者の建造物には必ず分かり易い出入り口、分かり難い出入り口、知られると不味い出入り口が存在する」

「成る程、有事の際の脱出用という訳ですね」

「そうだ。そしてここは知られると不味い出入り口に当たる扉だ」

「何故これがここにあると?」

「僕は魔力に敏感なので……」

「な、成る程。それで、どうしてこの扉を選んだのですか?」

「この出入り口からの侵入には見張りが付けられていない可能性が極めて高い。それはこの扉がより発見され辛い位置に隠された、情報漏洩を最も恐れている類の扉だからだ。その上で、それを逆手に取るという訳だ」

「成る程、確かにそれなら……」

「そう、ここから侵入出来たならそれなりに重要な場所まで一気に忍び込める可能性が高い。リスクとリターンを考えるならここがベストだろう」

「アンタ意外と考えてるのね」


 意外、などと乏てくるフィオ。ここは敢えてー


「お前らの必死さは伝わっている。男が一度力を貸すと言ったんだ、やるからには全力で協力するさ。でなければ、お前らの真摯な想いに対して失礼だろうが」

「うぅっ、……悪かったわよ。ご、こめんなさい」

「謝る必要はない」

「……ありがと」


 良い反応だ。さてはツンデレだなこいつ。


「リーシャン、どう見る?」

「この扉の向こう、魔力の気配は、無さそう」

「ローメイ、扉の仕掛けは?」

「複雑な気配はありません。何かしらの方法で閉じられているだけですが、そこまでは分かりません」

「なら開けても問題は無さそうか?」

「多分、何も、起こらない」

「僕もそう思います」

「よし、なら開けてしまうか」


 魔力看破に定評のあるリーシャンローメイのお墨付きを貰い、俺は迷わず解錠のスキルを行使する。すると、ガチャリと、扉の鍵が解放された様に思える鳴り得ない音が聞こえる。


「なっ!?」

「ねぇアンタ、今のは一体何なの?」

「それを聞いてどうする? お前が知りたいのはそんな下らない事か?」

「分かってるわよ! ご、ごめんなさい……」


 さて、これで閉じれなくなった訳でもあるのだが、どうあれ気付かれるまでにはある程度の時間の猶予があるだろう。俺は解錠は出来ても施錠は出来ないからな。閉じれば機能する扉だと助かるのだが、楽観的に期待しない方が良いだろう。急ぎ情報を収集し、痕跡を残さず撤退する。


 今は少しでも鮮度の高い情報が欲しい。


「お前らはもう撤退してろ。この辺りの痕跡を徹底的に取り除いた後にな。リーシャンローメイは二人をうちの家へ招き、そこで待機しておいて貰え」

「分かった、気を付けて」

「無理しないで下さいね、ご主人様」

「頼むわよ、今はアンタだけが頼りなんだから……」

「任せろ」


 さて、やるか。



 *



 ここからは一人だ。


 スキルでこじ開けた扉の内部へと侵入を試みる。扉は一枚扉で大きさは六十センチ四方の蓋で閉じられた地面の【穴】の様な物だ。四角バージョンのマンホールみたいな物だな。


 その扉の先には縄梯子(なわばしご)が付けられており、そのまま三メートルほど地下へと降りていく。そして地面に足が着くと、そこから横穴が始まる。穴の向きは方角的に館を目指す様に進んでいる、概ね正解を引けているとみて間違いあるまい。


 真っ暗闇を手探りで進む事数分。歩幅感からしてそろそろ屋敷の下だろうか。魔力は極力抑えている為気付かれる事は無いだろうが、余り深入りし過ぎない位置で欲しい情報だけ回収してすぐにでも撤退したい。これだけ危ない橋を渡っているのだ、無用なリスクは極力避けなければ。


 と、ここで僅かに声が聞こえる。いよいよだな。


【超集中】、発動。


『にしてもホーキンス様もやる事がエグい』『やめておけ、誰に届くとも知れん無用な発言だ』『でも兄貴も見たでしょ、あの化け物を』『見た所かヤらされたっての』『マジかよ、怖ぇぇ』『マジで怖いくらいの気持ち良さだった。ありゃ名器どころかモンスターマンコだよ。控え目に言ってエグい』『え、そういう怖さっすか? それなら俺も一発やりたくなってきやした』『ハーキンス様に頼めば良いだろうが。そう言うの好きだぞあの人』『言えませんよ恐ろしい』


 情報が断片的だ。誰を指した会話とも分からんな。

 ん?


『兄貴、拙い事になりました』


 これは……、別の奴が混ざったな。三人目か。


『どうした?』『例の女戦士、余興で使い潰すらしいです』『それの何が拙いってんだ』


 例の、女……戦士?

 これはまさか?


『その護衛をウチが担う事になりそうです』『チッ、マジか。どこでやるんだ?』『そこまではまだ』『あの名器の化け物ともお別れか。犯ってみたいなら今のうちって事だ』『恐ろしいですけど、こうなってくると言ってみても良いっすねぇ。よし、この後いってきやす!』『チンコに正直な野朗だ』


 あまり考えたくはない予想だが、恐らく……。


『護衛対象は?』『ハーキンス様と、そのお客人との事です』『全員集めろ、こりゃやべぇ案件になりそうだ。金持ち共のオモリとは、また面倒な役回りになったもんだ』


 今ここに人数が集められると俺も拙いか?

 いや、もう少し確証が得られる情報が欲しい所だな。


 あと少しだけ奥に……!?


『……ぁぁぁぁ』


 なんだ、この声は。


『ぁぁああぁあぁあぁあ』


 まさか、この声の主は……。

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