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奴隷少女とダンジョンを突破するのはダメなのだろうか  作者: 生くっぱ
四章 火炎のダンジョンとドラッグオンナイト
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【第六十五話】新たなる予兆

 目が覚めると、そこは遂に獲得した我が家の自室。隣に寝ているのは謎の液体に塗れたローメイの姿が。せっせと彼女を拭き上げ俺のベッドに寝かせると、その身の上から温かい布団を被せておいた。


 またか、という思いだ。我が事ながら中々に忌々しい。だが今回の事でハッキリした事が一つだけ存在する。


【酒】だ、これが起点となり俺は理性を失うらしい。そこまで分かっているのであれば酒はノータッチ。今の所ルクレティアやリーシャンローメイから酒をせがまれる事もなかった。故に今回は虚を突かれた形となってしまったが、これを踏まえて今後は律していかねば。


「すー、すー、ごひゅんじんしゃま……ぼくがんばりましゅ……」


 俺はと言えば、深い眠りの中でも俺の為で在ろうとするローメイの寝顔を見ながら、毎度の事ながら深い賢者タイムを満喫していた。


 当面の問題は【灼熱のダンジョン】となるだろう。あそこを攻略しなければこの家はやがて魔物に破壊される事となるのだから。それが来年とも明日とも限らないという理由から破格の値段で売られていた物件に住んだのだ。理解した上で納得の値段、文句の言いようもない。


 事実、この家はあの様な金額で買えてはならない程に良く出来ている。部屋に至っては何部屋あるかも分からない。数えていないと言うのもあるが、少なくとも見て直ぐに分かる範囲は逸脱している。十部屋以上なのは確実だ。


 現状持て余している事はそうなのだが、狭い部屋に鮨詰めにされた上で、毎日三人からの奉仕を受け入れると言う生活にも限界があるからな。これはこれで良いだろう。


 まずは攻略するではなく、様子見という形で【灼熱】とやらを体験する必要があるだろうな。一度のチャレンジで、ではなく、長い時間をかけてでも少しずつ攻略を進めていこう。


 今の俺たちなら【A】ランク相当のダンジョンであったとしても、ボス階まではある程度余裕を持って到達出来るのだから。油断さえなければ一階層目で全滅という事もあるまい。


 これで【灼熱】を抜けたのであれば、そこからは少しペースを落としても大丈夫な程には盤石な基盤が出来るだろう。なにせ金も拠点も仲間も充実した状態へ至れるのだから、やはりその攻略は最優先と考えるべきだろう。


【A】ランクの炎熱のダンジョンにて、ボスはライオネルドラゴンなどという中々に規格外の存在が待ち受けていた。【S】ランクともなればあれを軽く超える存在が待ち受けている事は自明の理。必要とあらば誰かと手を組む事すら視野に入れるべきか。


「むにゃむにゃ、ごしゅじんしゃま、もうおなかいっぱいれしゅ……」

「……オイ」


 普通であればご飯の話なのだろうが、今このタイミングでのこの寝言はよろしく無いだろう。ま、悪いのは俺なのだが。



 *



「最近物資の調達などが滞っていたからな。今日はある程度丁寧に揃えておこうと思う。各自足りない物を頭に描いた上でアレコレ指摘してくれると助かる」

「勿論です……けど、もしかしてローメイさんはお留守番ですか?」

「そういう事だ」

「体調不良ですか?」

「いや……体調不良と言えば体調不良か」

「?」


 今朝は三人での朝食となり、ローメイが現れる気配をまるで見せない為、その辺りを訝しまれる事態に。とは言え、こうなる事は目に見えていたのだが。


「ローメイ、昨日は夜伽」

「あ!! まさか!!」

「まさかって何だまさかって」


 大きくあんぐりと開けた口を大袈裟に手で隠すルクレティア。そして「はいはい夜伽夜伽」みたいな余裕の雰囲気を見せるリーシャン。人生経験の差が漫然と出ていて少し面白い。


「立てない程、やられた」

「あの時のご主人様であの威力でしたからね。やはり三人で臨まねば翌日に支障がでそうですね」

「ん?」


 え?

 まさかこいつら俺の性欲の処理を三人掛りでやっていたのは【我が我が】という感じでは無く、【危険の回避】という感じからだったのか?


「前に聞いた、凄いと」

「凄いなんてものではありませんよ。もう何と言うかこう、自分がご主人様の奴隷である事を分からされると言うか、支配下に居る幸せの享受と言うか」

「待て、俺のせいだったのか?」

「まさかそんな! 我々の力不足故の事です! ご主人様はお好きな様に発散頂ければ、それが我々の喜びですので」

「右に同じ」

「……成る程」


 なんてこった。三人が三人で俺に尽くしていたのは一人当たりの負担を減らす為だったと言う事か?


 ならまさかー


「ならば今日からは一人で寝る。誰も俺の寝室にはく」

「それは困ります!」

「ダメ、絶対」

「……オイ」


 何でだよ!



 *



「往来が少し騒がしいな」

「何かあったのでしょうか?」


 買い物を進めている最中、いつもは静かな通りなのだが、どうにも大声で叫んでいる様な声が聞こえる。丁度そちらに用事がある為、ついでに大声の主が何を訴えているのか確認しようかと近くを歩いてみたのだが。


「この人を見ませんでしたか? どんな情報でも良いんです、御協力よろしくお願いします!」

「礼金の用意はあります、情報を下さい!」

「ドルイドの女戦士です、珍しい筈なので見かけていたのなら御記憶にある筈なんです。どうか確認下さい!」


 失せ人探しか。そう言えば先日もギルドの所で似た様な話を聞いたな。流行っているのか? それとも同一人物の捜索なのだろうか。


 彼らの余りの必死さに、俺も一応確認してみるかと部外者ながら似顔絵とやらを見せて貰う事に。


 するとそこにはー


「……あ」

「何かご存知なのですか!!」

「あ、いや、知ってるという程でも無いのだが」

「何でも良いんです、情報を下さい!!」


 ある日の夜、一人でフラっと夜風を浴びに出た時、話し相手になってくれた見知らぬ女戦士、


「隊長が、戻らないんです!!」


 彼女を描いたとしか思えない絵が俺の目に写っていた。

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