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奴隷少女とダンジョンを突破するのはダメなのだろうか  作者: 生くっぱ
四章 火炎のダンジョンとドラッグオンナイト
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【第六十話】連撃、ルクレティアとギーファ

 ブレスに狙われたローメイ、俺が行っても良いが既にリーシャンが今にも飛び出しそうな雰囲気を見せている。なら彼女に任せるか。


「助けにーっ! ……え、成程」


 俺はその場で抱えてくれていたリーシャンを逆に抱えてボールの様に持ち、彼女は俺の掌に足を着く形で構えを取った。意図は汲み取ってくれているらしい。


「任せたぞ」

「勿論」


 そして、力一杯彼女をローメイに向かって遠投する。俺の投げる力に加え彼女の跳躍力が加わり、更にそこに風の魔力による加速が乗る事によってブレスを上回る速度でローメイへと急速接近するリーシャン。彼女は風を操る事でその移動方向さえもコントロールし、ブレスがローメイへと迫る前に彼女を抱えその場から脱出する事に成功する。


 俺とリーシャンがそれぞれ地面へと着地し、再び状況が仕切り直されたというタイミングで、思いもよらぬ声が場に響き渡る。


「獣化」


 それは小さく、俺でさえ聞き逃した一言。だがその直後のそれはその場を支配するのに余りある叫び声となった。


「クマァァァアアアアアアアア!!!」


 敵の胸元にて突如出現した謎の熊、恐らくウェルキンであろうその熊はかつての姿からその質量を十倍程に増やしており、身長だけでも三倍近くになって居そうな変貌を見せる。


「フルストーンアーマー!」


 そしてそのすぐ近くを走っていたアナベルがその巨大な熊さんに土魔法による装備一式を提供し、その拳にはー


「ナックルガード!」

「クマァァァアアアアアアアア!!!」


 一際堅そうなガントレットが装着され、その熊による強烈なビーストアタックが見事に胸元に命中する。


「グルァァァアアアアアアアア!!!!」

「ー!?」


「お、大丈夫か? だが攻撃の有効性は示したな」

「素晴らしい働きです」


 その重い攻撃にフラついたライオネルドラゴンだったが、すぐに前足で眼前の熊を薙ぎ払うと、そのまま熊は凄まじい勢いで壁へと激突する。あれは大丈夫なのか?


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【ウェルキン・ベアレット】-ギフターLv1-

 ※ビーストモード

 レベル : 21

 HP:251/324

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 案外と大丈夫そうだ。獣化の恩恵に加えて魔法によるバフ付きといった感じか、アレはアレでかなり強そうだ。さて、勝負を決めに行くとするか。


 俺は全員に合図を送るとギーファの居た場所へと素早く移動した。


「策がある。一度で対応してくれ」

「前置きが無駄なンだよ、早く良いやがれッ」

「ブレス直後に三秒程の硬直が見られる、ここが一番手堅い」

「逆に受けて行くッて算段か。策なんて大層な計画は見当たらねェが狙いは悪かねェ。てめェも混ざれアナ」

「任せてー!」


 俺の仲間たちは皆小さく頷いてくれていた。意図は伝わただろう。よし、後はー


「ギーファを狙わせるな、ヘイトを稼ぎつつブレスへ誘導する!」

「了解です」

「任せて」

「僕はギーファさんの隣に残ります!」


 其々が自身の役割を認識し、そしてライオネルドラゴンもまたこちらの戦力を一枚でも剥がし落とすべく爪や尾っぽを以って攻撃し、それを攻めるのではなく只管回避に徹していた。


 そしてやがて業を煮やしたライオネルドラゴンが魔力を体内に集め始める。


「来た」

「俺にも分かったよ、こりゃヤバそうだ」


 恐らくスキルにあった黒炎か。出来れば使わないままに終わって欲しかったのだが仕方あるまい。


「ギーファの位置に集まるぞ」

「了解です」


 既に空中から向かっているリーシャン、そしてルクレティア、アナベル、俺が集まりその場に仲間たちが集結する。


「エアリアルフィールド」

「ストーンシールド」

「ストーンシールドをサポートします」


 より濃度を増していくライオネルドラゴンの魔力は口の部分へと集約し、そしてー


蒼海朧月(ネーレウス)


 一番最後に小さく堅い守りを俺が形成し、見た事もない漆黒のブレスが一直線に放たれる。


「ガアアアアァァァァルルルルァァァァァァァァ!!!」


 まるでレーザーとも取れそうなほぼ直線に進行する漆黒の火炎は、広範囲攻撃である筈のブレスで俺たちのみを的確に狙い撃ちにする。


「ぐっ、こ、キツッ……くっ!?」


 まずはリーシャンの風のバリアが五秒と持たずに破壊される。そしてー


「うぐぐ……」

「ヤバッ、二人掛かりなのにこんな……待って、もう破られる……キャッ!?」

「うわっ!?」


 アナベルローメイによる岩のバリアが十秒程の耐久を見せた後に突破される。残るはー


「チッ、過去一キツいな。リーシャン!」

「あと、十五秒」


 魔力の様子からブレス終了のタイミングをカウントダウンし始めるリーシャン。


「十秒、五、四、三、二、一、」

「どけェェェェェ!!!」


 大量の黒炎がその場に残留する中、リーシャンのその言葉を信じたギーファがカウントエンドと同タイミングを以って蒼海朧月(ネーレウス)から飛び出していく。それを見計らった俺はギーファとの接触が無い様にそれを解除。


「死ィィィィィねェェェェェドラゴンスレェェェイヤァァァァァァァァ!!!」


 解除から僅か一秒、ライオネルドラゴンの正面に出たギーファがその合わせられた両の手からまるで何かで見たかの様な光線攻撃を腹部へと打ち出した。


「グルァァァアアアアガガガガガ!!!」


 苦悶の表情を見せるライオネルドラゴン。だがこちらは矢継ぎ早にー


秘剣(ひけん)三閃狼爪(さんせんろうそう)!!!」


 ルクレティアがその狼の牙を閃光の如くライオネルドラゴンへと斬り込むと、更にその後ろからー


「ドラゴンスレェェェェイヤァァァァァァァァ!!!」


 一体どれ程の魔力を蓄積していたというのか、ギーファは今のリーシャンローメイではとても再現出来なさそうな一撃を二発連続で放ち、その腹部に確かな手応えを見出した。そこへー


「追劇、秘剣(ひけん)三閃狼爪(さんせんろうそう)!!!」

「ゲェヤァァアァァァァアアァアァアァァァァ!!!」


 自身の爪痕にクロスさせる様に剣撃を見舞うルクレティア、その一撃を以っていよいよ敵の装甲は完全に剥がされてしまう。そして剥き出しとなったその弱点にー


「爆散死散しろッ!! エェェクスプロォォォォォォジョンッ!!」


 トドメの一撃となる渾身の必殺を見舞いー


「グルァァァアアアアアアアアガガガガガ……ガ、ガ……」


 ライオネルドラゴンはその(えぐ)られた胸元を大きく爆散させ、視界定まらない様子のまま轟音と共に地面へと沈み、


 やがて光の粒子となって霧散した。

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