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奴隷少女とダンジョンを突破するのはダメなのだろうか  作者: 生くっぱ
四章 火炎のダンジョンとドラッグオンナイト
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【第五十六話】閃光のルクレティア

【炎熱のダンジョン 7F】


「いくよギーファくん!」

「とッとと寄越せや!!」

「もうせっかちなんだから! ロックフィールド!」


 アナベルがその土魔法によって大量の岩ん空中へと浮遊させ、それをそのまま空中に固定する。


「出し惜しンでる暇があンなら仲間全員引き連れて死ねェェェェェ!!!」

「言い分は酷いですが、戦いが凄いです」

「脅威の、連携」


 空中で固定された岩々を地面の延長線として活躍し、四方八方縦横無尽に空間を駆け巡る赤熱(せきねつ)のギーファ。巨岩が割拠する空中にて、ただ赤褐色に輝き敵を屠り続ける彼の戦闘は圧巻の一言。


「逃すかァ!!」

「あんな事まで!?」


 遠距離で一時退却を試みる魔物が出現すれば、その火炎攻撃で岩を殴り付け、飛び道具としても活用していた。恐らく、最小の消費で戦う為の工夫なのだろう。魔力無限に胡座をかいていた俺にはまるで無かったその合理的な戦闘は、誰の目に見てもただ美しく、


「死ねクソカスがァァァァァ!!!」


 耳を塞いで観戦する分には金すら取れるレベルと言えよう。


「あ! いやでも……、例えば……」

「ローメイ?」

「いえその、少し思い付いたのですが」

「言ってみろ」

「もしギーファさんのやっている【火炎】で【岩砲弾】を射出する技を、僕が一人でやったならって考えていて……」

「ほう、良い着眼点だ」

「でもその場合、土魔法と火魔法を同時発動する必要があって……」


 ……もう考え至ったのか。誰に何を言われる事もなく、合成魔法の可能性へとローメイは手を掛けていた。ここまで自力で来たと言うのであれば、背を押すくらいならば許されるだろう。


「ローメイ」

「ははははい! 何でしょうか?」

「主人として命令する」

「はい!」

「その可能性を追求しろ。お前なら出来る」

「……!? はい! 必ず、必ずモノにしてみせます!」


 鼻息荒く「やるぞー」と息巻くローメイ。そして心なしかそれを羨ましそうに見守るルクレティアとリーシャン。ローメイは前の時からギーファの戦いを見る中で思う所があった様子だった。ここで何かを掴めるならそれもまた一興だ。



 *


【炎熱のダンジョン 8F】


「ここから先は俺たちが担当する」

「あァン、引ッ込んでろ真ッ黒野郎。てめェらの出番なんざこれッぽッちもねェよ!」

「馬鹿言えこれは同盟だ。お前がボスを倒してくれなければこちらも困る立場にある」

「あァン!?」

「肩慣らしは十分済んだだろう? 後はボスに全力をぶつけてやれ。残りの戦闘で消耗する必要はない」

「チッ、無様晒しやがッたらすぐに燃やすからな!」

「勝手にしろ」


 さて、このままチームギーファにおんぶに抱っこと言うのも寝覚が悪い。同盟という体を成している以上、やる事はやっておこう。


「リーシャン、ローメイはいつも通り温存気味に中遠距離に構えろ。基本的には俺とルクレティアで捌く」

「お任せ下さい」

「了解」

「いつも通りですね!」


 ギーファ達には何とか引いて貰い、ここからは俺たちの戦闘だ。


「前、敵八体。時間差で四体出現、後方」

「後は僕が撃ちます」

「それで行こう」

「出ます」


 リーシャン、ローメイのアドバイスを受け、俺とルクレティアは地面を強く蹴って駆け始める。


「ハァァァ!! セイ! ラアアァァァ!!!」

「ゲァッ!?」


 大型の魔物であるリザードナイトへ一発、二発と剣撃を放ち、敵の意識を吸った直後に回し蹴りを頭部へとヒットさせ、大きく作った隙を突く様に首を切断するルクレティア。


 空中を舞い、薄く輝く二本のナイフを見事に疾らせるその様は最早一端の剣士であり、ここがランク【A】のダンジョンであっても十分に通用する事を動きで示していた。


 薄暗いダンジョン内にて、光剣を走らせるその様は正に【閃光】そのもので、俺は彼女をそう呼称していく事を決意する。【閃光のルクレティア】、その名がラプリンセ中に、やがてはここを飛び出して広く轟く様、俺も彼女を全力でサポートしよう。


「セイヤ! ……!? ご主人様!」

「大丈夫だ」


 俺は自身の担当である四体を早々に斬り捨て、背後から新たに出現し俺へと迫るその魔物を放置し、


「一発」

「ローメイさん、流石です」


 それが頼りになる後衛によって軽く屠られた事を受け、僅かに笑みを浮かべてしまう。嬉しいものだな、味方が頼りになるというのは。


「二発、三発」

「消えて」


 後から出現した魔物はリーシャンとローメイによって塵へ帰された。何の問題もない、進むか。


「すごーい! ルクレティアちゃんあんなに動けたんだ!」

「いえ、私などまだまだです」

「そんな事ないって! そのミスリルの剣がダンジョンの中ってのもあって滅茶苦茶カッコよかったよ!」

「【閃光のルクレティア】、もし良かったらその名を広めてやってくれ」

「ご、ご主人様!?」

「閃光!? 滅茶苦茶クールな名前じゃん! うわー今度から噂する時はそう呼ぼうっと! カッコよ過ぎ!」

「そ、そんな私の事なんて……」

「ルクレティア、俺はお前にそう在って欲しい。【閃光】の名を聞けば相手が剣を退く程に轟かせてくれ、頼むぞ」

「えぇ……私が、名を売るだなんてそんな……。けどご主人様がそれを望むのであれば、頑張ります」

「イェーイ! 私がルクレティアちゃんを【閃光】と呼んだ第一号だ、やったね!」

「アナベルさん、そんな恥ずかしい……」


 今はまだそんな物だろうが、やがてそれが当たり前となり、誰もがルクレティアに一目置く様な、そんな世界が見てみたい。どうせ生きるなら、そんな世界の方が俺は好みだ。

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