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奴隷少女とダンジョンを突破するのはダメなのだろうか  作者: 生くっぱ
四章 火炎のダンジョンとドラッグオンナイト
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【第五十五話】奴隷とダンジョンを攻略する事

【炎熱のダンジョン 5F】


「テメェら目立ち過ぎなンッだよ。ギルドじゃァ変に噂ンなってっぞ、主にテメェだ真ッ黒野郎」

「ん? そうなのか?」


 炎熱のダンジョン、その七階層。【A】ランクのダンジョンは概ね十五階層程になっているケースが多いらしく、俺たちはここで飯を含めた休息を取る事に。


 信じられない程質素な飯しか持たなかったチームギーファのメンバーにこちらの【収納】から美味そうな飯を振る舞った所、割と遠慮なくギーファまでが飯を受け取る事態に。


 こいつ悪い奴ではないんだよな、滅茶苦茶だけど。


「ステータスと結果が一致しねェッてんだ。そりゃ噂にもなンだろ」

「あーそういう事か」

「軽! 結構噂になってたよ? アイツはあんな貧弱なステータスで、しかもソロの癖にあんなコアを持ち帰れる訳がないんだーって。インチキだーって。実際どうなの?」


 どうやらステータス隠蔽による弊害が出始めていたらしい。とは言え、そろそろ舐められる事も減ってきただろうし、ある程度のスキルの存在くらいは見せていった方が良いのかもしれない。無理に隠す必要もないか、一部以外は。


「ステータスを隠蔽するスキルを所持している。それによって一部表記を偽っている状態だ」

「なぁっ!?」

「やッぱそうか。ンなこッたろーと思ッたぜ」


 ギーファには薄々バレていたらしい。まぁそりゃ数少ない直接戦っている所を見た存在だかな。特にコイツは技をその身で受けている。誤魔化した所で無駄だろう。


「で、ベルモンド支部長の息子であるお前の事だ。どうせ俺の話を聞かれたんだろ? どう答えた?」

「あれ? 何で知ってるの?」

「見りゃ分かるだろ」

「まぁ、確かに性格以外はソックリだけど」

「で、どうなんだ?」

「ケッ、答えッかよ」

「えー確か『アイツがそんなつまらない小細工をする様な奴に見えるのか、そんなに疑いたいのなら一発殴ればすぐに分かる』って答えてたわね」

「アナ! テメェ裏切りやがッたな!!」

「素直に言えばいいのに。んんーこれ美味しい!」


 どうやら擁護してくれていたらしいな。やれやれ、流石にこれは【借り1】か。チャラになったと思った所でこちらが借りる立場になるとはな。変な奴だ。


「タスクくんの所って、みんな奴隷なんだよね?」

「そうだな」

「チーム組んでるの?」

「当たり前だろ?」

「へーそれも本当だったんだ」

「……成る程、それもまた噂という訳か」

「そうそう。突然現れて、しかも誰とも組まずにほんの短期間でランク【B】へと至った風雲児! ってね」

「風雲児じゃなくて問題児だろ、感覚的に」

「ま、そうとも言うかも!」


 やはり奴隷とダンジョンを攻略しているとソロ扱いになっているのだな。やれやれ、中々にルクレティア達を侮ってくれるな。今に見ていろギルド共。


「ルクレティアちゃんに、えっと二人は?」

「「え!?」」

「二人の名前は?」

「り、リーシャン」

「僕はその、ローメイです」

「二人はエルフだよねー、よろしく!」

「よ、よろしく」

「よろしくお願いします」

「可愛いー! 双子でしょ、あたり?」

「あぅ……」

「そ、そうです」

「やっぱりーそうだよね! 耳が可愛いー! 触って良い?」

「はぅ……」

「ひゃぅ、その、擽ったいです……」


 アナベルとやらは相当なコミュ強だな。まさか話しかけられるとは微塵も考えていなかったリーシャンローメイがたじたじだ。


「真ッ黒野郎、テメェ本当はどンなステータスしてやがンだ。見た事もねェ水魔法使いやがッて」

「言うかよ。自分から手の内を晒す奴なんざ承認欲求に溺れた死にたがりだけだ」

「違ェねェ。いつかぶッ殺す」

「あー、ついでと言っては何だが」

「あン?」


 そこで俺は思い切って気になっていた事を聞いてみた。


「何故彼はお前らのチームに?」

「あァ、お荷物君か。ありゃ親父に押し付けられたお荷物だ。熊の獣人一族の中でも将来有望とかで、俺のチームで養殖しろッてよ。大人の【付き合い】ッて奴だそうだ、くだらねェ。安全に多量の経験値が見込めるッて魂胆らしいな。うぜぇッたらねェ」

「どこが安全だどこが!! 僕は毎日死ぬ思いだっての!! 怖いからもう帰してよ!! (うち)に帰りたいよー!! でも親父が怖いよー!!」

「生きてンだろーが。荷物がぴーぴー喚いてンじゃねェよ」

「成る程な、得心がいった」

「てめェの質問に答えたんだ、俺も一つ聞かせろや」


 と、ここで意外な事にギーファから切り返されてしまう。まぁ答えて貰った手前だしな。余程隠そうとしている事で無いなら答えるか。


「何だ?」

「何で奴隷だ、しかも雌の」


 ギーファは物言いた気にこちらに質問しつつ、ルクレティア達の方へと顎をしゃくった。ふむ、どう言う意図だ?


「……言葉の意味を掴みかねるな」

「雌のステータスはギフターや上流階級でも無い限り伸びずれェ筈だ。だからッて雄の奴隷ッてのは恥の象徴みたいなもンだ。まさか使う訳にもいかねェ。何故テメェはコイツらを選んだ?」


 成る程、そういう事か。合理的に考えるならあり得ないパーティメンバー。だが俺はそれで成功しつつある。何故この歪なスタイルを選択したのか、ってニュアンスか?


「運が良かったとしか言いようがないな。偶々出会った【死なせたく無い】存在が有能だった。良い仲間に恵まれたよ」


 ルクレティア達がニヤニヤしている。こっちを見るな。


「仲間、か。奴隷がねェ」

「何か言いたげだな」

「奴らは人じゃねェ、理由はどうあれ【堕ちた者】だ。そんな奴らを囲うなんざ気持ち悪りィ金持ち共の道楽くらいのもンだ」


 やけに突っ掛かるな。言い分は理解出来るが、それを俺に言ってどうする。そういうタイプだったかお前?


「何が言いたい?」

「羨ましいんだよ、ギーファくんは」

「羨ましい?」

「違ェ、ただそこはテメェに気付かされた。先入観でそういうもンだッて思い込んじまッてた。ただそれだけだ」


 ……成る程、羨ましい、か。こいつは世間様の言う様に()()()()()は不可能だと断定していた。そんな決めつけに縛られずに【異質】なルートから頭角を表した俺は、図らずも奴が出来なかった事をやってのけてしまっていた訳だ。


 更に邪推するに、奴隷の女と何かあったと見える。ま、藪蛇にはなるまいよ。それに男女のいざこざなんざ犬も食わん話だ。吐露したいなら勝手に話すだろうよ。


 段々と見えてきた気がするな。

 この世界に於ける、奴隷達の立場って奴が。

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