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奴隷少女とダンジョンを突破するのはダメなのだろうか  作者: 生くっぱ
四章 火炎のダンジョンとドラッグオンナイト
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【第五十三話】やったらやり返される

 宿に戻った俺たちは装備を整えつつ狙いとするダンジョンを見繕っていた。ただ俺としては今日内見にいった物件の近くに出現していた【灼熱慟哭のダンジョン】が気が掛かりだ。そうなってくると【灼熱】か【慟哭】に経験や知見を持っていた方が良い様に思える。


 そこを踏まえて考えるに、選ぶダンジョンはー


「この【炎熱のダンジョン】か」

「成る程、予行演習も兼ねる訳ですね。流石ご主人様です」


 他と比べるに、やはり【炎熱】を選ぶパターンが最も利が多そうに思える。それにー


「実際あのダンジョンを残したままではな。やがて中から魔物が出てきた時に買った家を破壊されかねん」

「それは、ダメ」

「そんなの絶対嫌ですよ! 必ずなんとかしましょう!」


 とは言え【灼熱慟哭のダンジョン】はランクで【S】相当。今の俺たちには荷が重過ぎるだろう。故に【炎熱】で肩慣らしをし、やがていつの日か踏破してやろう、とそんな訳だ。だからと言って今回選んだダンジョンもまた油断出来るレベルでは無いのだがな。下手をすれば何日掛かりという事も視野に入れるべきだろう。


「準備が出来次第出立する」

「分かりました!」

「了解」

「僕はいつでもオッケーです!」


 俺たちの準備はいつも単純で楽なものだ。理由は明白、俺が【収納スキル】持ちだからだ。便利なものだよ。


 さて、いよいよランク【A】のダンジョンへ挑戦だ。やがて立ち塞がるであろう【S】ランクに向けて、これくらいは軽く捻れる俺たちであると信じたい所だ。




 *




「あそこか」

「外から見た感じは炎熱って感じはありませんね」

「外に漏れ出ているのなら【灼熱】のご近所は拙いだろうよ」

「確かにそうでした」


 辿り着いた場所は周囲を岩場に囲まれた僻地で、此処に来るだけでも二時間以上は費やした様に思う。地図で見るより道が悪く、想定以上に時間をかけてしまった。


「とは言え、後は中に入って順に進めるだけだ」

「ですね。今更装備に不安もありませんし……? 何かありましたかローメイ」

「リーシャンもどうした?」


 二人して背後を振り返り、少し遠くを見る様に何かを探っている。何かが魔力探知に引っかかったか?


「来てる、多分」

「この魔力は……前回僕らを襲った人たちです!」

「何だと?」


 前回俺たちを襲った存在。

 ↓

 ギーファ。

 ↓

 早い者勝ち。 

 ↓

 プラス強い者勝ち。

 ↓

 よし、先手を打とう(この間0.1秒)。


 俺はその場で素早く黒刀を抜くと、刀を引き、強力な突きに備えた構えを取った。


「ただ只管に貫け、五叉流水龍(シーザリオクインテ)


 瞬間、水の龍がターゲット目掛けて大地を裂き疾った。


「どわぁぁぁなんだなんだなんだなんだぁぁぁぁ!!!」

「チッ、また真ッ黒野郎とカチ合ったか! 今度はぶッ殺してやるからッと、くッ、何だァこりゃァ!!」

「嫌ァァァァァァ!! 何でぇぇぇぇ!!」


 凄まじい勢いで射出された流水龍(シーザリオ)は、その爆進の最中、ギーファ達を捉えんとするタイミングで三つの頭へと分裂する。


 その一匹一匹がただ只管にギーファのみを執拗に狙っており、今日は体調万全のギーファはこれを絶妙に神回避。地を駆け巡る事は勿論、場合によっては空中に上がり、更に爆風を以って進行方向をコントロール、まるで空を駆けるが如く三匹の龍達を掻い潜る。


「こんな単ッ純な追跡如き、この俺に当たッかよォ!」


 だが流水龍(シーザリオ)も負けていない。


「チッ、しつけェ!」


 水のドラゴン達はギーファに誘導され岩にぶつけられたり壁面へ突っ込まされたりと翻弄されてはいるが、その悉くを貫き、ただギーファを捉えんと奴へ肉薄する。


 だが勿論、奴とてやられっぱなしでは無い。振り切る事が難しいと判断したギーファは徐々に魔力をその手の内に集約し始め、何か手を打とうとする様子が伺えた。


 恐らく、撃ち落としたいのだろう。

 そうなるであろう事を予想していた俺はー


「クソザコがァッ! こんなもン、吹き飛ばしちまえば終わり何だよォォォ!! 吹き飛びやがれェ! グレンランチャアアアアア!!!」

「そう来ると思っていた」

「あン!?」


 ギーファの仕掛ける火炎攻撃により首の一つが狙われる、その瞬間を狙ってその首を更に三叉に分裂させる。


「嘘ッだろ!?」


 突如として姿を変えた水龍に意表を突かれたギーファはこれを回避しきれず、初撃こそいなしたものの続いた攻撃を一撃、二撃と喰らい地面へと叩きつけられ、やがてー


「グハッ、グゴォあああガガガガガが!!?!?」


 五匹の水龍の全てがギーファへと喰らい付き、地面を抉る様にその衝撃が連続で巻き起こった。


「や、やり過ぎだってえええええ!!! 鬼! 悪魔!」

「馬鹿言え、早い者勝ちだ」

「オウム返しやめてよぉぉぉそれ言われたら俺たち何も言い返せなくなるじゃぁぁぁん!!!」

「あららー、まぁ自業自得よねぇ……。あー、無駄足かー。ここまで来るの大変だったのになぁ。めちゃくちゃ遠かったのになぁ」


 必然と言えば必然の結末にして自業自得の顛末。故に誰一人としてギーファを擁護出来ず、鬼だ悪魔だと罵られつつ撤退を示唆するチームギーファ。


「ちょっと可哀想な気もしますね」

「これで、チャラ」

「うーん確かに。でもあの二人がさぁ」

「不憫」

「だよねぇお姉ちゃん」


 とは言え、別に争うつもりのない俺たち。

 先手を仕掛けておいて何だが、さてさて。

 どうしたものかな。

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