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奴隷少女とダンジョンを突破するのはダメなのだろうか  作者: 生くっぱ
三章 嘆きのダンジョンと双子の過去
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【第四十五話】vs レッサーフェンリル

 扉を抜けたその先は、深読みしていたそれらとはまるで関係の無いただ地続きの地面であり、敵の急襲は無かった。


「リーシャン、ローメイ」

「居ます、正面」

「かなりの、強敵」


 その上で敵は正面か。

 ダンジョンボス、その部屋は暗闇に覆われており視界が不明瞭。だが前回のそれを踏襲するに、恐らくこれくらいのタイミングでー


「グラァァァアアアアアアアアウウ!!!」


 瞬間、予想通りダンジョン全域に光が灯った。と、同時にその姿を顕にしたダンジョンボス。その見た目は……二足歩行の狼としか言えないが、実に体格逞しく、その上で鋭い爪を有している。表情も険しく、凶暴さを伺わせている。



 ━━━━━━━━━━━━━━


【レッサーフェンリル】


 レベル : 24

 HP:782/782

 MP:105/105

 筋力:350

 敏捷:452

 耐久:201

 精神:68

 魔力:98


 属性魔法

【風魔法 : D】


 スキル

【疾風(魔力を消費する事で

 前方に凄まじい速度で移動する】


 ━━━━━━━━━━━━━━



 成る程どうして中々に強力な魔物だ。

 嘆きのダンジョンの特性を考えると、中に大量の魔物が居る、などと言ったパターンも想定していたが、これはその中で最もオーソドックスな結果と言えるだろう。


 ただ強いボス。今の俺たちが越えなければならない壁。

 ーー否。

 これはルクレティア達三人が越えるべき壁だ。


「作戦通り行くが、俺は余程の事態以外は静観するものとする。ローメイ!」

「はい!」


 周囲に転がる岩々を宙へ浮かすと、その其々を石礫サイズまで圧縮するローメイ。


「いきます!」

「準備、完了」

「私は動きに合わせます!」

「いけっ……あ!」


 ローメイの掛け声と共に勢い良く射出された岩砲弾。それらをまるで見切っているかの如く最小限の動きで回避するレッサーフェンリル。距離がある上に小細工の無い攻撃とは言え、あそこまで容易に回避するとは。かなり速いな。


「グラァァァアアア!!!」

「出ます!」

「援護、する」

「ポジション改めます!」


 正面から突っ込んできたレッサーフェンリル、それを止めるべく前に出たルクレティア。その両の手に僅かに発光するミスリルマシェットを握り、猛進する敵を迎え撃つ。


「クッ、想像以上に速い……」


 敵の持つ大きな手には凶悪な爪が生え揃っており、これをナイフで受け止めたルクレティア。だがー


「まっ、拙っ……」


 レッサーフェンリルは右手、左手とその爪を振るうと、その両方を受け止めたルクレティアに向けて大きく開口する。そこにはルクレティアを噛み砕くのに十分な雰囲気を醸し出す牙が待ち受けており、彼女はー


「わっ!?」

「グラァァ!?」


 自分達の真下から噴き上げた強力な突風により身体を持ち上げられると、ルクレティアは左へ、レッサーフェンリルは右へと追いやられ、仕切り直しの形へと持ち込まれる。


「助かりました、リーシャン」

「お姉、動き、かたい」

「うぅ、そう言わないで下さいよ」


 リーシャンの機転により戦いは初期化され、再び合間見える両陣営。だがここでレッサーフェンリルが遠距離から魔力を構築し始める。


「魔法来ます!」

「レジスト、任せて」

「グラァァァアアアアアアアアウウ!!!」

「大丈夫、単純」


 敵の放った風の刃はリーシャンによって相殺される。だがレッサーフェンリルはその攻撃を放つと同時に駆け出していた。


「受けます、今度はしくじりません」

「お願い、お姉」

「グラァァァアアア!!!」

「ハァァアアア!!!」


 今度の応酬ではルクレティアは受けると言うよりも受け流す構えを見せており、数え切れぬ剣閃が両者の間で繰り広げられ火花を散らす。


 ここで、その行動パターンに先に変化を付けたのはルクレティアだった。


「ラッ!!」

「グゥゥ!!」


 打ち合いを止め、そのまま身を低くした体勢から足払いを放つ。これに見事に引っ掛かったレッサーフェンリルは体勢を崩され、足払いの勢いそのままに身体を回転させていたルクレティアはそこから二本のナイフを並べる様に敵へと見舞った。


「グアァゥゥゥゥゥゥ、ガルルル……」


 身体全体を大きく吹き飛ばされたレッサーフェンリル。斬れてこそないもののダメージは大きそうだ。だが、手負いの獣は行動が短絡的になってしまう。故に敵はー


「グラァァァアアアアアアア!!!」

「ヒッ!?」


 ただ一人狙撃ポイントに入ろうとしていた無防備なローメイを目掛けて突進を始める。


「させない、エアリアルドライブ!」


 前衛、ルクレティアのカバーに入っていたリーシャンが自身の身体へと暴風を纏わせると、その風圧をコントロールしレッサーフェンリルへと肉薄する。そしてー


「妹を、怖がらせないで」

「ガガァッ!?」


 後頭部を強打、地面を砕く勢いで叩きつけられるレッサーフェンリル。更に続け様に地に臥した敵へと強烈な蹴りを見舞い攻撃の続行を見せると、蹴り飛ばされた先にはルクレティアが二本のナイフを構えておりー


「ルァァァアアアアア!!!」

「グァッ!!?」


 更にそこで地面へと叩きつけられるレッサーフェンリル。粉塵が周囲へと舞い散り、攻撃の強力さを思わせる余波の風が俺の頬まで届いた。


 だがここで、かなり弱ってきたであろうその敵は、予想に反して臥した地面から瞬時に起き上がると、その凶悪な爪と牙を眼前のルクレティアへと向けた、がー


「ゴフッッ!!?」

「……もう許しませんよ!」


 先に狙おうとした獲物であった筈のローメイにより、腹部に強烈な岩砲弾を滅り込まされるレッサーフェンリル。口からは吐血し身体をくの字に曲げながら、意識を飛ばされていもおかしくない表情を見せる。その大きな隙を、


「でやぁぁぁ秘剣(ひけん)三閃狼爪(さんせんろうそう)!!」

「消えて、エアロブラスト」

「ゲャァァァアアアアアアア!!?!!?」


 この二人が見逃してくれる筈も無かった。

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