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奴隷少女とダンジョンを突破するのはダメなのだろうか  作者: 生くっぱ
三章 嘆きのダンジョンと双子の過去
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【第三十二話】双子姉妹の装備

 あの後送金箱に関しては何とかルクレティアを説得し、完成させるに至る事が出来た。箱の中に折り返し用の荷物を同封しておき、その料金と説明書を同封しておいた。勿論ルクレティアの字でだ。これで荷物が先方へと届き解錠に成功したのなら、やがてここの宿へと小包が送られてくる事だろう。それを以って成功と判断しよう。


 金貨三十枚のチャレンジとしてはややリスクもあるが、ルクレティアの家族の事を思えばそれくらいは必要経費の内と考えて良いだろう。失敗したとてそれはそれ。俺自身、贅沢とは無縁の節制人生を送ってきたからな。逆に贅沢には不慣れだ、これくらいで丁度良い。


 因みにいきなり金貨を三十枚も渡されては使う時に困る、という可能性を懸念して、金貨二十五枚と銀貨を五百枚入れておいたので重量感はそこそこに感じられる仕上がりとなった。迷惑になっていないと良いのだが。


 さて、それはそうとこちらの話も大切だ。


「改めて、今日は装備を買って回るからな」

「分かりました、よろしくお願いします」

「あ、あの……僕たちはどうすれば……」

「ん? むしろリーシャンとローメイの装備をメインに買いに行くのだが?」

「「え!?」」


 まだ打ち解けるには時間が掛かるらしい。まぁ中々に扱いの酷かった前任者から無理やり奪い取った様な形で移譲された訳だからな。警戒するのも仕方あるまい。慌てずにいこう。



 *



「売却したいのだが、中古の汚れた装備だ」

「手入れがされていない物ならかなり安く買い取る事になるが?」

「構わない、買い取って貰えるだけ有難い」

「なら見せてくれ」


 俺たちはまず鍛冶屋へと足を運んだ。これらを素材として扱うのならここが一番という判断なのだが、合っているのだろうか。ゲームなら簡単に比較できるが、現実となると厄介なものだな。


「鎧以外は全て半値で買ってやるよ。俺が手入れしたなら直ぐに売り物になりそうだ。だが鎧は廃棄するしかないな。俺なら屑鉄として二束三文で買えるがどうする?」

「全てそれで構わない、買って貰えるだけ助かるよ」

「ならそれで交渉成立だ。兄ちゃんなかなか話がスムーズでこっちも助かるよ、また何かあったらウチに来な」

「そりゃ有難い。ついでに武器も買わせてくれ」

「おいおいマジかよ、なら今日は少しまけてやるよ」

「だそうだ、出来るだけ高い奴を選ぶんだぞルクレティア」

「分かりました!」

「そりゃねーぜ兄ちゃん!」

「冗談だよ、今日は定価で買わせてくれ」


 剥ぎ取った防具が売却出来、それだけでも有難いという状況。それ以上は望むまいて。


 さて、まずはルクレティアだがー


「このマシェットナイフに近い武器を探しているのだが」

「あー、こりゃダメだな。このレベルで使いたいならもっと硬い素材で作った剣にすべきだ。ミスリルなんかは丈夫で軽いが値が張っちまう」

「因みに幾らくらいからだ?」

「安くても金貨二十枚からだな」

「成る程、ギリギリ買えるな。それを二本くれ。何本かあるなら自身で選びたい」

「毎度あり! 気前の良い兄ちゃんだこって。そこの棚に飾ってあるのがそうだ」


 ━━━━━━━━━━━━━

【ミスリルマシェットナイフ】


 攻撃力 : 48

 能力スロット 硬 ◯

 ━━━━━━━━━━━━━


 恐らくこの【硬】というのが耐久値の高さを示しているのだろう。刃渡りも何だかんだと60センチ。これからの戦闘を考えればこれでも短いくらいではあるだろうな。これが二つあれば何とか、と言った感じか。本人がこのスタンスを崩したくないそうだから、ひとまずこれでいこう。


「後はロッドを買いたいのだが、属性を付与されたロッドは売られているのか?」

「ロッドなら魔道具屋に行きな。ここには殴るのに使い易い棒しか売ってやれねぇよ。知り合いの所を紹介してやるからそこへ行きな」

「成る程、助かるよ。なら後は防具を少し頼む」

「分かってんねー兄ちゃん、毎度あり!」


 魔道具屋、という括りになるのだな。

 まだまだ知らない事が多くて楽しいな、全く。



 *



「魔法に強い奴が使う装備を買うならここだと鍛冶屋で聞いてきたのだが」

「間違っちゃいないよ。ここじゃ何かしら特性を付与された魔法系の装備を扱っている。値段は張るが、物には自信があるよ」


 成る程言うだけあって値段はそこそこに張っている。魔法のローブに風のシューズ。効果を確認するに、魔法系の攻撃耐性や移動速度の底上げに使われる装備らしい。典型的な後衛職用って訳だ。これらの装備は魔力と筋力に一定以上の差が無ければ使えないらしい。どういう仕組みなのだろうか。


「属性のロッドは売られていないのか? ウォーターロッドの様な物を探しているのだが」

「今は取り扱いがないね。あれは貴重なアイテムを合成して作るんだ、かなり値段がかさむからオススメはしないねぇ」

「そうなのか? ならロッドで探したい。どこから選べば良いだろうか」

「後ろの壁にあるのがロッドさ」


 この辺りがそうか。樽の中にがさっと入れられているロッドがただのロッドだな。で、壁に飾られているのが魔法樹のロッドか。いつかゾフィー達に渡した物が素材になっているのだろうな、値段を見て納得だ。加工品とは言え金貨五枚。あの日の俺たちの給金が銀貨十枚だった事を考えると、確かに奴らは得をしていた訳だ。互いにメリットのある関係で何よりだな。


「さて、魔法樹のロッドを二本買わせてくれ」

「「え!?」」

「あいよ。お仲間は驚いとるが良いのかね?」

「構わない、そのまま持たせてやってくれ」

「はいよ」

「あっ、ありがとう、ございます」

「良いの、ですか?」

「構わないさ」


 ━━━━━━━━━━━━━

【魔法樹のロッド】


 攻撃力 : 20

 能力スロット 魔 ◯ ◯

 ━━━━━━━━━━━━━


 この能力スロット先頭の【魔】というのが魔法威力の増幅1.1倍だそうだ。俺たちのスキルに比べれば僅かな効果だが、塵も積もってナンとやらって奴だ。どうせならこちらにしておこう。


 スロットが二つ空いている物が丁度二本見つかった為、それらをリーシャンとローメイへと買い与える。彼女らはここでもまた困惑しているが、致仕方あるまい。


 帰ったら多少、この辺りについて話して置いた方が良さそうな気がしてきたな。どうにも、気負い過ぎている気がしてならない。大丈夫だろうか。


「因みに、錬成をするにはどうすれば良い?」

「合成かい? 素材を持ってドワーフの所へ行きな。錬成素材を扱えるのはあいつらの中のほんの一握り、高くなるのは覚悟していくんだね」

「成る程。因みに素材は分かるのか?」

「何の刻印が欲しいのかにも依るね」

「風と土の属性だ。装備一式ここで買わせて貰う、代わりにそれを教えて貰いたい」

「「……!」」

「構わないさ、メモに書いてやるから少し待ちな」

「助かるよ」


 さて、今日はこんな物かな?

 割と散財してしまったが先行投資という奴だ。


 明日からまたダンジョンへ潜って、改めてしっかり稼げば問題無いだろう。流石に、もう下層へ突き落とされる事も無いだろうしな。


 ……フラグではないぞ。

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