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奴隷少女とダンジョンを突破するのはダメなのだろうか  作者: 生くっぱ
二章 道無きダンジョンと双子の奴隷
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【第二十八話】道無きダンジョンと双子の奴隷【END】

 どうもかなり良さそうに見えるな。と言うか馴染み深い形をしていると思ったら、これ刀か。能力スロットの数もとんでも無い事になっているな。空きスロットが四つもある上で、既に六個の能力を内包していると。


 徐に腰に提げてみたが、悪くない。

 むしろしっくり来るな。


「ミノタウロスの剣、俺が貰って行くよ」

「ご主人様の意向に従います。どうぞ良い様になされて下さい」

「魔石は?」

「こちらに」


 魔石は魔石で橙色に輝いている。


「どう見る?」

「橙の七段階目くらいでしょうか。少なくとも金貨六十から八十はありそうです」

「ふむ、かなり助かるな」


 魔力供給センターが今日から一ヶ月後にしか開かない事を差し引けば、かなり有り難い結果と言える。これで来月の今頃には金の心配とはオサラバだ。


「この玉は……」


 分からないなら取り敢えず鑑定か。


 ━━━━━━━━━

 ・完全鑑定の結果


 回復の宝玉

 効果 【どんな状態であっても、死んでいなければ完全回復させる魔法が封じられた宝玉 一度使うと消滅する】

 ━━━━━━━━━


「回復アイテムだな」

「回復アイテムでしたか」


 この手のアイテムは万が一に備えて永遠に所持してしまう流れがお約束、なヤツだよな。急場に備えて保管しておこう。


 地面に落としてしまった鋼の剣も一応持ち帰ろう。どうせ収納されるんだ、要らないのならまたその時考えれば良いだろう。


「で、この後はどうすれば良いんだ?」

「えっと、確かダンジョン攻略時は脱出出来るとか……」


 ルクレティアと二人で思案していると、後ろからー


「あの……」

「リーシャン、いやローメイか?」

「リーシャン、です」

「リーシャンだな、それでどうした?」

「あそこの光」

「ん?」


 リーシャンが指で示した先には何やら光源が控えていた。いつの間にあんなもの出現してたんだ?


「あそこに、ダンジョンコアがある、ます。ごごごめんなさい!」

「話し方など好きにしろ。敬語に拘る必要すらない」

「え!?」

「だから話を進めてくれ。有益な進言だ」

「あ、その、ダンジョンコアを取ると、そのままダンジョンが消滅して、出入り口から無理矢理出されちゃう、ます」

「ほぅ、成る程な」


 ダンジョンコアか、然もありなんと言った所か。俺はリーシャンに教わった光源を目指し、移動する。そこには不思議な球体が存在していた。


「これがダンジョンコアか?」

「です」

「何かに使えるのか?」

「そ、素材と合わせる事で、任意の合成素材に出来る、ます」

「成る程、かなり使えそうだな」

「あと、ギルドに見せる、ます」

「助かったよ、お陰で概ね理解できた」

「あぅ……」

「!?」


 くしゃくしゃとリーシャンの髪の毛を撫で回すと、隣でローメイが少し慌てていた。何もしないから狼狽えないでくれ、とも言えないのだろうな。この二人は、そう反応せざるを得ない時をこれまで過ごして来たのだ。徐々に慣れて貰おう。


「コアを入手し、ダンジョンを出ようと思う。何かやり残した事はあるか?」

「戦士三人分の装備がありますが、如何致しましょう?」

「お、確かに。俺が剥ぎ取るよ」


 そう言えば三馬鹿の事をすっかり忘れていた。いつの間にか死んでいたな、くらいであっという間に記憶から抹消してしまっていた。ルクレティアが居なければ本当に忘れていただろうな。


「同じ装備か、鉄装備で統一されているな。ん? なんだこのペンダント」

「あ! いえ、その……」

「あ! あぅぅ……その……」

「ん?」


 何だ? 思い入れのある品か?

 まぁコイツらなら取り上げかねないか。


「二つあるな、緑色と茶色の宝石? か?」

「うぅ」

「うぅ」


 金色の輪で紡がれ、先端にはそれぞれ緑色と茶色の石が添えられている、比較的一般的なデザインのペンダントだ。見るからにこの二人の持ち物っぽいな。


「ほら、今度は失くすなよ」

「え!?」

「え!?」


 二人の首にそれぞれネックレスを装備させた。リーシャンが緑色でローメイが茶色のネックレスらしい。視線が露骨で非常に分かり易い。


 さて、これでコイツらの装備も剥げた事だ。

 いよいよ問題無いか。


「ルクレティア」

「はい、問題無いかと」

「リーシャン」

「あぅ、ありがとうございます」

「ローメイ」

「はぅ、ありがとうございます」

「よし、帰るぞ」


 俺はダンジョンコアを手に取ると、それを異空間に収納した。それと同時に周囲の景色が歪み、やがてー


「出口、に居るのか。不思議な感覚だ」

「私も凄く変な感じでした」


 俺たちはダンジョンを踏破し、その入り口であり出口の前へと立っていた。


【道無きダンジョン】、計らずも攻略、だな。



 *



 俺たち一行は、ダンジョンを出たその足でそのまま宿へと戻り、受け付けから水とタオルを貰い、自室へと帰還した。とは言え四人で泊まるには余りにも狭く、今日は仕方ないにしても明日には部屋を変えてもらう必要がありそうだ。


「さて、ルクレティア、リーシャン、ローメイはそれぞれ水を使って身体を清めておいてくれ。俺は少し考える事があるから暫く話しかけないでいてくれると助かる」

「分かりました、それではお先に水を頂きます」

「あ、ありがとうございます」

「あ、ありがとうございます」


 タオルは受け付けからかなり多い目に貰っている、その分金も渡しているから気兼ねなく使えるだろう。


 さて、俺の考え事の内容と言うのは、勿論リーシャンとローメイのギフトスキルについて、だ。


 この二人はステータスを確認するに、かなり魔法に寄った成長をするらしい。俺やルクレティアに比べると明らかに差が出ている。こう見るとそれぞれに得意不得意があって本当に面白い。


 だがどうする?

 渡せるギフトは【・天賦の才・大賢者の卵・艶福家・性豪・統率者・限界突破・無限魔力・合成魔法・状態異常完全耐性・武具錬成・完全鑑定・完全解錠・超集中・異空間収納・ステータス完全隠蔽】だ。


 魔法系で抽出するなら・大賢者の卵・無限魔力・合成魔法辺りだろうか。無限魔力は良さそうに見えて、かなり危険な側面もある様に思える。今回の俺の使い方が良い例だ。もしかすると一番レア能力の可能性すらあるだろう。


 それ故に、心配もかなり大きい。魔法が無限に使えるという事は、無限に【無理をしなければならない】という事でもあるのだから。魔力が尽きるまで戦えるのなら、魔力が尽きないのであれば? と言うのは使役する側は兎も角として、使役される側には厳しい事に思える。


 それに使ってみて分かったがこの無限魔力はかなり強力なスキルだ。目立ち過ぎる事を懸念するのであれば、ある程度工夫で頑張れる範囲に留めておくべきだろう。


 となると、大賢者の卵と、合成魔法か。

 これならまぁ、一般的に見てもスキル持ちであるという違和感も覚え辛い気がするな。勿論隠蔽はするしそれでも目立つだろうが、無限魔力に比べればマシだろう。


 よし、リーシャンとローメイ。この二人には同じ【大賢者の卵】と【合成魔法】のギフトを渡そう。折角同じ様にここまで来たんだ、俺が勝手に二人に差をつけるより、同じスキルを渡して、自然と差が出来る方が良いだろう。


「よし、こんな物か……って、何しているんだ?」

「ご主人様を清める準備ですが?」

「自分でやるから貸してくれ」

「そんな! 私の愉し、役割を取らないで下さい!」

「本音が出てるぞルクレティア。良いから貸せ」

「うぅ、酷い……そんな殺生な……」


 何だかおかしな事になっているが、まぁ大丈夫だろう。


「私の身体も、ご自由に、使って、です」

「ぼ、僕の身体も、ご自由にどうぞ」

「良いから寝ろ、もう疲れただろ? 俺は床で寝るから、皆んなはベッドで寝てくれ」

「え!? ダメですよ!」

「「え!? ご奉仕は!?」」


 勘弁してくれ……。何だと言うのだ、この三人からミノタウロスを相手にしている様なプレッシャーを感じるぞ。


 だがしかし何を言おうとも俺は寝るからな。

 寝ると言ったら寝る。


「せめて私はお供させて下さい! お願いします!」

「だァァァァ分かった! ならリーシャンとローメイがベッド、俺とルクレティアは床だ! 皆んなすぐに眠る、それで良いか?」

「うぅ、仕方ありませんね。それで妥協します」

「「あ、あの……」」

「良いから寝ろ」

「「あぅぅ……」」


 ハァ……奴隷が三人、中々に大変そうだ。

 先が思いやられるな。


「ご主人様、私を枕にして下さい」

「ルクレティアが俺の腕を枕にしろ、その方が気が楽だ」

「そそそそんにゃ!? いい良いのですか失礼します!」

「行動が早い上に迷い無いな」

「んァァァ幸しぇぇぇへへへへ」


 これもまた面白か。

 やれやれ、悩みの種が多くて大変よろしい。

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