【第二話】異世界への転生
目が覚めるとそこには青空が広がっていた。両手を広げて、野原で寝そべっている様な……
「ギギ、ギギャァァァ!」
「は!?」
突然背の低い全身緑色のおっさんが襲い掛かってきた為、身体を無理矢理捻って転がし、距離を取った。と同時に跳ねる様に起き上がり、構えを取る。
ん? 何か今俺、凄いジャンプしなかったか?
「ギギギ……」
目の前の緑のおっさんは相変わらず何故か俺を殺す勢いで敵視しており、話し合いで解決出来る雰囲気では無さそうだ。というか何の病気だよコイツ。ヤバ過ぎるだろ、狂犬病レベルMAXか?
【鑑定しますかーYES NO】
どんな種類の生き物だよ、と考えたタイミングで頭の中に何かが浮かぶ。鑑定って何だっけ? いや、危険な単語でも無い。YESを試してみるか。
「YES」
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・鑑定の結果
ゴブリンLv1
【スキル 無し】
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「は?」
「ギギギ……」
ゴブリン? それって、どういう……え?
「ギギャァァァ!!」
「チッ!」
よく分からないが、コイツ俺を殺しに来ているな。正面から単調な縦振りの攻撃を仕掛けてきたゴブリンを半身で躱すと、足元に転がっていた木の枝を拾い上げ、首に向かって思いっきり突き刺してやった。
「ギギャッ!?」
すると木の枝は見事にゴブリンを貫通、そのまま倒れ込みながら霧の様に霧散してしまった。と、ここで気になる事が。先程までゴブリンが存在していた場所には、つい今しがたまで無かったと思われる筈の深い青色をした石ころが転がっている。いよいよ意味が分からない。
「鑑定、で良いのか?」
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・鑑定の結果
魔石【ランクF】
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「魔石? ……どういう事だ?」
訳が分からないという話にも、ここまで来ると逆に冷静になってしまう。というか妙に冷静だな俺。いや、今は置いておこう。
謎のワード【鑑定】。そして襲い掛かるゴブリン、残された魔石。周囲を見渡せばただの草原。そしてその先には森らしき木々の集合体。よし、意味がわからん。
頭がぼんやりするが、神を自称する存在に何か言われていた様な気がする。……ダメだ、思い出せない。
兎に角、今は安全を……
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レベルが上がりました。
レベル:2
HP:28
MP:∞
筋力:8
敏捷:12
耐久:7
精神:∞
魔力:∞
スキル
【・天賦の才・大賢者の卵・艶福家・性豪・統率者・限界突破・無限魔力・合成魔法・状態異常完全耐性・武具錬成・完全鑑定・完全解錠・超集中・異空間収納・ステータス完全隠蔽】
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え?
レベルが、上がりました?
何だこのゲームみたいな設定は。俺はゲームは借りた奴を二、三度やったくらいだからイマイチピンとは来ないが、まるでアニメや映画の中みたいな、そんな雰囲気だって事ぐらいは分かる、が。
分かるから何だって話だ。何一つ意味が分からない事が分かった様な気持ち悪さ。
いっその事、自身を完全鑑定してみるか?
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山崎 丞
レベル:2
スキル
【・天賦の才・大賢者の卵・艶福家・性豪・統率者・限界突破・無限魔力・合成魔法・状態異常完全耐性・武具錬成・完全鑑定・完全解錠・超集中・異空間収納・ステータス完全隠蔽】
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……この鑑定で分かった事は、俺という存在の認識は山崎丞本人で合っており、その上でやはり意味が分からないという事だけだった。