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奴隷少女とダンジョンを突破するのはダメなのだろうか  作者: 生くっぱ
一章 異世界転生と奴隷の少女
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【第十三話】妖麗な微笑み

「ではこちらが報酬となります」

「どうも」

「今回の成果によりFランクへと昇格しました。任務の再確認をお願いします」

「え? あーえっと、了解。後で確認しておく」

「ありがとうございます」


 冒険者ギルドにて報酬を受け取り、ついでに昇格の話を聞かされる。恐らくGランクは試されている様な段階なんだろうな。ゴブリンを倒せるのなら、まぁやっていけるだろうみたいな。


 何にせよこれで宿代は賄えた。加えて夕食を食べる余裕さえも持ち合わせていた為、比較的リーズナブルな店をルクレティアに選んで貰い、そこへ入ろうとした、のだけれども。


 入り口から見えてしまった店内で食事する人の姿、いやその後ろに立たされている存在が気になった。明らかに奴隷身分で、彼らは食事する様子をただ見ているだけの存在に徹していた。


 そこで考えてしまった、奴隷とテーブルを共にするのは違和感のある行いなのだろうか。とは言え彼らと同じ事をやりたい訳でもないし、悪目立ちもしたくない。なのでー


「結局パンの買い食いで悪い、勘弁してくれな」

「滅相もない。まさか私の存在が足枷となり、ご主人様の食事の機会を奪ってしまうなど……」

「あーやめやめ。そういうの良いからパン食べようぜ」

「うぅ……ありがとうございます」


 結果、二人並んで買い食いという状態に落ち着いた。ただ先程からルクレティアの「何たる失態」や「この御恩に報いるには」や「ハァハァ」等の危険な独り言が見受けられるが、恐らく気のせいだろう。そうだと信じたい。


 パンを軽く頬張り、それとなく思いを馳せる。


 恐らくこちらでは普通の事なのだろうけれど、奴隷の扱いというものがどうにも気に入らない。日本で普通の生活をし、ヌクヌクと命の危険のない生活をしていたからなのか。はたまた不条理に立ち向かう生活を余儀なくされたからなのか。奴隷【所有者】というよりも【加虐者】という雰囲気で捉えがちな自分を感じる。我ながらやれやれな感覚だ。


「んんー、おいひぃー」


 この状況に至るまでの不満はあれど、手にしたパンは美味しいらしく、嬉しそうに頬張るルクレティアを見ていると、先程の壁際に立たされていた奴隷たちの事を意識してしまう。


 アレが普通なのだろうか。俺はアレに合わせて生きた方が目立たずに埋没出来るだろうか。だが、自分がそれをやっている姿がまるで想像出来ない。


 ルクレティアには飽くまでもパートナーでいてもらいたい。俺も助けるし、彼女にも助けて貰う。それで良い気がするのだが、ダメなのだろうか。


「この後は宿ですよね?」

「そうだな」

「分かりました、お任せ下さい!」

「いや何を?」


 何かを決意した雰囲気のルクレティア。俺は彼女を奴隷扱いしたくないのだが、どうにも彼女が奴隷として在ろうと躍起になっている気がする。


 そりゃ俺も男だ、彼女の事が気にならない筈もない。


 白銀色の髪には所々に黒のワンポイントが忍ばされており、狼と言うのも納得の髪色を携えるルクレティア。表情は柔らかく、性格は温和で後方支援に向いた精神性をしていたと思われる。瞳はエメラルドの様な美しい緑で、それを引き立てる意志の強そうな薄ピンクの唇。背丈はやや低く、概ね145センチ程と推定されるも、バストは中々に主張が強く、恐らくEはありそうな雰囲気だ。ウエストは引き締まっており、身長さながらに小ぶりな尻も中々に可愛らしい。


「宿のは予定通りこちらでよろしいですか?」

「問題ない」


 俺は銀貨十枚で泊まれる宿を訪ね、そして金を払う。部屋の鍵を受け取ると、木造建築三階建ての二階部分へと足を運ぶ。


 後ろから付き従うルクレティアの視線が妙に熱い気がする。ただ部屋に向かっているだけなのに、ただ明日に向けて休もうというだけなのに、何なのだこの緊張感は。


「ここだな」

「はい、ご主人様」


 ガチャリと鍵を開け、中へと足を踏み入れる。そして少し遅れて、圧の篭った扉の閉まる音が部屋中へと響いた。続いてガチャリと施錠を思わせる音が鳴った。そして鍵を掛けたのは俺では無く、後から入ってきたルクレティアだ。


「素敵な部屋ですね」


 そう声を掛けてきた彼女を振り返りみると。


 何にやら薄らと熱を帯びており、見た事もない艶やかな表情をしている。そして可愛らしくも美しい、その妖麗な雰囲気で、


 ルクレティアは獲物を見つめる様に、小さく微笑んだ。

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