【第十話】スキルの可能性
時刻は昼の11時。転生したタイミングが朝だったらしく、ここから活動するに十分な時間を残していた。因みに時間、日にち1年の間隔等は全て俺の感覚と一致しておりかなり助かっている。二十歳のおばあちゃんなんて出てこようものなら目も当てられないからな。
ただ種族によって老化の速度は違うらしく、例えばエルフなどは長寿族として有名で、ルクレティアは獣族に括られるそうだ。とはいえ彼女の場合、寿命等の進行は人間と同じくらいなのだそうで、少し親近感を覚えた。
そして俺たちは今、ラプリンセの街へと辿り着いていた。
先程までの鬱蒼とした森感はどこへやら。ここはまるで別世界に迷い込んだのではと勘繰りそうな程に雰囲気が仕上がっている。往来に人も多く、店や家屋もかなりの数が見受けられる。ひとまず周囲の人に冒険者ギルドの場所を訪ね、そこから始めようと思う次第だ。
「あれです、ご主人様」
「成る程、聞いてなかったら素通りしそうだ」
大きく建てられた箱は至ってシンプルに装飾されており、これを【ギルドだ】と言われても尚疑いが残る外見をしている。だが見るからに出入りする人数が多く、なるほど確かに建物としてはこの辺りで最も大きい為、納得出来ない訳でもない。
中へ入り奥へ進むと受付が存在し、そこでメンバー登録の様な手続きをして貰う。これで俺も晴れて冒険者ギルドの一員という訳だ。
システムは至ってシンプル。仕事を斡旋してやるから分け前をピンハネするぞという感じで、基本的にはこちらが数ある依頼の中から好きな物を選ぶ感じだ。稀にギルド側からの依頼などもあったりするらしいが、駆け出し者である俺には縁の無い話と言えるだろう。階級がGからAへと上がっていくみたいで、冒険者ギルドで管理しきれないレベルの化け物達は一括してSと認定されるそうだ。
俺は当然Gランク。千里の道も一歩からという訳だな。
そしてGランクで受けられるクエストはゴブリンの討伐十匹に付き銀貨一枚という物。おあつらえ向きだ。因みに討伐の判定は魔石で行われるらしく、今日集めた魔石を受付で示した所、では報酬として銀貨六枚ですとあっさり六枚までゲットしてしまった。魔石の買取自体はやっていないそうで、しかしてこの中の銀貨六枚分のゴブリンはギルドに把握されるシステムになっているらしく、仕組みが気になる今日この頃だ。
因みに魔石は【魔力供給センター】なる団体が買い取ってくれるらしく、そこは月に一度しか営業しないそうだ。当然今日は休業日。これが売却出来ていたならクリアだったな。
「さて、ギルドの登録も終わったし。ゴブリンを探すか」
「先程の辺りが穴場だったのかもしれませんね」
「確かに。一旦戻るのもアリだな」
あの辺りにはかなりゴブリンが沸いていた。あのペースで狩れるなら今日の寝床には困らない程度には稼げそうだ。
「因みに、ルクレティアは戦えるのか?」
「いえ、その、申し訳ありませんが戦闘経験はなく、後衛から回復を僅かに施す程度にしか……」
だろうな、レベル1だったし。
「いや、それは構わない。ただ後衛に徹しているだけでルクレティアのレベルは上がるのか?」
「パーティを組んで頂ければ経験値は分散されます。なので基本的に奴隷とパーティは組まれません」
「そうなんだな。パーティはどうやったら組めるんだ?」
「え? あ、その、パーティを意識しながら触れた方のパーティに触れられた方が組み込まれるそうです」
「これで良いのか?」
俺はパーティを意識しつつ、そっとルクレティアの肩へと手を置いた。
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パーティを組みますか?
【対象 ルクレティア】
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成る程、これは分かりやすいな。『YES』と、これもまたスムーズに答えを告げる。
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パーティが形成されました
パーティメンバー
・ルクレティア
統率者スキルの効果により、
ギフトを一つ選べます。
【・天賦の才・大賢者の卵・艶福家・性豪・統率者・限界突破・無限魔力・合成魔法・状態異常完全耐性・武具錬成・完全鑑定・完全解錠・超集中・異空間収納・ステータス完全隠蔽】
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「……は?」
「え?」
スムーズに事が進んだのはここまでだった。オイオイマジかよ、何かしらの枠組みを形成する度に傘下のメンバーは恩恵として俺のスキルをコピー出来るってか。統率者エグいだろ。こうなってくると他にも枠組みが作れないのかが気になる所ではあるな。
さて、一先ず今はルクレティアをどうするかだ。
天賦の才は既に渡してあるから、大賢者の卵……魔力が伴わないと難しいか。艶福家、性豪、統率者、は論外として、限界突破、無限魔力、合成魔法、辺りは情報に乏しい。状態異常完全耐性はアリっちゃアリなんだが、パッとしないな。武具錬成、完全鑑定、完全解錠、は俺が使えれば問題ない。それは異空間収納やステータス完全隠蔽もそうだろう。超集中辺りが望ましいか……、いや待てよ。
天賦の才の所持者に天賦の才を譲渡したらどうなるのだろうか。やはり重複してなかった事にされるのか、或いは譲渡がそもそも出来ないのか、或いは相乗効果で何かが起こるのか。
……ダメだ、気になり出したら試してみたくて落ち着かない。えぇいままよ。
【天賦の才】だ。
さて、どうなる?
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【ルクレティア・ウルフェンヌ】
※パーティメンバー
レベル : 1
HP:12
MP:3
筋力:2
敏捷:2
耐久:2
精神:3
魔力:3
属性魔法
【白魔法 : G】
スキル
【神域の天稟】
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「……はは」
「?」
狙い通りの結果過ぎて思わず笑ってしまった。
天賦の先は神域ときたか。
その効果の程を拝むのが楽しみだ。




