誘惑の森
東京でチウがお姉さんの店へ行く話
「誘惑の森」
山中千
ハニートラップ。
漢である以上、引っ掛かって至極当然の必殺技。
チウは、美人に目がなかった……。
物語の舞台は、東京。
チウは、歌舞伎町と池袋のガールズバーへ、蜜を探すカブトムシの如く、行った。
一軒目のお店では、45分2000円だった。
安い、go。
一人目に相手してくれた女性は、よく笑う人だった。チウのジョークに爆笑して
「私面白い人タイプなんです!」
と言った。気分が良かった。
二人目は、先程、客に怒りを買っていた女性だった。
「大変そうですね」
と同情した。そうなんですよ〜、と甘ったれた声で言うのに、チウも少し苦手だな、と感じた。
3人目は、ちいさんだった。
チウのタイプだった。
年上、ショートカット、美人、そして知的だった。
この人なら…と思い「喰らう、喰らわれる」を読んで貰った。
「お兄さんの表現力好きです」
と言って貰って嬉しかったのと、その女性は最後の一文に頭を悩ませていた。
やはり、この方はいい言語感覚を持っておられる。そう思った。
料金は、安いので!と調子にのって延長、来るお姉さんに酒を奢っていると会計で、1万から2万の間になった。
とほほ……。
でも楽しかった。
二軒目は、池袋だった。
親友の西と別れた後だった。
歩いていると、小柄なかわいい系の女の子と背が高くて黒が似合う女性がいた。
チウは、後者がタイプだった。
「すみません、今から行けますか?」
「行けますよ!」
「お姉さんたち可愛すぎて、思わず声かけてしまいました」
「うわあ、嬉しい、ありがとう」
格好いいタイプの女性が、相手をしてくれた。
せっかくなんで、と切り出し、フリースタイル文学をしませんか、ときく。かわいい女の子には、勿論、無料だ!
仕上がったものを見せると、写真を取って
「ママに見せるね❤️」
と言ってくれた。嬉しかった。
このようにして、金を使い切ったチウは夜中を彷徨っていた。
今夜野宿をするところを探していたのだ。
すると、どれらい別嬪がいるではないか!
「こんばんは」
「こんばんは」
「お姉さん途轍もなく可愛いですね」
「え、優しい」
「ほんまこんな可愛い人もう一生拝むことはないかもしれん」
苦笑。
「お兄さん!一緒にどうです?」
「すみません、金がなくて……」
「そう……」
「こんな美女いるんやったら絶対に行きますわ」
「また来てくださいね~」
金なんてすぐ無くなる!
金なんてすぐなくなっちゃうんだよ