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時空 まほろの童話集

星をつなぐ、動物たちのお話

明るいお月様も今夜はどうやらおやすみの様子。

そんな夜に、動物たちが一番高いお山の上に集まって何やらとっても楽しい事をするみたいです。


「おいでよおいでよ~」

「早く早く!」


とても賑やかで、たくさんの動物たちが集まって来ています。


クマさんにフクロウさんウサギさんにリスさんにネズミさんに、あら。ゾウさんやキリンさんまでも。

ありとあらゆる動物たちでお山の上はぎゅうぎゅうです。


そんなお山の上の夜空に、流れ星が一つ。静かに落ちてきました。


「来たよ!」

「来たんだ今年も」

「しー! 静かに!」


動物たちは、一斉に黙って皆その場に頭を垂れました。


流れ星はゆうっくりと動物たちの先頭に落ちました。


流れ星は、軽く光ったりしながら、何か言葉を喋りました。

お星さまの世界の言葉です。

それは、音にすると、とても澄んだ綺麗な音でした。


ライオンさんが代表して答えます。


「はい、流れ星様。お星さまの使い様。今年も皆、良い子にしておりました」


また流れ星は言葉を喋ります。


「はい、はい。……分かりました」


ライオンさんが頷いて立ち上がりました。


「みんな、お星さまの使い様が今年も夜空で遊ぶことを許してくれたぞ!」


わあっと動物たちが喜びました。


すると、夜空から幾つもの流れ星がお山の上に落ちてきます。


「ぼく、いっちばーん!」


ウサギさんが落ちてきた流れ星に飛び乗ると。


ふわりと流れ星が浮かび上がりました。

そしてまたお空へと登ってゆきます。


「わたし、わたしも!」


リスさんが小さな流れ星に乗って、他の動物たちも次々と流れ星に乗って浮かび上がります。


「わーい」

「楽しい~!」

「ぼくは星乗りサーファーだぞ!」


動物たちはそれぞれに夜空のあちこちを飛んで楽しんでいます。


その時でした。


「羨ましい……。ずるい……。ずるいぞ……」


夜空の、本当に片隅から、暗い暗い声がしました。

夜の魔王さんです。


魔王さんは、暗い暗い世界に居ましたが動物たちの楽しい声を聞いて、思わずすぐ近くにまでやって来たのです。


しかし、楽しそうな動物たちを見て、暗い暗い気持ちが湧き起こって来たのです。


「お星さまを呪ってやる……。動物たちはみーんな真っ暗な世界に一人ぼっちにしてやる……」


魔王さんのこの一声で、


「ああ!」

「流れ星の光が」

「弱まっている‼」


動物たちが乗っていた、流れ星の光が呪いで弱まってしまったのです。


魔王さんは、暗い夜空で困っている動物たちを見て満足して帰って行きました。


「みんな聞いて!」


みんなの中で一番小さい、ネズミさんが声を上げました。


「みんな、手を繋ごう! そして流れ星にパワーを送ろう!」


ライオンさんはゾウさんの鼻を、ウサギさんはキツネさんと、そしてすべての動物たちが手を繋ぎました。


「「「流れ星、流れ星、頑張れ! 光れ! 夜空に光を‼」」」


動物たちの声が、パワーが、願いが、流れ星に流れ込みます。


ピカー‼


動物たちの願いのパワーが流れ星を力いっぱい輝かせました。


そして、流れ星と流れ星の間にも光が繋がって……。


夜空に大きな大きなお星さまの星座が出来ました。


「「「やったー‼」」」」


動物たちの喜ぶ声が、お空に響きました。


年に一度の、奇跡が起こった、そんなお話でした。


ところで魔王さんは、大層悔しがっていましたと、さ。

お読み下さり、本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろかったです。 魔王さん、すごい力をもってるのに自力で飛べないんですね。
[良い点] 柔らかく温かみのある文章は童話の持ち味だと思います。 この物語は短いお話ですが、最初から最後まで動物たちの微笑ましい遣り取りが生き生きと描写されていて良いと思いました。 夜の魔王さんは、ひ…
[良い点] ほのぼのできました~♪
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