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ググレさんと教えてくん

作者: ルーバラン

「あ、おはようございますググレさん!」


「ん……なんだ、教えて君かよ」


「はい、教えて君です。あ、ググレさん、ちょっといいですか? 分からないことがありまして……」


「んー……最初に聞いとくけど、ググった?」


「ええと、ぐぐるってなんですか?」


「……まずそれをぐぐれよ。それぐらい人間としての常識だろ」


「ええ!? そんなの知らないですよ!」


「ったく、やってらんねえなあ……そんなことも知らない低脳なやつとは話できねえよ」


「ググレさん、ひどいです。なんでそんな冷たいんですか?」


「はあ? そっちこそ厚かましいとおもわねえの? ぐぐれば数秒ですむ話をわざわざ掲示板に投稿してさ。努力が足りないって言うか怠慢なんじゃねえの?」


「ググレさん……私だって一所懸命いろいろ調べて、それでも分からないから聞いているんですよ?」


「ほんとかよ?」


「本当ですよお……それでググるってなんですか?」


「グーグルで検索するの略だよ! それぐらい知っとけよ」


「……別にそれ、常識じゃないです。国語辞典にも載ってないです」


「国語辞典に載ってたら常識なんかよ。教えて君の常識偏りすぎじゃねえ?」


「うう……ググレさん、そんな揚げ足取らないでください。ググレさんって揚げ足とるの好きですよね。突っ込みどころあったらいくらでも突っ込みいれますよね」


「そういう間の抜けた質問するやつが悪いんだよ」


「……ググレさんは質問する人の気持ちが全然分かってないです」


「わかんねえよ。だって信じらんねえんだよなあ。例えばさ、『サッカーがうまくなりたいのですが』とか、『インターネットに接続できません』とか。そもそもそれって掲示板に質問することじゃないだろおが」


「なんでですか!? いろんな人からの意見を参考にしてですね」


「だから、何をどうやれば参考になるんだ? 質問者がサッカーをどれくらい上手にできるかという、その人の力量が分からない状態で、ウェブの向こう側の人の意見を聞いて何か参考になるのか?」


「ええと……それは」


「例えばサッカー部に所属しているなら、顧問の先生に聞く。自分よりうまい先輩、同級生に聞く。その人たちは質問をしてきた野郎の実力を重々知っているんだから、ちゃんとしたアドバイスができるだろう。掲示板に聞くのは変だ」


「でもですね、顧問の先生がド素人でしたり、先輩、同級生も下手でしたら、誰にも聞けないじゃないですか。その場合は掲示板に質問投げてもいいのではないでしょうか?」


「違う。サッカーの知識を増やしたいなら、サッカーの専門サイトを見たほうがよっぽどまともな意見が書かれている。練習方法まで事細かに書いてくれるサイトまであるんだ。まずそれをググらずして掲示板に質問する。そこはおかしい」


「そ、そそんなことないですよ」


「『サッカー 練習方法』でググれば、練習方法を載せているサイトはいくらでもみつかる。そういうちゃんとしたサイトを読まないで質問してきたやつを冷たくして何が悪いんだ」


「ですけど、それこそ先ほどググレさん、おっしゃっていたではないですか。『練習方法は載ってるけど、私に限っては、そんな環境もチームメイトもいないし、ケースが異なる』みたいな場合、質問しますよ」


「うわ、教えて君の悪い癖。『自分の場合はケースが異なるから質問した』……一緒だっつーの」


「……」


「あれ? どしたー? 図星だから言い返せなくなったか?」


「……ググレさん、さっきから聞いていれば、本当に失礼ですね。大体、ググレさん、何様ですか。自分が一番偉いと思ってるんですか? ググレさんにそこまで言われる筋合いはありません」


「べっつにー。何でもかんでも教えて教えて、って言ってくる厚かましい態度を取ってるやつに『あんた馬鹿?』って言ってるだけだしい」


「……ググレさんは私の気持ちちっとも分かってくれないです」


「わかんねーもん」


「大体ですね、掲示板で『敬語を必ず使いましょう』って書いてあるにもかかわらず『あのさあ、それぐらいぐぐれよ』と言い出すググレさん、常識云々より、人間としてどうかと思います」


「言うねえ……教えて君の癖に」


「ほら、『何々の癖に』って何でそんなに上から目線なんですか? さっきも言いましたけど、あなた何様ですか? 人を馬鹿にするのも大概にしてください」


「調べることもできない教えて君なんて見下して当然〜♪」


「……それぐらい調べろよっていっつもいっつも言いますけどね。それならググレさんはどれくらい調べているんですか? 質問した人が携帯かどうかとか分かる掲示板でも、プロフィールをクリックしたら質問した人が小学生だって分かるような場合でも、すぐに分かるにもかかわらずそれすらしないで『ググレ』……あなたこそ調べてないじゃないですか!」


「……はあ? 何のこと?」


「そうやって都合が悪くなると逃げるんですよね。携帯を使ってグーグルで検索をするのってとても大変なんです。ホームページはぐちゃぐちゃになって読めないですし」


「探し方が下手なだけだろ」


「だから、相手がどんな人か分からないのに、そんな事言うのはやめてくださいって事です。掲示板に質問したとき、もしかすると初めてインターネットにつないで、初めて投稿した人かもしれないじゃないですか」


「はっ、初心者だから許されると思ってる教えて君のその根性がムカつく」


「みんな自分みたいにできるもんだと思っているググレさんの考え方、私には分かりません。今日こそ仲直りしようと思いましたけど……今日も無理です」


「俺も教えて君とは一生分かり合える気がしねえよ、んじゃな」


「はい、それでは失礼します」








翌日。


「おはようございます、ググレさん! ちょっと教えてほしいんですが」


「教えて君さあ、ググレ」

中立のルーバランです。突然書きたくなりました。


ええと、多分これぐらい極端な人はごくわずか……ですよね? 


読者の皆様方はどっちですか?


それでは。

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