異変の始まり1
唐草の体操服を着たルメリアが腕を組みながらベッドに座る。賢助は椅子に座ってルメリアと対面になる。
「お前がケインならどうしてそのような姿をしているのか説明してくれ。」
ルメリアは先ほどまでは赤面していたが落ち着きを取り戻して問いかけた。
ルメリアが自分をケインだと認識出来ないのは夢でのケインとしての自分と現実世界での見た目が全く異なっているからである。
夢世界の自分は長く伸ばした金髪で青い瞳にその左目を髪が隠し、肉付きが良く身長は約百八十近くあった。
それに比べて現実世界の自分はそこら辺にでもいるような癖っ毛の黒い髪に少し痩せ気味で身長百七十くらいだ。
そう簡単に俺がケインである事を認識して貰えないだろう。
「この世界が俺がよく話してた異世界でこっちでの俺はケインではなく唐草 賢助という名前で暮らしている。」
ルメリアは急に立ち上がり窓の外に顔をだして周囲を見渡した。
見た事の無い建物や物体、黒髪の人々がちらほらいてルメリアは衝撃を受けていた。
「ごめんなさい。少し独りにしてほしい。」
ルメリアの表情から戸惑っていることが伺えた唐草は部屋から出ることにした。
一時間後に俺は自室のをノックすると小さい声で「入って」と返事が返ってきたのでゆっくりと扉を開けて部屋に入った。
ルメリアは窓の側で蹲っていた。
「理解した。ここが貴方の言うとおり私がいた世界とは異なっていて貴方がケインである事をね。」
弱々しい声で話すルメリアの隣に唐草は座った。
「どうやってお前がこの世界にきたのかも知らないし元の世界に帰す方法もわからない。でも俺はルメリアの味方だ。見た目は違っても中身はケインそのものだ。どんな事でも協力するから…」
ルメリアは賢助に身を寄せて表情が僅かに明るくなった。
「ありがとう」
賢介とルメリアは暫くこのままでいた。
この日から世界は少しずつ変わっていった。