第15話 壊れる。壊れる。
急な場面展開、年齢上昇注意。
「…」
壊れる。
私自身が、彼の憎悪に対し、壊れる。
数十分、彼女と話しただけだった。
私は、この人間を評価している。
『まるで、ジャンヌ・ダルクのように』
そう表現したのは、彼だ。
そう、神の声を聞いた愚かな少女。
そう、神の声を聞いた神聖な少女。
そう、彼女こそが神であった。
(今回のこの事案のように)
「悲しい。」
そう、一言だけ呟き、少女を手放した。
瞳は、黒く濁った。
「はぁ…やれやれ。それでは、また…神に見放された少女よ。」
そして、神に愛された少女よ。
そして、不幸に愛され、今から殺される少女。
「憎悪と愛は、似ても似つかない感情。」
いつか、そう聞いたことがある。
そうなのだろう。
だが、一つだけ間違いがある。
「憎悪と愛を示すのは感情ではなく、人間である。」
にっこりと自身でいうのはなんだが、胡散臭い笑みを浮かべた。
「汚れを知る少女と。穢れを知る少年よ。」
「貴殿らが、幸福ならんことを祈ろう。」
あの目覚めた神に対して。
「それでは、さようなら。」
*
…目覚めたのは、映画館。
「ここは」
私が。私は、何をしに来たのだろうか。
目の前には、見知らぬ少年。
いや、違う。私はそいつを知っている。
ガラス片を持ち、血相をかいているその大人を。
「…いつから、私は大人になったのだろうか…そんな質問があるとしたら?」
「違う、違う違う。全部、全部お前のせいだ!!」
隣を見れば、撲殺された少女。
もう一つ、隣を見れば惨殺された少年。
笑いそうになるのを堪えて、微笑んだ。
「何笑ってるんだよ…!」
「こんなにも荒んだ世界で、私たちは、よく生き残れたね。」
「お前なんか、死ねばいいのに…お前が、死ねばよかったのに」
哀れみの瞳を、彼らに向け始める。
彼の顔を私に向けさせる。
「全てを思い出して、私たちは。」
「…知ってる。全部知ってるんだよ…!全員を、生き返らせろよ。」
「私たちは、人間なんだよ。それは無理だよ。」
鉄矢くん。
ボロボロのカーテンがひらひらと舞う。
唯一、綺麗なのだとしたら、それは画面。
「…現実逃避のためだけの、モノ。」
きっと、世界は壊れている。
正直、自分が書いた話の中で一番ここが好きです。
滅びた世界の中で綺麗なものが一つポツンとあるとしたら、それはきっと現実逃避のためだけのモノだって思いませんか?




