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私の____な日常  作者: 百合烏賊
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第1話 私の奇妙な日常

「要さん、おはよう」

私の今の母親に話しかける

「おはよう、どう?一週間経ったけど、安心して寝れてる?」

無邪気な笑顔を浮かべる、要さんは私の元母親の姉

両親を殺した私に唯一、手を差し伸べてくれた人

誰もが不気味がり、軽蔑や蔑視な目で私を見る中

私に話しかけて、言ってくれたのだ

「大丈夫?私のところに来る?」と

私は泣きたくなった

いつか、私もこんな優しい心を持った人になりたいと憧れた

「おはよう。うん、大丈夫だよ。いつもありがとう」

心配させたくないから、私は嘘をつく

「今日、学校だけど・・・大丈夫か?」

心配そうな顔をこちらに向けたのは、要さんの旦那さんの椿さん

椿さんは、最初びっくりしたようだが、その後、裏のない笑顔を向けてくれた

「やっと・・・娘が出来るんだな・・・」と呟いていた

「うん、大丈夫」

きっとやっていける

真っ赤なランドセルを背負って、私は、学校に行く

「行ってきます」

安心する場所を出ると

途端に不安が押し寄せてくる

大丈夫なのだろうか、きっといじめられるだろう

前もそうだった、でも・・・少しでも信じたい


私は涙を浮かべながら、一歩踏み出す








やっぱりダメなんだ

先生からは軽蔑された

新しいクラスの子からは、無視された

私は重い空気が溢れる教室から、逃げ出した

最上階の階段付近に座っていた

「私はここにいちゃダメなのかな…?」

そう呟くと同時に、涙がこみ上げてくる

「そんなことないよ」

目の前から声がした

ふと、前を振り向けば、男の子が立っていた

「誰?」

私がそう問えば、男の子はニコッと微笑み

「鉄矢だよ、鉄の矢って書くの。隔離クラス6年生、同じだよね?よろしく」

と言った

この状況では、私も言わなければいけないのだろう

「私は…笛吹愛莉、同じ6年。よろしくね」

少し、名乗る事を躊躇ってしまった

なぜかはわからない

自然に口が噤まれたのだ

「そっか、うん。同じ6年だね、一つ聞いていい?」

まだ彼はニコニコと笑う

「うん、いいよ」

少し、寒気がする

気持ちが悪い、吐き気がした

なぜか、体じゅうが痛い

「___やった事ある?」

彼の口から出た言葉が聞き取れない

冷たい、寒い

痛い、頭が痛い

気づけば、床に寝転がっていた

咳が出る、熱い、寒いの繰り返し

思わず、助けを求める

「助けてぇ・・・」

まるで走った後かのように息が切れる

「それが君の答え?そっか、_う__、かく_ク_スへ」

気がつけば、泣く要さんと椿さんがいた

どうやら、鉄矢に助けられたようだ

後でお礼を言わなくてはいけない

「あのね、よく聞いてね…愛莉は隔離クラスに行くことになったの」

かく・・りクラス?隔離?

「なんで?私、何もしてない!」

焦る、だって、普通の子として生きたい

死んでいい子じゃなくて、生きてダメな子じゃなくて

普通に求められて、生きていい子がいい

「ひどいよな、隔離なんて…」

「仕方ないわよ、校長先生からの気遣いだもの」

気遣い?

「愛莉、クラスに馴染めなかったでしょ?…だから、ね…」

悲しそうな顔をする要さんを見て

ああ、そっか、私は何も求めてはいけない

普通には二度と戻れないと察する

「そっか…私、頑張る」

もう死んだ目を細めて、微笑する

仕方ないのだ、仕方ない

「うん、ごめんね…」

頭を撫でてくれる

安心して泣きそうになる

だけど、求めてはいけない


*隔離クラスにて

「今日、あっちからもう一人来るんだって!」

少女は元気そうな声ではしゃぐ

「へー!どんな子なんだろう!」

少年は待ち遠しそうにする

「僕、会ったよ」

ニコニコと僕は笑いながら、言う

「次の子は何をしたの?」

メガネの少年が冷静に言う

「____」

僕は、言った

あの子の真実を

「そっか、先生みたいな人じゃなくてよかったー!」

安堵する皆を見て、僕はニコッと笑う

「だよなー!先生、もはや変た」

ある優しい少年の言いかけた言葉を、その先生の言葉によって遮られた

「何か言ったかなー?誰が誰のことを言ったのかなー?ああ”ー?!」

般若面で先生は生徒を追いかける

「ヒー!?」

そんな叫び声が教室に響く

このクラスは君が来ることによって、もっと賑やかになる

そうだよね、___


隔離クラスは本校から離れた旧校舎にある

本校は町の真ん中にある

旧校舎は、町の右にある森の中にある

だが、危険という事はなく

自然と戯れれる、良い場所…だが

隔離なんて言われたら、ひどい病気やら伝染病…いいイメージはないだろう

家から15分

案外近い

ただ、不安はいっぱいだ

自分がなぜ、こんな場所に来たのかはわからないからだ

「大丈夫…大丈夫…」

自分に言い聞かせる

学校前に来たはいいものの

すごい…そんなことを思わせる

海外の屋敷を思わせる見た目は、自然と私の不安は和らげられた

入り口は、どうやら、両開きドアのようで

ただ、本校の鉄のドアと違い、こちらは木製のようだ

「本当にすごい…」

少し、期待してしまう





下駄箱は、鍵付きのロッカーのようだ

なぜ、鍵がいるのだろう?

そんな疑問を持ちつつ、自分のロッカーらしき場所に貼ってある、紙を見る

【鍵はかけてないので、入れてから、これで締めてね。鍵は自己管理とします。

下に書いてある地図を見て、職員室まで来てくださいね】

地図の横に可愛いクマのイラストが『ここだよ!』と言っている

そして、鍵がテープで貼られている

私は靴をしまった後、紙を乱暴にはがし

職員室の方向へ歩き出した


*

「どう?」

心配そうに見つめる少女は、少年に問う

「…少し、乱暴な子だね」

少年は、少女の一部始終を見てから言った

「えっ、でも、可愛かったな…」

頬をポッと染めて、少女は言う

「…オトモダチになれたら、いいな」

少年はそんな少女に微笑む

「うん!」

少女は笑顔を浮かべる

君が来たことによって、笑顔を浮かべる人がいるよ

ねぇ、早くおいでよ…___


なんか、さっきから、視線を感じる

「寒い…」

森の中からか、少し、肌寒い…

今はまだ春だというのに…

目の前には職員室があるのだが、一つの部屋のようにも見える

コンコンとドアを叩く音が廊下に響く

少し、怖い…

「はいはーい、新しい隔離ちゃんかなー?開けていいよー」

若い女性の声が部屋の中からする

恐る恐る開けてみる

一つの書斎のような空間

パソコンのキーボードを打つ音と、小鳥の声が重なる

日が当たり、女性の姿がだんだん、見えてくる

「おはよう!初めまして、隔離クラスの担任の篠美優です」

ニコッと微笑む女性はとても綺麗で、思わず、見入ってしまう

「…どうしたの?気分悪い?」

心配そうに見つめる篠先生を見て、ハッとする

「は、初めまして、隔離クラスへ行くことになった、笛吹愛莉です」

少し、戸惑ってしまったが、なんとか挨拶ができた

「そっか、よかった。可愛いねー、愛莉ちゃん」

ニコニコしながら言う先生に、私は思わず、無表情でありがとうございますとだけ言った

「あら、嬉しくない?それもそれでいいわ」

ニヤっと笑う先生を見て、少し、不安になる

本当に大丈夫なんだろうか…


*

「先生…ロックオンしてない?!」

涙目で言う少女に少年は

「ああ…やばいぞ…!?」

顔面蒼白で少女に答える

「助けなくちゃ!」

「ああ!」

少年と少女は駆け出した

愉快愉快

もっと楽しもうよ、____

ネ?


着いたのは薄暗がりの倉庫

「?」

ここどこ?教室ではないだろう

「なんでって顔してるわね…可愛いわ」

先生は恍惚な表情を浮かべ、私を見る

「ああ、可愛い。食べちゃいたいくらい」

先生は少し舌を出し、唇を舐める

「…」

だが、私は無表情のままだった

「あら、動揺しないの?そんなところも可愛いわ。苦痛に歪む顔も見たいわね…」

先生がそう言うと同時に

ドアがガタガタと音を鳴らす

「大丈夫!?先生!手だしちゃダメ!」

「あんた、またあんな豚小屋行きてぇのか!?」

少女の声と少年の声が聞こえる

「あら、早い…でも、鍵かけたし、お楽しみのお食事タ〜イム」

先生は内ポケットから、サバイバルナイフを取り出し

私に向かって、振り下ろそうとした、その瞬間

「センセ〜、僕、センセーとお話ししたいな〜」

ドアの向こうから、鉄矢の声が聞こえた

「鉄矢くん!?鍵あけるから待ってね!」

先生は恍惚な表情を剥がし、まるで、王様の命令を聞く兵士のように、動く

だが、表情は、真っ赤な顔

まるで彼が好きだというかのように

気づけば、鍵が開いており

先生も倉庫からいなくなっていた

倉庫から出れば、鉄矢が先生に抱きしめられ、ニコニコしていた

いや、見るたびに彼はずっとニコニコと笑っている

いつの間にか、隣にいた少女が話しかけてくる

「初めまして!私、ウズラ!あなたは?」

「…愛莉、よろしくね」

「僕は、広樹。よろしく、大丈夫だった?」

「うん、大丈夫だった…みたい」

心配する彼らと先生を交互に見る

冷静に質問に答える

「よかったよ、今度から二人だけの時とかは警戒してね」

…危ない人なのだろうか?

「異常性癖、わかる?」

どこかで聞いたことがある、私は静かに頷いた

「先生はヘマトフィリア…血液性愛なの」

「ペドフィリアでもあるんじゃない?」

少女は先生の性癖を暴露し、少年はふふっと笑いながら、またもや暴露する

そうか、異常性癖か、それならうなずける

あっ、そういえば…と思い、疑問だったことを聞く

「あなた達も隔離クラスの人たち?」

二人は目を見合わせ、こちらに笑顔を向け、「うん」と答えてくれた

鉄矢が先生の背中をトントン叩くと先生はスッと立ち、こちらに振り向き

「ようこそ、隔離クラスへ。あなたは、今日から私の大事な生徒として歓迎します」

と、とびきりの笑顔で先生は私に言った。


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