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09 ごちそうさま
はっとして、ポン吉は目をさましました。
一本松の幹の下。
よだれをぬぐって顔をあげます。
「あれ?」
足は4本。体は毛むくじゃら。もとのたぬきの姿です。
「ポン吉さん」
キツネの女の子が、ポン吉の顔をのぞいて言いました。
「またお昼寝してたの?」
「うん……なんだか、夢を見ていたみたい」
ポン吉はぼんやりした顔で、
「人間になって、おいしいものをたくさん食べる夢」
「ヘンなポン吉さん」
キツネの女の子はおかしそうに笑います。
「それより、ねえ、見て」
くいっと首を空に向けて、
「不思議なこともあるものね。雨も降ってないのに、ほら虹が」
ポン吉も空を見上げました。
そこには、キャンディーみたいにおいしそうな、7つの光。
空に光る橋のうえで、みんなが笑顔で手をふっていました。
(おしまい)