05 おおいそがし
お店でおいしいご飯を食べさせてもらったポン吉は、まん丸になったおなかをさすりながら町を歩きます。そうそう、忘れてはいけません。人間の王さまに、森を壊さないようお話をしに行かなければならないのです。
広い道を歩いて行くと、お城にたどり着きました。
ずどーんと大きな門があって、その手前にはきびしい顔をした門番が2人立っています。
「あのう、すみません」
ポン吉は言います。
「王さまに会いたいんですけれど」
「ダメだダメだ!」
門番は首を振って、
「知らない人間を城に入れることはできないんだ。さあ、帰った帰った」
ううん、厳しいなあ。
物かげに隠れてポン吉は、アンリに化けてみました。どこからどう見ても、金色の髪をしたエルフの女の子です。門番のところに近づくと、
「おまえ、エルフじゃないか! 何をしに来た!」
槍を突きつけられて大慌て!
ポン吉は逃げ出します。
「そうだった……エルフと人間はケンカ中だった……」
しばらく悩んだあと、ポン吉はぼわわんと姿を変えました。そうです、ひげ面のおじさんです。門番たちと同じようなよろいを着こんでいます。これならきっと大丈夫。
「やあやあ、きみたち」
ポン吉はえらそうに胸をはって、手のひらを振りながら歩いて行きました。
「やや! これは騎士団長どの! どうぞお通りください」
うまくいきました。門番たちはすばやく動くと、重たい鉄のとびらをギギギっと開きます。
お城の中に入り、廊下を歩きます。赤いじゅうたんや、汚れひとつない白い壁。天井はとっても高くて、思わずポン吉はキョロキョロしてしまいます。すれ違う人たちはみんな、おじさんの姿をしたポン吉を見ると、まっすぐに立って頭を下げます。
すると、廊下の向こうから誰かがやってきました。
「うわ! まずいぞ!」
ポン吉はあわてて飛び上がります。立派なひげとピカピカのよろい。赤いじゅうたんをのっしのっしとやって来るのは、本物のおじさんです。このままでは、ポン吉の正体がばれてしまいます。
「えいっ!」
ぼわわん。急いで変身したのは、ならず者の大男。ようし、これなら大丈夫。ポン吉がほっとして、騎士団長のおじさんとすれ違おうとしたところ、
「うん? なんだおまえは?」
おじさんに呼び止められてしまいました。
「あやしいやつめ、こいつを捕まえろ!」
周りにいた兵士たちがドタバタとポン吉を取り囲みます。しまった! これも失敗だ! ポン吉は慌てて走り出します。
「あっ! こら待て!」
待てと言われて足を止めるたぬきはいません。すたこらさっさ。ポン吉は大急ぎで逃げて、廊下の角を曲がったところで、もう一度変身しました。今度は、食堂で会った真っ白なひげのおじいさんです。
「ほら、捕まえたぞ! ……って、あれ?」
追いかけて来た兵士は、ポン吉の姿を見ておどろきます。
「こ、これは国王さま! 失礼しました!」
「国王さま?」
ポン吉は首をひねりました。