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スライド  作者: シエン
1/10

一日目 その1:主語はちゃんとつけよう

■自宅玄関 AM11:12


 春休み4日目のことだった。

 僕宛に郵便物が一つ届いた。それは宛先不明な小包。

 かなり怪しいそれを僕は何の警戒もなく開けてしまった。今更後悔。

 中にはブレスレットらしきものと、黒い紙切れと青い紙切れがが入ってあった。

 黒い紙を手に取る。

それに書かれていた内容はこうだった。

『おめでとうございます。

 貴方様は見事101人の中の1人に見事選ばれました。拒否権はございません。

 しかし、勝ち残ればそれに見合う地位と財産が手に入るでしょう。

 尚、同封されているブレスレットを3月30日午前11時までに装着しない場合は、執行人が貴方を始末します。

ブレスレットの詳しい使い方については、青い紙の方をご覧下さい』

………………

…………

……



 まっ、次いこ。

 今度は青い紙を見ることにした。


  取扱説明書




・右手にはめる(左手でも可)






          』













 だけかよ!!!!!

 少ないし、詳しくないし、意味ないし。これいらねぇし。




………まぁいいや。

さて、と。まだこれに書いてある期限まで4日あるな。

わからないものは、丁寧且つ慎重にと言ってたからな。






 誰が言ってたんだろ?




……まぁいいや。


 寝よ。

 有言実行と言うことで、僕は自室に戻って寝ることにした。



     ◆     


■自室  AM11:19


 さてさて、これはどういうことなんだろう?

 僕の部屋に見知らぬ少女がメイド服を着て、正座をし、さらにこちらを睨んでいるではないか。とりあえず、

 「失礼しました」

ぎぃー、バタン。

 一度ドアを閉めて深呼吸。

 すーはー。すーはー。

 よし、確認。

 ここは僕んちあれは他人。ここでえらいのは僕。あのメイドじゃない。

「よし!!」

 気合いを入れていざ出陣!

再びドアを開けるとさっきと同じ位置で鋭い眼光で睨んでいる。

 しかし、この状況を打破しなければ、

 「……なんで、僕の部屋にいるんでしょうか」

 つい敬語になってしまった。

 気合い負けした証拠だな。うん。


「見たか」

「えっ?」

 急な問いかけで反応できなかった。

「見たかと聞いている。早く答えろ」 あくまで、正座を崩さず、それでいて命令口調。……というより、なんで命令されてんの僕?最初の敬語がいけなかった?

「貴様早く答えぬと斬るぞ」

わぁー、帯刀している。

 絶対銃刀法違反とかなんとか言ったら斬られるだろうな〜。

「貴ぃ様ぁ〜、ここまでシカトされたのは初めてだ。後10秒与えるそのうちに答えなければ斬る。嘘じゃないからな。絶対だぞ」

 いや、逆に嘘っぽいでしょ。『じゅ〜う』


『きゅ〜』


 突っ込みどころ満載なんだよね、この状況。


『は〜ち』


『なな、ろ〜く』

 なな普通だし!


『ご〜』


『よ〜ん』


とりあえず、


『さ〜ん』


正直に言ったほうが


『に〜ぃ』


いいだろう。


『い〜ち』


『ぜ〜ーー

「あのー」


「なんだ」

「すいません、見ました」

「別に謝る必要はない。で、どうだ」

「えーっと、あおとしろのしましまもいいと思うけど、僕的には、清楚な感じの純白がいいと思います」

「?」

 あれ?違ったかな。あの子の顔がだんだん赤くなっていく。うん、斬られるな僕。

「………っ。死ねぇー」やっぱり。



ぐさっ。


 僕の後ろのドアに彼女が投げた刀が刺さった。 ふー、間一髪。

 冗談はさておき、このまんまじゃ埒があかないな。

では、

「結局、なにを?」

「………なにがだ?」

「主語がわかんないよ。それじゃ」

「うむ、確かに。すまなかった。だがな、さっきの件は許さぬからな」 ちょっと涙目で睨みつける少女に少しドキッとした。

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