秋---not happy Halloween!!
ハロウィン記念短編です! 短いですがお楽しみください。
皆さんは、Halloweenを知っているだろうか? いや、知ってないと困るんだけどね? 話が進まないし。
今回の話は、そんなハロウィンの必須Word、トリック・or・トリートにまつわる話だ。
直訳すると、お菓子かイタズラか。まあ、要はお菓子をくれなきゃイタズラするぞ! という物だが、今回のソレは少々行き過ぎている。
まぁ、せいぜい楽しんでいくといいさ。
それだけ伝えると、黒装飾のおじさんは霧の中に消えていった。
◇◆◇◆◇
「トリックオアトリイト!」
「はいはい、飴ちゃんをあげるわ」
「「わーい!」」
白いオバケの格好をした2人の幼稚園児たちが、マンションを駆け回り、一室一室にインターホンを鳴らす。
幸いにして、このマンションの住人はみんないい人だから、特に問題はない。一部を除いて。
幼稚園児たちが、俺の部屋の隣にある空き部屋にインターホンを鳴らすが……そこの部屋は、去年サンマの食中毒にあって死んだおじいさんの部屋だ。おじいさんは独り身だったうえ、そこに引っ越した人はいないから、当然その部屋に住んでいる人もいない。
その、ハズだった。そこの部屋には、定期的に管理人が来ては掃除をしているから、その時は大して気にもならなかったが、鍵が開くガチャリ、という音が聞こえた。
その後、幼稚園児たちは俺の部屋のインターホンを鳴らす。
俺は扉を開け、幼稚園児たちを出迎えた。
すると、不意に扉を上ってくる管理人が目に入った。
刹那。ゾッという悪寒が背筋を震わせた。
なぜ、管理人は何も持っていないのか。
忘れ物をしたなら、何処かに持っているハズだろう。
しかし、管理人は何も持たず、平然と巡回をしているように思えた。
俺の、あまりにも突飛な仮説が正しいなら、この状況はあまりにも恐ろしい。
「「トリックオアトリート!」」
幼稚園児たちは、今度はトリートを滑らかに発音した。
逃げなければ。直感が俺を突き動かし、恐怖で動かない俺の体に鞭を打った。
即座にリビングへと逃げ込むと、幼稚園児たちはスゥー、と浮遊しながら俺に迫る。
「「トリック! イタズラ!」」
幼稚園児たちは手をつなぐと、黒かった目が血の塊のような、真っ赤な色に染まる。
片方の幼稚園児の腕が分散し、矢のごとき速さで俺に突っ込む。
俺はそれを咄嗟に回避すると、俺がいた所にはガトリングを撃ち込んだかのような穴ができていた。
「クッソ! 捌いてやる」
俺は台所から包丁を持ってきて、おおよその正体がわかっている、突っ込んでくる幼稚園児の腕を捌く。
ジタバタと暴れるソレを捕まえ、正体を確認する。
「なんだこれ……サンマ?」
なるほど、繋がった。全ての元凶は、コイツか。
「ならば!」
俺は幼稚園児の腕をかわしながら、何とか懐中電灯を手に入れ、光に集まる習性を利用してサンマを誘導し……マッチを擦って、サンマ達を塩焼きにした。
◇◆◇◆◇
翌日、警察が俺の部屋に尋問に来た。
なんでも、少年2人が行方不明らしい。
俺は、心臓がわしづかみされたかのような気分になったが、結局少年達は隣の部屋で寝ていたそうだ。
警察はこの怪奇事件を単なる事故として処理したが、俺は絶対に忘れない。
サンマの塩焼きの大行列を。
それから、俺はサンマが嫌いになり、サンマを一生食べることはなくなった。




