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8、学校祭後になぜこうなる! 全く意味が分からない! 

お楽しみください。

 あの一か月前の学活は本当に緊張した。あれからいろいろあって準備が続々と進んだ。

 「みんな、お菓子の数と種類が注文票と合っているか最終確認して」

 私は落ち着きが無く、ともかく何かしていないと駄目だった。だから今もこうして最終確認を行わせた。

 「またー!? もう三回目! 多過ぎ!」

 里奈ちゃんがそう言ってくるので謝る。でも仕方が無いことなんです。何かしていないと心が落ち着かず、ムズムズするのだから。

 「班長、落ち着いて」

 「凜歌ちゃんの言う通りよ。はいっ、深呼吸」

 なぜ、凜歌が私を「班長」って呼んだかって? それはまた一か月前に遡る、とかはしません。なので簡単に。

 まず販売班、製造班、宣伝班、お菓子配り班の四つに分かれようと言う話になった。すると凜歌は急に、販売班では羅音さんが班長です、と言い放ちやがったのだ。やがった、とか女子っぽくないかもだけれど、この際そんなのどうでも良い。

 ともかく、凜歌の勝手な発言で私は販売班の班長になったのだ。これまでにやりがいは十分あったけれど、これからが本番。お客さんにお菓子を販売して、やりがいを感じる。

 では、そのやりがいとはどんなものなのでしょう? 私は自分たちの行動で決まると思う。失礼な接客をして、お客さんを怒らせて終わってしまったら最悪なやりがいに。正しい接客で、お客さんを笑顔にして終われれば最高なやりがいに。

 もちろん私もみんなも最高なやりがいを感じたい。なので最終確認を三回もやる。

 「すうー、はあー」

 私はわざとらしく声を出して深呼吸をする。全然落ち着かない。ってか逆に、今までの早い呼吸のリズムが乱れて苦しい。学校祭開催までの残り五分間、我慢して。

 「みなさん、あと五分ですよ。並んで並んでっ」

 岡先生が教室に入ってきてそう指示する。

 私たち販売班はわざわざ岡先生に販売場所を変えてもらったのだ。感謝の気持ちを今回の売り上げやお客様の笑顔で伝えなければいけない。岡先生はあからさまに緊張していて、私と同じで落ち着きが無い。私のエプロンのホコリを取ったかと思うと、教室の一番後ろに行って私たちの立ち位置を修正する。その後、ちょっとお菓子見せて、と言ってお客さんのお菓子を覗き見する。もしかしたら私より落ち着きないかも。

 「それじゃあ、頑張って」

 岡先生は息を切らしながらもニッコリと笑顔を浮かべる。なぜだか額が汗でびしょびしょだった。どんだけ緊張してんのよ!

 「岡先生、羅音より落ち着きなかったね」

 岡先生に並べと言われ、きっちりと無言で自分の立ち位置にいた私たちだったが、以外にも凜歌が沈黙を破った。

 みんな確かに、とでも思ったのかくすくす笑い出す。私も笑ってしまった。何でだろう。先生とか結構完璧なイメージがある人の変な姿を見るとやたら笑っちゃうってやつ。

 私は最初くすくす笑いだったものの、さすがに我慢できなくなって吹きだしてしまう。唾液が少し飛んでしまったかも。口の周りが少し濡れている。

 「めっちゃおもしろい」

 みんなも私に釣られてか吹きだす。さっきまでの静けさは一変。笑い声が教室から廊下まで響く中、やたら高く大きい笑い声がする。

 「凜歌、笑い過ぎ。大丈夫?」

 私はさっきのさあー、とか話しているみんなを掻き分けて凜歌の元へ行く。背中を擦ってあげなきゃ過呼吸で死んでしまう。

 「ありがとう。ふふ。はあはあ」

 凜歌の顔はクシャクシャで、頬は涙で濡れていた。呼吸は荒く、このまま放っておけば本当に死んでいたかもと思わされるくらいだった。

 「これから、学校祭を開催します!」

 急に放送が入る。遂に開催されたようだ。一階が騒がしい気がする。

 これからお菓子を求めてたくさんの人が三階まで上がってきてくれることを願って、私は自分の立ち位置へと戻った。

                                 #

 「ありがとうございました!」

 私は最高の笑顔を浮かべてお客さんにお菓子を渡す。お客さんは笑顔で受け取ってくれた。とっても嬉しい。だがいちいちよっしゃ! とか言っている暇は無く、どんどん注文が来る。これも嬉しいこと。

 「お兄様!?」

 凜歌がそう驚く声が聞こえた。声の聞こえたほうを見ると、樹乃さんがいた。でも私が前に見た樹乃さんとは何かが違った。髪はグシャグシャで、スーツは胸のあたりの色が少し抜けている。清潔でかっこいい樹乃さんはどこへやらだ。

 「凜歌、仕事!」

 私がそう叫ぶと、凜歌は樹乃さんから紙袋をもらって、仕事へ戻っていった。戻るときの顔は笑顔で嬉しさが滲み出ていた。紙袋を手にしていたので何かもらったのだろう。

 その後もお菓子を売りに売って学校祭は終わった。何度お客さんの笑顔を見たことか。お腹いっぱいだ。

 私は教室で凜歌と一緒に片付けをしている。学校には私たちくらいしか生徒がいなく、みんなあと班長よろしくー、とか言って帰ってしまった。そこで凜歌が手伝うよ、と女神のような笑みを浮かべてきたので、今こうしている。

 教室にはたくさんの机が置かれている。販売や会計で使った。机を元の並びに戻そうと思った時、あの紙袋が目に映った。凜歌のだ。

 「凜歌、紙袋」

 「ああ。それ何入ってるの? 見てみてよ」

 凜歌は色紙を剥がしながらそう言う。あまり重く無く、ケーキとかでは無さそうだ。袋の中を覗くと、かわいらしいデザインの箱が入っていた。リボンで結ばれていて、樹乃さんらしさが出ていた。凜歌に見てみて、と言われたので箱を取り出し、机の上で開けてみる。

 「わーお。マカロンだ。でも、何これ?」

 「それどういうこと? マカロンだーって言って、何これって矛盾してない?」

 確かにそうだ。でも見た目は何これ、と言わざる負えなかった。青紫色、とでも言えばうまく伝わるだろうか。ともかく食欲をそそらない色。形は完璧なマカロンなのに。

 「え? 腐ってる? 否、お兄様に限ってそんなことは無いはず」

 おっ!? さすがブラっ! じゃなくてお兄さん好き。でも私もそう思う。あの樹乃さんに限ってこんなことは。匂いを嗅いでみた。

 「ん!? めっちゃ匂いはおいしい。マカロンの匂い! なすを使った最先端スイーツとか?」

 適当なことを言ってみた。匂いはおいしかった。あまーい匂いで、ザ・マカロンって感じ。

 「食べて良い?」

 「私も食べる」

 箱の中には青紫色マカロン二つと、オレンジ色マカロン一つが入っていた。取る順番的に私青紫一つにオレンジ一つ。凜歌は青紫一つ。

いっせーのーで、で食べた。私は大のお菓子好きなので二つ一気に食べた。

 「ん!? おいしい! 二つともおいしい」

 「青紫色のマカロン、見た目のわりにおいしい」

 すると、教室の電気が消える。そして、全ての電灯は一瞬火花を散らすと、勢い良く割れた。

 破片が飛び散る。私たちは驚いて、尻もちを着く。破片が当たらないわけがなく、私の場合は揉み上げに掠る。凜歌の場合は右手に刺さっていた。血が滴り落ちているのを見ると、体が勝手に反応した。

 「凜歌!? ちょっと待ってね」

 ポケットをあさって、ハンカチを取り出す。そして凜歌の右手に巻こうとしたその時。

 「うわっ!」

 「えっ!?」

 床に穴が開いた、とでも言えば良いのか。急すぎて全く状況が理解できない。

 気付けば私たち二人は花畑にいた。

 全く意味が分かりません!

 

 

 

 

どうだったでしょうか。今までは原稿用紙十枚分ほどの短いものでしたか、次回はお菓子の国に入ったということで、五十枚分ほどにしたいと思っています。ですが、テストが近いので、遅くなるかもしれません。

最後に。読んでくださった方に史上最大級の感謝を!

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