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13、花国の一大事

お楽しみください。

※「花国」の読み方はかこく。「菫」はすみれです。

 風のささやき、川のせせらぎ。

 六か月前までは聞こえたけれど今は聞こえない。屋外に行っても聞こえないのだから屋内で聞こえる訳がない。

 換気扇からはヒューヒューと風さんが興奮している声が聞こえる。

 「『テレパシー』。お元気? お花さんたち?」

 『やあ、ノー。王宮からまた抜け出したのかい?」

 向日葵さんは人聞きの悪いことを言った。

 「そんなわけないでしょう! 今日はカンヌが菓子国と武器国の関係が大変なんだ! とかで忙しいから来たのよ!」

 「それってカンヌに許可を取ったって言えるの?」

 私は黙り込んでしまう。

 向日葵さんの言う通りだ。カンヌが忙しいからって来ていいわけではない。人聞の悪いことを言ったかと思えば本当のことであった。

 「うるさいっ! そうやって深く掘り下げないの!」

 私は声を荒げた。

 すると花畑一面に咲いている花たちがさわさわと笑い出した。互いの葉っぱをこすらせながら。

 こんな大勢に一斉に笑われたのは初めてだ。何とも恥ずかしい。でも向日葵さんの言っていることは正しくて文句の付けようがないので余計恥ずかしいし、悔しい。 

 口が達者なのは相変わらずのようだ。

 「あはは。顔が真っ赤だよ」

 「うそ!? またー!?」

 「いつもだよ。ほんとおもしろいな、ノーは!」

 褒め言葉のようだがどうしてもそう受け取れない。ちょっと意味がずれてる。

 「それで? 今日の悩み事は?」

 「そうそう。悩み相談ね。あのね、花国の天気が異常なの。気付いてる?」

 「ああ。地面さんが教えてくれるよ。天気が異常だって。地面さんも言ってたけど強い魔法が使われてる気がするんだ。天気を変えるような」

 ここは王宮から少し離れたところにある「屋内花畑」だ。

 花国の天気が異常で屋外で放っておくのはかわいそうだということで五か月前にできた。ちなみに異常気象は六か月前からだ。

 屋内花畑には千種類もの花が咲いていて、私は今その中のひまわりさんと話している。花は各種類一本しか咲いておらず、人種類死んだらまた一つ種を植える。このサイクルなので、常に花は千本ある。

 向日葵さんは屋内花畑ができてからの付き合い。屋外にあったころは朝顔さんと話していたけれど、異常気象のせいで死んでしまった。

 「そうなんだ。もっといろんな人から聞こうか。『エリアテレパシー』」

 私はテレパシーの対象をひまわりさんだけから屋内花畑の花さんたち全員に変えた。

 変えると、屋内花畑が一瞬にして騒々しくなった。花さんたちも話していたようだが、私の悩みに付き合ってもらおう。

 「ごめんね。『エリアアテンション!』」

 注目を強制的に集めさせる魔法を使った。出来れば魔法など使わないのが良いのだが、花さんたちには口が達者な人が多いのでこうした。

 この魔法は最終手段としてよく使われるので、初めから使うととても印象が悪い。気が短いなどと思われてしまう。受けた相手も不快になるなずだ。

 だから使う前に謝ったのだが向日葵さんにしか聞こえてなかったようなので、今言おう。

 「ごめんなさい! こんな風に無理にはしたくなかったのだけれど、どうしても皆さんに協力してもらいたくって」

 俯く私に対して花さんたちは元気な声で大丈夫だ、と言ってくれた。優しさにあふれている花さんたちに心から感謝だ。

 「『ビッグボイス』。聞こえるかな? あのね、花国の異常気象についてひまわりさんに聞いていたんだけど、皆さんは何か気付いてることってありますか?」

 私はなるべく丁寧な言葉で話した。

 さん付けしているあたりから分かると思うが、花さんたちは私より歳が高く、人生の先輩だからだ。

 ひまわりさんには許可を得てタメ口だ。

 「魔法が使われてるね。それもとっても強力な。威力が強すぎるせいでたまに具合が悪くなるんだよ」

 「影響を受けてるってこと? ですか?」

 タメ口のまま終わろうとしてしまったが何とか大丈夫だった。普段使わないから慣れない。

 「ああ。みんなだよ。王宮内でも具合の悪い人とかいないかい? もし最近になって増えてるなら魔法のせいだよ」

 「ありがとうございます、桜さん」

 桜さんは五百二十七歳だ。年齢は花さんたちの中では断トツ一位で、花さんたちの中では師匠と呼ばれている。

 話し方は若者感満載で、全然枯れそうにない。一番年寄りなのにもかかわらず一番丈夫なのだ。根は何百メートルとはっていたらしく、屋内花畑への移動が大変だったと聞いている。

 「確かにいます。メイドたちで急に目眩で倒れたり、嘔吐したりする人はいます。そんなに強力なんですか?」

 「もちろん。天気を変えてしまうくらいだからね。相当な体力を使うはずだ。だから術者には相当負担がかかってるはずなんだけど、それを毎日日課のように行っているんだから怖いよね」 

 声と見た目のギャップがすごいがそこはまず良い。

 問題は天候を変える魔法が植物だけでなく人にも影響を与えているということだ。まだメイドたちにしか確認できていないが、実はもう国民にも影響が出ているかもしれない。

 そしてその影響が他国まで及べば世界が最悪なことになる。これは私と花さんたちだけで話し合うような小さな悩み、否、問題ではなさそうだ。

 「ありがとうございます。ではいつその魔法が使われているか分かりますか?」

 「誰か、正確な情報でなくても良いから少しでもヒントを」

 桜さんが大きな体を揺らしながらほかの花さんたちに訴えかけてくれた。ありがたいことだ。

 「知ってます」

 きれいな透き通った声が聞こえた。女性の花さんみたいだ。

 「私、菫って言います。良く夜中の二時に感じます。私、密かに時間帯とか気になってメモしてたんですけど、圧倒的に夜中の二時が多いんです。そしてあることが分かったんです。一か月前の今日、その魔法が二回使われているんです」

 どこにどうメモしていたのか気になるところだが、今はそこではない。

 一か月前の今日。十月二十三日だ。

 確かその日は一回、ベテランの魔法家さんに天気を変える魔法を使ってもらった。そして大雨だった天気を晴れに変えてもらったんだ。

 それが十月二十三日の一時。久々に静かな夜が過ごせる、とメイドたちと嬉しがったのを覚えている。

 そして私が寝てからすぐ、天気は大雨へと変わった。たぶんそれが二時だ。

 たぶんそこでⅩ、(天気を変える魔法を使う人)は一回魔法を使ったんだと思う。

 だがその大雨はベテラン魔法家さんの魔法の効果によってか、そこまで酷くは無く、大雨と言うよりは小雨だった。

 だがまた、Ⅹはもっと天気を悪くしたいとでも思ったのか二回目を使った。それが菫さんによると三時。

 十月二十三日のⅩの行動はこれで分かった。

 でもなぜ菫さんしか時間が分からなかったのだろう。

 「桜さん、なぜ天気を変える魔法が使われた時間を知っている人がすみれさんしかいないんですか?」

 「それはきっとね、同性だったからさ。たぶん私も感じれていたと思うけど、ほんとかすかだったんだよ。でも女性同士だと感じやすい。だから推測だけど、天気を変える魔法を使っているのは女性だよ」

 私は続けて質問した。

 「では、天気を変える魔法が使われたってのはいつ分かったんですか?」

 「起きた時にだよ。あっ、寝ている間に使われたな、って起きてから分かるんだよ。かすかにしか感じないからね。でも女性の菫は寝ている途中でもしっかり感じて起きてしまうんだよ。違う?」

 「いえ、師匠。合っています」

 なるほど。だんだん分かってきた。

 「じゃあ、最後に! 何で天気を変える魔法だけ感じるんですか?」

 「それはさっきも言った気がするけど強力だから。普段生活するうえで使われているものは弱いんだ。だから人が良く集団、地域でまとめて具合が悪くなるのは強力な魔法が使われたからなんじゃないか、って考えてる人もいるんだ」

 確かにそういう考え方もできそうだ。

 「じゃあ、本当に最後!」

 私は桜さんに手を合わせてお願いした。これで最後になるかすら分からぬままに。

 「何度でも良いよ」

 「ありがとうございます!」

 なんて心が広いのだろう。さすが、五百年も生きているだけある。

 「最後に、なぜその天気を変える強力な魔法は王宮に使える者たちや国民では感じれなかったのですか? 強力なんですよね? もし術者が女性なら私も感じれたはずです」

 「そうだね。考えにくいけど、術者が植物な可能性がある。例えて悪いけど菫みたいな女性の植物だ」

 桜さんの言った通りそれは考えにくい。

 まず植物は魔法を使えるが人間ほど強力で長く多くは使えない。言い方が悪いが、使えているのならもっと有効活用しているはずだ。

 でも私は思い出した。例外がいるかもしれないことを。

 それは花国に古くから伝わる神話に出てくる。その名もヌド。

 植物の怪物で、大きな体(茎)には薔薇のような棘があり、根にはまるで人の手のような根毛が生えている。花弁にはこれは実際の人の目が埋め込まれていて、勝手に動く。そして人間以上に魔法を使いこなす。

 これ以外にもたくさん特徴があるが、とても恐ろしく、植物は丁重に扱うことが花国としては昔からの言い伝えとなっている。

 なので花国では環境大臣には特に植物愛護に力を入れさせている。若い子は良く植物を踏んづけたりして遊ぶのだ。

 ヌドの仕業だとすれば今までの話の筋は通る。

 強力な魔法を使える女性の植物。                                 完璧にヌドだ。

 私はそう思って花さんたちに説明した。納得してくれた。

 これは一大事だ。

 

いかがだったでしょうか。

今回のお話の「私」はラノンではありません。私からは言いませんが名前は出てきています。

その「私」はいくつか魔法を使っていましたね。これからもあんな感じで出てきます。カタカナ語と言いつつ英語のまんまですのであまり効果は説明していませんが読んでいれば分かると思います。

そして神話上の怪物ヌド。私の頭ではまだ完璧にイメージしきれていませんが皆さんはどうでしょうか。ぜひ、天気を変える魔法の名称と術者、想像してみてください。

最後に。読んでくださった方に史上最大級の感謝を!

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