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痛みの道づれ

作者: 弘木至道

コンパスの針が垂直に刺さり速度を変えながら深く早く時に重くなぶるように回る。痛みは限界を超えている。たんなる虫歯なのだが、ここに至った自分の怠惰さとこの連なる経験に、弘毅は嫌悪とともに唾を吐いた。

鎌倉市若宮大路 第一小学校裏にある畠山重里の墓の前でいつものように立ち止まり、小五のの時健太と賽銭を盗んだことを思い出す。そうだあの時は250円だった、なら倍返しでそろそろ許してくれと500演出玉を放り投げた。

数10メートル歩くと十字路にぶつかり南からの潮風が吹いた。痛みがさらに頬にぶつかる。そこへ一台の花屋の軽トラが通り過ぎた。数十年前の今日、今運転しているであろう人から一輪の花をもらったことを思い出す。ニヤリとした時痛みは鈍った。

やっとの思いで自室にたどり着き診察券を探しながら、三十代最後の年を迎える今日、これまでの自分と別れを告げ新たなる生活を始めようと思ったか、否、弘毅はチューインガムを押し込み鎮痛剤と睡眠薬を流し込み毛布にくるまった。一月二十九日


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