体育祭は忙しい…
体育祭は忙しい・・・
作:おれんじじゅ~ちゅ
「今年も体育祭か…面倒だな」
「だな…しかも六月のはじめだからな。暑いわ…」
「大地はどうよ?」
「俺?俺は楽しみだな~」
「あぁ…こいつは運動バカだからな…」
「そうなの?」
「知らねぇのかよ?大地はいろんな運動部の助っ人してんだぜ!」
「まぢかよ!!!」
今年も体育祭の季節がやってきた。
俺たちの学校では六月の初めにある。
つまり今年は六月七日の土曜日だ。
みんなは体育祭が嫌いのようだが、俺は好きだ。
俺こと小野大地は、さまざまな運動部に助っ人として行っている。
特定の部活には入っていない。
「そろそろ体育祭の種目決めをしたいと思います」
委員長の合図とともにそれぞれの席に着く。
「パンくい競争がいい人!」
「「はい!」」
「佐々木くんと飯島くんね」
「リレーは?」
「「はいは~い」」
「山田さんと金子さんね」
委員長はてきぱきと仕事をこなしていった。
「さて…残るは…小野くんね」
「おう!」
やっと俺の出番が来たぜ!
「どのくらいでれますか?」
「出れる分だけ」
今年もMVPは俺のものだ!
「じゃあ、リレーにパンくい…」
合計で10種目。
後で改めて確認せねば。
この時はまだ、委員長が一瞬ニヤっとしたことに気づいていなかった。
種目を決めてからあっという間に時は流れ、ついに体育祭当日になった。
「小野~!ぶっちぎれ!!」
「おうよ!」
まずは借り物競争だ。
「始めます!」
係員の声掛けで出場する生徒たちが集まってくる。
「位置について…よーい、ドン!」
ピストルの音で走り出す。
俺は自慢の足でトップに躍り出た。
さて…お題は…
“クラス委員のブルマ”
おい!これ書いたやつ誰だよ!
なぜかうの学校は未だにブルマだからな。
くそ…委員長は…いた!
「おーい、委員長!ぶ…」
「なんですか?」
「ブルマを…」
「ブルマを?」
「ブルマかしてくだひゃい!!!」
恥ずかしさのあまり、つい声を上げて張り上げてしまったのと裏返ってしまった。
恥ずかしすぎる…。
心なしかみんなの視線が痛い…。
「わかったわ。だけど条件があるわ」
「何?」
「一つだけ私のういうことを聞いてちょうだい。」
わ、わかった」
いったい委員長は俺に何をやらせようってんだ?
とりあえず、時間がないので借りたブルマを持って猛ダッシュでゴールを目指した。
結果から言おう。
1位だよ…。
ブルマ持って走るとか…。
それから順調に競技をこなしていった。
今現在は女子のパンくい競走だ。
ちなみに俺の競技はなんだかんだ言って全て終わってしまった。
まだ午前中なのにな。
今走っているのは委員長か。
「いいんちょーがんばれー!」
一応応援しておこう。
あ、コケた。
その後なんとか走りきったようだが、足をくじいてこれ以上は走れなさそうだ。
「委員長、大丈夫か?」
「あら…小野くん。大丈夫よ…でもこれ以上は出れないわね。
そうだ!私のかわりに出てくれるかしら?」
「は?」
何言ってんの?
「俺、男」
「小野くんなら大丈夫よ。わりと可愛い顔してるもの」
そうなのだ。
俺は運動が特異なのに身長や筋肉があまり付かない。
声変わりすらあまりしていない。
「これを…履いて」
自分のブルマを渡してくる。
いや、おかしいだろ!
「なんでもいうことを聞いてくれるのよね?」
「わ、わかったよ…」
俺は渋々履くことにした。
※しばらくおまちください
「は、履いたぞ…」
恥ずかしさのあまりに顔から火が出そうだ。
「おお!小野…似合うな…」
「可愛いわね…」
「ほんとね…ショートカットの女の子ね」
「あら小野くん、似合ってるわね。そうだわ!小野くんじゃ男の子みたいよね。
小野さん、私の代わりに頑張ってね」
なんてことだ…体育祭で女装するとは…。
名前も小野大地から小野はしるに変えられてしまった。
うぅ…恥ずかしい!!!
「あとは仕上げよ♪」
仕上げ?
委員長が慣れた手つきで化粧を施していく。
化粧!?
「はい、できたわ♪」
手鏡を渡され、見てみるとそこにはショートカットで体操着姿の美少女がいた。
「な、なななななななな!」
「おぉ!可愛さが増した!このまま女の子になっちゃえばいいのに…」
「そうだそうだ!」
みんな好き勝手に言ってくれちゃって~!!!
「なら、その願いは私が叶えてあげるわ♪」
「お、お前は!!!!」
突然、音もなく白衣姿の少女が現れた。
「マッド田中じゃねぇか!!!」
「え!?あのマッド田中!?」
どうやらこの女はマッド田中というらしい。
“マッド”って付く時点で嫌な予感がする。
「遅かったわね」
「ごめんなさいね。ちょっと調整をしていたのよ」
この二人怪しい。
「あなたが小野さんね?この天才の私があなたを可愛い女の子にしてあげる♪」
不意にこちらを向いたかと思ったその瞬間…
ビーム●イフルのようなもので打たれ、俺の体は謎の光線に包まれた。
「ちょっと!何するのよ!!」
しばらくして私を包む光が消えた。
一体何なのよ?もぉ…。
「小野さん、気分はどうかしら?」
「え?普通だけど?」
マッド田中はメモ帳に何かを書き込みながらガッツポーズをしている。
みんな私を見て“可愛い”などと言っている一体どうしたのかしら?
ピンポンパンポン♪
「女子リレーに出場される方は本部にお集まりください」
あ、いっけない!
私これに出るのよね!早く行かなきゃ!!!
本部まで急いで行くことにした。
「現在白組がリードしております!」
「ほかの競技では紅組がリードしていますからね、ここで挽回しておきたいところでしょうね」
「ですね。おっと?ここで紅組が追い上げてきましたね!」
「ん?あんな子いたかな?」
「早いです!紅組がどんどん追い上げていきます!」
驚異の追い上げを見せた紅組の謎の少女に皆釘付けである。
「あんな子いたか?」
「知らねぇよ?でも可愛いな!」
「可愛けりゃなんでもいいや、勝ってくれれば」
「がんばれー!!!」
「お、あの子一位で入ったぞ?」
「すげぇー!!!」
それからがすごかった。
少女はほとんどの競技に参加し、ことごとく一位に上り詰めついには紅組を優勝へと導いた。
「小野さん、すごいね!」
「私たちの英雄ね♪」
「今年のMVPは小野さんね!」
当然よ!だって私は運動が大好きなんだから♪
今年の体育祭も楽しかったな~♪
「きゃ!」
余韻に浸りながら歩いていると誰かとぶつかってしまったようだ。
「ご、ごめんなさい!」
「いえ、いいのよ…」
ぶつかった相手に手を差し伸べたとき、ふとメモ帳が落ちていることに気がついた。
大変!中身が見えてるわ!あれ?被験者…小野…大地…
どこかで聞いたような…
ってあぁあああああああああああああ!!!!
そうだ!俺は一体何してたんだっけ?女装させられて変な光に包まれて…
「み、見たわね?」
ん?誰かとぶつかっていたのか。
見るとマッド田中が尻餅をつきながら苦笑いをしていた。
「よくも私のメモ帳を見たわねーっ!!!」
マッド田中は俺に掴みかかってくる。
そして…むにゅ♪
はい?
むにゅ♪ってなんだよ?俺の…胸から…胸!?
今更ながら自分が女になっていることに気がついた。
「あ、あぁ…」
俺はその場でへたりこんでしまった。
「うふふ♪あなたはもう身も心も女の子になるしかないのよ」
「戻せよ!」
「無理ね。アレはY染色体をX染色体に変換するものだから」
「そんな…」
「そう…そうなの…」
「ならこれからは女子の運動部で頑張ってもらわなくちゃね~♪」
いつのまにか女子たちに囲まれていた。
「さぁはしるちゃん、まずは心も女の子にならなきゃね~♪」
俺は抵抗むなしく女子たちに取り押さえられ、女子としての教育を受けることとなった。
「いやだぁああああああああああああああ!!!!!!!!!」
●あとがき●
みなさま、お久しぶりです。
おれんじじゅ~ちゅでございます。
ほんと、久しぶりの投稿です。
さて、今回のテーマですが、体育祭でした。
私の専門学校では毎年六月のはじめに体育祭があるのです。
ですので、体育祭をテーマに書いてみました。
ちなみに、今年の体育祭は雨で中止になりました(笑)
体育祭といえばスポーツ万能くんが活躍するのではないでしょうか?
今回はそこに重点を置き、主人公には男子女子両方の競技で活躍してもらいました。
そろそろあとがきが長くなりましたね。では、また!