風と火って相性抜群だよね!
「アシュマーーーール!!」
私はアシュマルに向かって大きく手を振った。
あっアシュマルの輝かしい笑顔が私にっ!!朝日と相まってふつくしゅうございます…!!
きゃーアシュマルーきゃー!!
「ユズっ!」
「アシュマルーおはよー!」
名前呼ばれたあああ!
私はアシュマル宅に居候をして、早1か月が経とうとしていた。
私はあの日、アシュマルに恋をした。もしかしたら違う人に拾われたかもしれない。そしたらその人を好きになるかもしれない。
けど、拾ってくれたのはアシュマルだった。
他に理由なんて要らない。
私は単純馬鹿でいいんです!
「ユズ、今日は魔法をべんきょうしよう!」
私はそれに頷き、羽根ぺんをもってアシュマルの隣に走った。
こうして2人で勉強するのも、日常と化していた。
魔法学は日本では存在しないものなのでとても楽しい。ばんっばん頭に入るぜええ!!
子供の脳みそ+すっからかんを舐めるな!
「うっ……またまちがえた」
「どこ?」
そして、魔法学だけは、私が唯一アシュマルに勝てるものだった。
私は丁寧に魔法学を教えてゆく。他は立場逆転するけどね!
「あー、ここかぁ」
「ごめんね、ユズ…」
「ううん!人に教えるのも勉強になるし!アシュマルのこと大好きだからだいじょうぶ!」
こんな大告白しても、アシュマルと私(見た目のみ)は子供だから許される。
私は花の咲くアシュマルの笑顔に和みながら解説した。
「ここはね、しょうかんまじゅうがどんなのかをそうぞーしながらじんに魔力を行き渡らせてもいいけど、これはすごくすごいことなんだよ。つまりは、んー、右手で文字を書いて左手でりょうりする、みたいな!ね?むずかしいでしょ?だからだからこれは2の『じんに魔力を行き渡らせたあと』がせーかい!」
「え?そういう意味だったのコレ?」
実際はもっと難しく書いてある。が、わかりやすく噛み砕いた形でいうと、こうなるのだ。
因みに、今私は魔法学の実践をしていた。私が理解出来る範疇の魔法学理論はやってしまったからだ。
むむっ、風を留まらせるのは骨が折れますな…!!
「すごいなぁユズ…もうじっせんかぁ。僕もがんばろうっと!!あ、ユズはてきせい風なんだよね?」
「そうだよー。アシュマルは火だよね!」
この世界では魔法は一種類しか使えない。過去にも複数使えるものは居ないとある。
私は風、アシュマルは似合わずの火だ。水とか光のが似合うのにー…ぶーぶー。
「うん、火だよ!かっこいいでしょ?」
「かっこいい!けど、意外だったなー、私アシュマルは水かなーって思ってた!」
魔法の適性は性格に左右されやすい。私は自由な風。まんまだよねーモステトだし。
「ん、たぶん、父上の血かな」
アシュマルの父親は、バリバリのサラリーマン、ならぬ商人だ。力の強い商人さんです。
そんなアシュマルの父親は、火が適性らしく、アシュマルは遺伝で火の適性だと思っているらしい。
まあそうだよねー。
っていうか、私は風でアシュマルは火。私がアシュマルを強くできる…?!
あ、相性抜群ですねハァハァハァハァ…あっこれ危険な人だわ、危ない危ない……。
「強くなろうねアシュマルっ」
「もちろん!」
ずっとは無理でも、しばらくはこんな日々が続けばいいな。