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Lamia?  作者: mo56
第1章 放浪にて
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95話 バストロク炎上 ⑤


 先ほどの場所も酷かったが、商業区の状況と比べれば、こちらの方が幾分か酷い。

 建築様式の事など彼らは知らないが、レンガ造りの建物が商業国は立ち並び、店先には看板などが吊り下げてあったのだろうが、今はそれも灰となり、以前の商業区の活気は異様な物に変わっている。

 エリアに入った途端に悲鳴と剣戟の音がする。

 肉を裂く音と悲鳴が周囲を満たしている。

 門は他のエリアへと繋がる要所であり、ここを奪取しようと攻める騎士と都市の防衛の為に駆り出された傭兵連中が激しく争っていた。


 30人ばかし、目の前で争っている。

 騎士はその内の4割にも満たせず、ひどく一方的に傭兵連中の得物から身を守っている。装備がいくら良かろうと中々数には勝てないものだ。

 騎士連中は先日争った番犬騎士団の様な何か動物を模した様な物ではなく、ごく一般的な重装甲冑であるのを見て、やはりこれも先日例の仲介屋が言っていた通り、寄せ集めの連中らしい。

 腕の程はどれほどかは知らないが、多方昨日のグリダと名乗った男と似たり寄ったりな連中ばかりだろうとラヒムは遠目に戦闘の様子を眺めながら思った。

  ラヒム等の手前で何人か殺りあっているが、その内の一つのグループにラヒム等は目がいった。

 騎士に傭兵達が襲いかかっているが、頭数が5対1と酷く傭兵側が優勢だった、彼らに卑怯という言葉はない。

 騎士の方はというと、防戦一方で必死に四方から襲いかかる剣や槍などの様々な刃から身を守ろうと盾と長剣を振り回している。

 その際に騎士はしきりに一対一で立ち会えと喚いているが、そんな言葉など5人の傭兵には届かないらしく。

 騎士が必死にその声を貼りあげようとした途端、5人のうちの1人の槍が背後から、騎士の甲の隙間を縫って突き刺さった。

 騎士は悲鳴を上げることもなく、路上に倒れた。

 それを見て、傭兵たちは歓声を上げ、死体に群がる鴉の如く集まり、騎士の装備を剥ぎ取っていく。


 「甲は俺が貰うぞ。」

 「鎧は・・・使い物にならねェ捨てとけ。」

 「篭手はどうよ?ねぇ?」

 「やめとけって臭いぞ。」


 昔の同胞に群がる傭兵共は全く汚らしいとバックスの目に映ったのか、彼はその光景を見て嫌そうに目をそらしたが、彼とは対照的にユエとラヒムとニッキの3人は何かお零れに預かれないかと、バックスが止めなければ死体へ走り出しているところだった。


 「アナタ達は一体何をしに来たんですか?」

 「・・・目の前にああも金が転がってるなら剥いでいかないと・・。」

 「これだから追い剥ぎの様な連中は嫌いなんです。しかも、ユエさんまで・・・全く。」

 「そうだぞ、反省しろよ。」

 「貴女もですよ。」


 ついユエもここ最近の雰囲気に流され、自分も騎士の死体から何か剥ぎ取ろうとラヒムと一緒に駆け出そうとしたことをバックスは叱責する。

 ニッキは己だけ逃れようと、バックスの傍らに腕を組んで立ったが駄目であった。

 そんな奇妙な光景をギレットを後目に眺め、一体こいつらは何なのだと少し首を傾げた。



 炎上する建物の間を縫って二人の男が歩いている。

 門は先ほどから避難者でごった返しているが、先ほど中へ入っていった五人と同じように彼らも中へ入っていった。

 魚人を模したグロテスクな甲冑を着込む男と、ブルドッグを模したこれもまた奇妙な甲冑を包むシシャモと卵であるが、市内の惨状には目もくれず歩いていく。

 これより酷い光景なら幾度か見てきたので慣れていた。

 グラフィックの制作した連中にここまでエグくする必要があるのかと、問い直したいぐらいだが、彼らに責任はないだろう。

 ふと卵が立ち止まり、路上に突っ伏した騎士の死体を眺めた。

 これといった特徴もないごく一般的な甲冑を着込んでいた騎士は、全身血塗れで路上に倒れていた。

 手には先程まで力強く握っていたのであろう長剣があるが、くたばってしまったせいか今は力無く今にも落としてしまいそうだった。


 「なぁ、あれ。」

 「ん?」


 卵がその騎士の死体を指差して歩んでいく。

 シシャモはそれを止めもせず、その場で立ち止まって彼を見ていた。

 きっとあの騎士の死体の装備が、価値のある物だったのだろう。

 自分にはよくわからないが、追い剥ぎ連中や盗人共は何故だか目が肥えている。装備などステータス画面を開けば分かるような気もするが、生憎目に見える数字が出ないゲームであるのが厄介だ。

 その為、時に外見は良いが、性能としてはどうしようもない偽物を掴むことも初心者連中にはよくあることで、自分もゲームを初めた頃はそんなこともあったと、惨状の中で呑気な事を思った。


 「おう、何か良さそうなモン持ってるか?」

 「まぁそこそこだな。剣の質がいいぜ、特注品だ。」

 「ほう・・・見せてくれよ。」

 「ちょい待ち。」


 卵が騎士の死体から数歩離れた位置に立っていてので、剣に興味が湧いたシシャモが彼の横から騎士に近づこうとしたが、卵はシシャモを制して、騎士の死体へクロスボウを構えた。

 それを見て、シシャモは納得したような顔になって一歩引く。

 

 「鞘の彫刻が結構凝ってるからよ。こいつは隊長各だな。」

 「あぁ見る限り、歩兵部隊の・・・まぁ中間管理職って奴だな。」

 「辛いねぇ」

 「あぁ、ここでロストしたら除隊処分だもんな。」


 そう卵が呟いた瞬間。

 騎士の死体が素早く立ち上がり、腰の長剣を抜いて、こちらに斬りかかってきた。

 しかし、騎士の刃が届くより遥かに、クロスボウの矢が早かった。

 勢いよく弦から解放された矢は、騎士の甲を貫通し、彼はくぐもった声を上げ、大の字でその場で倒れた。


 「死んだふりとは騎士道に反する奴だな。」

 「俺らが今更言える口じゃないだろ。」

 「ちげぇねぇ。」


 倒れた騎士の死骸から、装備が重くなり戦闘の支障にならない程度の物をはぎ取りながら、二人は愉快に話し合っていた。

 こうも大勢が戦闘をして、ロストする場合中々死体が消えるのに、時間が掛かる為、たまに先程のような真似をする輩もいるのだ。

 

 「しかし、セコイ奴だよな。俺らの時は死んだフリなんてしようもんなら、そのまま頭叩き割られる。」

 「素性が良くねぇのさ。田中が言っていた様にどこぞの馬の骨に、鎧着込ませただけなんだからよ。」

 「それなら傭兵連中にはボーナスやる様なもんだな。」

 「全くだな・・・だけどよ。」

 

 シシャモが騎士のポーチを剥ぎ取って、腰に付けながら少し声音を低くして、刀身よりも鞘の方が値打ちがあると、鞘だけ腰に差した卵に話しかける。


 「そんな素人連中だけなら、市内炎上はしねぇだろ。馬の骨だけなら、そいつら全員切り伏せて、今頃火消しに回っててもいいだろ。」

 

 確かに言われてみればそうだと卵は思った。

 となると答えられる事は一つだ。


 「・・・チートか。」

 「あぁ、それも相当質の悪いのが数人いるんだろうな。」


 二人は少し表情を暗くして、燃え上がる市内を見回した。

『卑怯?俺を殺してから言いな。』

追い剥ぎ組合所属~ ドザ

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