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Lamia?  作者: mo56
第1章 放浪にて
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90話 休日の日常⑤


 「まぁとにかく合流してからだが、他の連中はバストロクに集まってくれると思うか?」

 「・・・あぁ~それは無理じゃないですかね。俺と川越はともかく、他の連中は皆勝手ですからね。・・そういえば吉沢はどうなんすか?」

 「あぁアイツは俺と一緒だよ。」

 「へぇ~・・・。」


 柳沢はそう訝しげな目で井出を見やる。

 何かおかしいのかと柳沢に聞くと、彼は別にそんなことはと渋る。


 「俺と吉沢が一緒だと何かおかしいのか?」

 「いえ、そんなことはねぇですけど・・。ただ・・。」

 「ただ なんだよ?」

 「いやぁ・・・団長。もしかして吉沢と出来てるんすか?結成以来、いつも一緒じゃないすか。」


 そう言うと柳沢は下衆な笑みを浮かべて、煙草を吸い、楽しげに紫煙を吐き出して、ボックス席を煙らせる。

 それに対して、井出は強く柳沢を睨みつけた。

 一体吉沢がなんだって言うんだろう。

 確かにゲームでの付き合いは長いが、あくまでそれだけの関係の筈だ。

 彼女を異性として意識したことは井出にはない。

 寧ろ彼女自身が、井出にそれを意識をさせないような身振りしかしない。

 

 「巫山戯るなよ。誰があんな根暗な奴と・・・。」

 「そうは言っても団長、確かに吉沢はアレかもしれませんが、身だしなみをもうちょっと気を使えば化けるっすよ。」

 「アイツにそんな気があるとは思えないね。」

 「いやぁ・・・あれでも女っすよ。」


 そう二人が妙な吉沢の話題に進み始めると、ずっと沈黙を貫いていた川越がここで大きな咳払いをした。

 その大きな音を聞いて、井出は恥ずかしそうに話題を元に戻す。

 柳沢はつまらなそうだが、変に吉沢の話題に進むの癪だ。


 「まぁ・・それで、バストロクに着いてからだがぁ・・集まるのが俺も含めて4人となると、こりゃぁ。あちこち回って集めるしかねぇな。」

 「別に全員じゃなくてもいいじゃないですか。4人も集まりゃ上等っすよ。」

 「いや、田中が言うには全員集めろって話だ。そうしないと意味がねぇらしい。」

 「?結局集めてどうするんすか?要はそこを聞きたいんすけど。」


 柳沢がまた怪訝な顔で、井出の顔を覗き込み。

 川越の奴もフードの奥から、井出の表情を伺っている。


 「まぁなんだ・・・。要は騎士共への征伐をやってくれって話だよ。」


 井出はその台詞を事も無げに言ってのける。

 だが、それを見て、柳沢の表情が曇り、川越は特に大きな反応をしなかったが、意味ありげに肩を小さく震わせた。


 「俺たち12人で・・・すか?」

 「そうだ。」

 「どこぞの無双ゲーじゃないんすよ。『Lamia?』は。」

 「俺もそれは知ってる。」


 井出は静かに二人の様子を観察してみる。

 川越は相変わらず黙り込んだままだが、柳沢の方は少し顔が青くなっていた。


 「転生3桁繰り返してもできそうにねぇ・・・。」

 「別に全員相手にしろって訳じゃねぇよ。チート持ちだけだそうだ。」

 「チート持ち・・・すか?」

 「あぁ。田中が言うには、そいつらを潰せば連中の動きは沈静化するんだとよ。」


 柳沢は少し自分を落ち着かせようと、紫煙を吸い込み、疲れ果てたかのように吐き出した。


 「具体的にはどんな連中なんすか?」

 「田中はそこまで詳しいことは言わなかったが、まぁ殴りあって、反則技使ってくれば、きっとチート持ちだよ。」

 「曖昧すぎるっしょ。団長。」

 「仕方ねぇだろ。俺だってそんな連中、相手にしたことねぇよ。」


 確かに田中が言ったチート持ちとは一体どのような連中なのか、井出にしてみればどのようなキャラが、それに該当するのかよくわからない。

 力が強いというのはまだキャラメイクで調整できるが、この前の犬騎士の様な外見がチートな奴は放って置いてもいいだろう。

 あんな奴、素人傭兵でも倒せる。


 問題はきっと、妙なエフェクトなどが付与されている奴だろう。

 魔法を唱えてもいないのに、常に矢玉を跳ね返すような結界を持っていたり、もしくは即効で即死魔法などを発動できる奴だろうか。

 後者に至っては、対処のしようが全くと言っていいほど思いつかない。

 幾らでも即死魔法の対象が取れるとか、詠唱時間すら発生せずに、魔法を発動できるようなチートならばさらに厄介だ。

 こちらが相手の視界に移る前に、仕留めなくてはならなくなってくる。

 だが、その様な隠密動作は、卵のような重装備な連中には無理な話で、勿論柳沢と川越にも無理だろう。

 そもそも、柳沢に至ってはきっと隠密という文字すら知らないだろう。

 

 「あー・・・でも、なんで俺たちでそれやらなきゃいけないんすか?騎士とかとはもう縁切ったっすよね?」

 「その筈だったんだけどな。俺たちには巫女の加護があるから、なんとかなるって田中の奴ほざいてた。」

 「加護ぉ?なんすか・・それ。団長、あいつイカれてるんすよ。ゲームのやり過ぎっす。」

 「俺もそう思うぜ。」


 そう言って柳沢は指を頭の横でクルクルとやってみせた。

 井出も確かに田中はそれの類かもしれないと、感じている。 


 「だが、一応金まで受け取ったからには、やらねぇといけねぇだろ。」

 「千札五枚で、転生3桁・・・いや、それ以上の苦行をやれと?5万もらっても足りねぇ。」

 「上手くいけば、2万ぐらいは出してくれるかもしれねぇぞ。」

 「月給の4分の1かよぉ・・・。」


 柳沢は大きなため息をついて、珈琲を啜った。

 そして、窓の外をしばらく眺めた後、井出の方へ向き直り


 「まぁ金には困ってますんで、仕方ねぇっすね。」

 

 そう覚悟を決めたかのように、今までにない真剣な面持ちで、井出の顔を見た。別に、ゲームにそこまで躍起にならなくてもいいと思うが、嫌々やられるよりは幾分マシだろう。


 「頑張ろうぜ!川越!」


 そう言って、柳沢は力強く隣の川越の肩を強く叩いた。

 だが、それに対して川越は少しフードの奥から小さな舌打ちをして


 「あぁ」


 と気怠げに返事をした。

 それを見て、井出はとりあえず、巫女攫いにおいての力自慢二人を真っ先に集められたことに安堵した。

 少なくとも、川越のキャラの腕力は絶対頼りになるはずであるし、柳沢の剣術の方もチートに対して、どれほどの威力を発揮するかはわからないが、それなりの戦力になるだろうと、井出は思った。

 

 残りの団員は8人。

 全体の3分の2であるが、井出にはその数字が少々大きく感じられた。

今年ものんびり頑張っていきます。

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