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Lamia?  作者: mo56
第1章 放浪にて
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63話 夢中③

 「それはないですぜ、今行こうとしている村の徴収はもっと先じゃないですか。」


 軽装の男が隊長格の騎士に食い下がる。

意外とチンピラ地味た外見の割には、真面目なやつだった。

だが、隊長格はそんな軽装の男の言うことなど聞かず、馬車を急がせる。


 「・・・どうやら、入用のようだな。」

 「入用?」


 卵の横にいた男が、小声で彼に話しかけてきた。

重い首を動かし、そちらを向くと、

男の顔が少々ニヤついているのがわかった。


 「あぁ、期日以外の日なら村の連中も警戒しないだろ。」


 横の男が満足げに言うのを見て、

我々がこれから何をしようとしているか、卵ははっきり思い出した。

税を徴収する日は。月に何回か決まっている。

 徴収を拒む連中はその期日に村におもむいても、

勿論、警戒している。戦闘経験の無い連中を始末するのは、

卵等には簡単なことではあるが。

相手がそれなりに警戒して待ち構えているともなると、

多少手こずる場合も多々あるのだ。

 それならわざわざ、徴収部隊の様な荒くれ者どもを、

いちいち期日通りに送り込む必要はないのだろうが、

そこは規律に厳しい騎士であるから、

何故だかそこだけはしっかりと上の連中は、

卵等の様な連中を決められた日に、

決められた村に送り出すのである。

 だが、それをいちいち大真面目に守る必要はないだろうと、

隊長格の騎士は考えたらしい。

 まぁ無理もないことだ。わざわざ警戒している村に乗り込んで、

少なからず血を流すような戦闘をするよりは、

徴収の期日がまだ大分先の、警戒が緩いであろう村に行った方が賢明だ。

 上の連中には、その警戒が薄いであろう村から徴収できる税を、

規定通り収めるが、実際は警戒も薄い村を揺すれば、

規定の税より多く徴収することができるだろう。

 余った分は己らの懐に入れる。

別にこれが初めてと言うわけでもない。

月に何度か、隊長格の騎士の入用が増えてくると、

時々こうやって、無理矢理に進路を変えてくる。

 

 「・・・いい加減、警戒するんじゃないのか?」


 今度は卵の横の横にいる男が、面倒くさそうに言った。

重装で戦斧を握った男とは対照的に、短剣と長剣を左右交互に差し、

軽装でこちらは顔の露出が、比較的多い兜を被っている。


 「大丈夫だ。そんな頭も腕もいい連中じゃないさ。」

 

 それに対して、戦斧を握った男が気さくに答える。

頭が良いのか悪いのかは置いておくとして、

戦闘経験については、お世辞にも高いと言える連中ではない。

 薬草取りや、行商で身を立てているキャラが、

主に大半を占めて構成される村が、3・4年前は多く存在していた。

現在ではそのあまりにも無謀な村は滅多に拝めないが、

当時はこのゲームを、単純なのんびりとしたゲームだと、

勘違いして始めるプレイヤーが多かったのである。

 そして、それが間違いであったと気づく頃には、

既に卵等のような連中にロストさせられ、転生をし終えた時だろう。


 「・・・だと、いいんだがな。」


 少し軽装の男は溜息をつくと、それ以上は何も言わなかった。

どうやら少々心配性な奴らしいと、当時の卵はそう思っていたが、

今となってみれば、彼ほどの慎重さが、

昔は悪い意味でも良い意味でも、足りなかったと現在は思っている。

 



 しばらくすると、馬車は本来徴収すべきでない村の前に到着した。

馬車が停まった途端に、入口から怒声や奇声を発しながら、

徴収部隊の仲間達が躍り出る。

 

 大人しい色をした騎士の連中は、まず話し合いから始めるが、

徴収部隊にそこまで理性的な行動は求められない。

 重要なのは税が集められるか、集められないかという問題で、

実際のところ、上の連中はこのような徴収部隊の暴虐に近いような行為を、

把握しておきながら、常に黙認しているのだ。

 そして、ほぼ戦闘経験の無い、

無防備な村人から得た税に、彼らは満足する。

 

 今回もその筈だったのだ。

だが、躍り出た仲間らを待ち受けていたのは、矢の雨だった。

 馬車が停まった村の正面から、屋根伝いから家の影から、

様々な場所から矢が浴びせられた。

 まず、第一射をモロにくらったのは御者台に座っていた、

隊長格の重騎士であった。全身に矢を浴び、

悲鳴を上げる暇もないまま、御者台から地面に転がり落ちた。

 次にやられたのはその重騎士の隣で、先程からしきりに、

元来た道へ戻ろうと言っていた軽装の男であった。

重騎士の男が呆気なく地面に転がったのだ。

軽装の彼が、その矢の雨に対応できるはずもなく、

彼も重騎士と同じ運命をたどった。

 

 卵は普段は甲冑の重みもあり、鈍重でまだ馬車の中にいたのだが、

前にいた二人が盾になってくれたので、やり過ごすことができた。

 周りにいた仲間も、馬車の前にいた他の仲間が射殺されるのを見て、

素早く身をひるがえし、馬車の後部に身を寄せ、

盾にするものあれば、近くの草むらへ素早く身を隠す者など、

第一射から少しだけ間を置いて放たれた第二射は、

不意を打たれてやられた者以外は、やり過ごすことができた。


 第3射目までは統一性がある矢が、一斉に飛んできたが、

それ以降は不規則に乱れた多数の矢が、こちらに向かって飛んでくる。

だが、既に仲間たちは皆身を隠し、もしくは、仲間の死体を盾として扱っていたため、

第一射の時ほどの効果はなかった。

 村の連中は隠れながら矢を放ってくるだけで、

売って出てくるような真似はしないみたいだった。

 だが、かといってこちらの徴収部隊は、

飛び道具を持っている者が卵しかいない為、

おおっぴらな応戦もできない。

 そして、その肝心な卵は、今的になる馬車から抜け出し、

近くの草むらに身を潜め、クロスボウを構え、応戦しようとしたが。

どうにも村の連中は隠れるのが上手いらしく。

薄暗く視界の悪い兜の中からでは、どこにいるのか判別できない。


 そんな状況が数分間続いたが、

矢の雨は勢いを弱めることなく、適当に降り注いでいる。

 先程の気さくな戦斧を握っていた重騎士が、いい加減に業を煮やしたのか。伏せていた草むらから立ち上がり、

無謀にも村に向かって突進していったが、

 村になんとか、矢に体に突き刺されながらも、たどり着くと、

狂ったように怒声を上げ、戦斧を振り回したが、

 それは虚しく空を裂いて、何一つ敵に刃が触れることはなかったが、

代わりに村人達は彼をハリネズミにしてあげた。

 

 「なっ、言ったろ。」


 急に卵の横から声がしたので、彼は伏せたまま、

声のする方に振り向くと、残念そうとも、

したり顔ともとれるような顔をした。

先程の軽装姿の仲間が近くに伏せていた。


気づけば、毎度毎度流血沙汰の戦闘しかないね。

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