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Lamia?  作者: mo56
第1章 放浪にて
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47話 詩人の村①

 また慣れた手つきでPCの電源をつけて、ログインする。

普段ならいつも見ている蛇女のエフェクトを、今日は珍しく飛ばした。

それだけ痛みが激しく、待つのが辛かった。


 ログインすると、昨晩ログアウトした森賊の小屋前に卵の姿が現れた。

昨晩あの大女がロストさせたという森賊達がいつ転生してくるかは分からないが、

あそこまでこっぴどくやられた室内の様子を見て、

そう簡単に戻ってくるとも卵は思えなかった。

昨日も卵が一番早く護衛者の中でログインしたのだが、

今回も一番だろうかと周りを見回すと、

何故だかバツが悪そうな顔で小屋の前に座っているのが見えた。


 「・・・あっ卵さん、こんばんは。」


 彼がログインしたのを見ると、バツの悪そうな顔に少し明るみを含ませ、

挨拶をした。

 当初のうちはユーザー名で呼ばれることをそんな好まなかった卵であったが、

ここ数日の間にいい加減に慣れだしていた。

そして、挨拶の返しに軽く手を振って、彼の近くに腰を下ろす。

珍しくログインするのが早いと卵がラヒムに聞くと、

ニッキのやつに『早くログインしろ』とどやされたのだと、

またバツの悪い顔になった。

ニッキというのは昨晩の大女の事だが、

もう少し美人なキャラを予想していた卵にとっては、

裏切られる結果になった。


 「・・・なぁラヒム、お前昨晩誘った奴は『女』って言ったよな?」

 「言いましたね」

 「あれが女か?俺には化け物にしか見えなかったぞ。」

 「それは女性差別ですよ。卵さん。化け物だとしても雌の化物です。」


 そうしれっと言い切ったラヒムに対して、

卵はラヒムの言い方の方が、

幾分いくぶん非道ひどいのではないかと思った。

けど二人共ニッキが『化け物』という認識においては一致していて、

あの凄惨な昨晩の事件現場である小屋を見る限り、

それは動かしがたい事実でもあった。


 そして、しばらくするとその例の『化け物』がログインしてきた。

昨晩のように衣服を返り血で朱に染めてはいないが、

そうでなくても常に返り血で染まっているのではないか疑いたくなる。

彼女は二人を確認するとこちらに乱暴な足音を立て近づき、

二人の数歩先の前で止まって、機嫌良く挨拶をした。

その挨拶に卵は極力明るく答えようとしたが、

卵は昨晩彼女から幾度か暴行を受けていたこともあり、

不機嫌そうに返したが、彼女は気にしていないようだった。

だが、ラヒムに至っては今朝どやされたことを気にしていて、

まだ不機嫌そうにして、黙り込んでいる。


 「なんだい?まださっきの事気にしてんのかい?」


 そう彼女は腕を組み、呆れたような声を出した。

それに彼は何も答えずに、ただ押し黙っていた。

しばらくすると彼女はため息をついた。


 「全く、仕方ない奴だねぇ」


 そう言うと彼女は諦めたように近くに腰を下ろして、

ぼんやりと暗い森を照らす空を見上げた。

卵はその一方的なやりとりを見て、

二人はどんな間柄あいだがらなのか気になった。

だが、聞くわけにもいかないのでさっさと忘れることにした。



 少々気まずい時間を過ごしているとシシャモがログインしてきた。

運がいいことに彼が現れた際に、

連続してバックスとユエもログインした。


 「ラヒムさんっ!」


 そうログインしてきたユエはラヒムの姿を見るなり、

彼に走り寄って抱きついた。これもいつの間にここまで深い間柄になったのか、

疑問に感じたが、ふと脳裏に『吊り橋効果』と言われる、

以前にTV番組か何かで言っていた胡散臭い単語が思い浮かんだ。

抱きつかれた本人であるラヒムは顔を真っ赤にしている。

傍から見れば感動の再開とでも言うのだろうか。

だが、その二人を囲む連中は、

生憎そういう類には白けた顔を持って応対するような連中であった。


 とりあえず気が済むまで彼女に抱きつかせた後に、

人数も集まったことなので全員は移動を始めた。

昨日は捜索のこともあって長い時間森の中を探索したかいもあってか、

抜け出る道は既に見つけていた。

それそって移動し、それほど時間も経たずに、

意外にあっさりと森を抜けることができた。

だが、ラヒムとユエの二人以外の護衛者たちは、

常に二人の異様ともとれるイチャつき具合を白けた目で見ていた。


 2日程暗い森の中を彷徨っていた目に対照的な草原の光は、

あまりにも強かったが、目が慣れてくると見える広大な緑の光景は心地よくもあった。

抜け出た道の森と草原の境界線には、

森賊達がでも立てたのだろう『立ち入り禁止』と書きなぐった看板が立っていた。


 「下手な字だな。」

 「お前の字よりマシさ。」

 

 きっと近くに旅人などが通る道があるのだろう。

普通に考えて、卵等と同じような仕事に勤しむ森賊等が、

建てたとは思えない。

 危険な森を迂回するように、旅人たちが通る道が近くにあるはずだ。

となれば、卵等本来の仕事が出来そうだ。

 報酬の前金は貰っていたが、路銀は幾らあっても困るようなものじゃない。

それに6人ともなれば大人数だ。合法にしても不法にしろ、

馬車のような移動手段が欲しかった。

 陽に照らされながら草原を歩くのは中々骨の折れる事で、

護衛対象であるユエはできる限り丁重に扱えば、

報酬が更に増えるかもしれにという淡い期待もあった。

だが、馬車を違法な場合にて入手するのは危険が伴い、

万が一彼女が傷ついたら不味い。

 となれば合法的に馬車に乗せて貰う方が好ましい。

しかし、中々馬車の有用性をしっかり理解している御者ぎょしゃは、

しっかりとこちらの足元を見てくる。

ラヒムの献上金の件もあるので、

そんな金を払いたくはなかったが、背に腹はかえられないだろう。


 だが、森賊の森が近いせいもあるのかもしれないが、

しばらく辺りを散策して、やっと道を見つけたが、

旅人や行商人ましてや馬車が通り過ぎる気配がない。

背が最も高いニッキが辺りを見回すが、

少々丈の長い草の上から見ても、

通行人の姿を確認することはできなかった。


 「この辺りはシケてるようだな。」

 「畜生」

 「まさかお前依頼対象連れて仕事するつもりだったのか?」

 「あぁ勿論」

 「・・・・・・。」


 まさに盗人根性とでも言うべきか、なんといったものかシシャモは、

少々顔を渋くなりながらさも当然のように追い剥ぎ作業に入ろうとした卵を見た。


 「長い旅になりますからねぇ、馬車は欲しいですね」


 とバックスは陽が差して額に汗を流しながらも、

涼しい顔で腕を組んでいる。


 「・・・?・・そ・・そうですねっ バックス殿!私もそう思ってました!」


 とニッキの奴が慌てて賛同するが、顔に浮かぶ汗の量を見る限り、

こいつは何も考えていなかっただろうなということがわかった。

そんなニッキは放っておいて、

ニッキの身長に近いシシャモが向こうを指さした。


「・・・まぁなんだ。馬車とかは見当たらないが、向こうに村が見えるぜ」


 長い草のせいで見えなかったが、バックスとニッキには見えたみたいだ。


 「少し値は張るかもしれませんが、あそこで馬車などを調達しますか。」

 「・・・・・・そうですねっ バックス殿に私は賛成ですっ」


 とニッキがほざいているが、一体彼女はどういうキャラなのか、

皆わからなくなっていた。



次回 護衛者とは名ばかりの連中は、

草原の中にポツンと存在する村に訪れた。

以前は詩人の集まる村として有名だったそうだが、

現在は・・・ 次回 詩人の村② 



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