表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lamia?  作者: mo56
第1章 放浪にて
35/149

35話 学校とファミレス 昼間

一体何をトチ狂ってこんな名前にしてしまったのだろうか。

以前追い剥ぎ組合にいたときは「サンマ」というだけの、平凡な感じだったのだが。

なんとも言えない奇妙な通り名をつけると、とても関わりあいになりたくないと思う。


ブログの記載内容と吉沢の話では昼間もログインしていて、

連絡を取るのには大して困らないだろう。

だが、そうなるとそのキャラのプレイヤーはまともに働いているのか怪しくなってくる。

多方ニートか引きこもりであろうが、フリーターである井出も他人のことは言えなかった。


「とりあえず今日休みなら早めにログインして、連絡とってみてよ。」


と吉沢は一旦中止したのに、また煙草を吸おうとしたのでいい加減にした方がいいと井出は止めた。

だが、蛙の面に水と言ったところか吉沢は平気な声で 奢らないわよ と言う。

これがどれだけ驚異的な言葉であるかは貧乏な井出自身痛いほどよくわかっている。

それ以降は気まずい食事が続くことになってしまった。



午前中の授業が終わり、昼休みとなったので早速小林は昼食をとることにした。

依頼の件は別にあとでもいいだろう。

朝に校内を彷徨うろつきまわり探しても、

誰ひとりとして応じてくれなかったのだから、

これ以上は無理だろうと半ば諦めていた。

教室内は仲の良い生徒同士が何人かでまとまって弁当を食べている。

小林は別段友人が少ないわけでもないが、

朝の長谷川への一件もあり今日は例の長谷川以外よってくる生徒はいなかった。


「・・・で、やっぱり駄目か?」

「駄目。」


なんとか二人で弁当を食べながら、

少し空気が緩んだ隙を突いて頼んでみるが、

やはり上手くいかない。

何もそこまで根に持つ必要があるだろうか と小林は思うが、

やはり当人ではないとその恨みの強さは分かりっこないものなのだろう。


小林が傭兵組合を抜けたのはそこまで難しい訳があるわけではなかった。

ただ一々依頼を受けてから、やれ護衛だの盗賊退治だのをするのは面倒くさい。

傭兵組合を抜けるのに制約は特になかったが、問題は抜けた後の事だった。

個人的に小林のちょっとした戦闘欲とも言うべき渇望は、

単純にただ戦えればいいのではなく。

ちゃんと利益の出る戦闘を行いたくて、傭兵組合はその理想に一致していたのだが、

依頼をいちいち待つことに小林は嫌気が差していたのだった。

かといって他に行くあてがある訳でも無い。

騎士共はさすがに過激だし、

追い剥ぎ組合は敵対組織と言ってもいい傭兵組合に所属しているので無理だ。

となればフリーの賞金稼ぎというのもあり、

当時の小林はそれを目指して傭兵組合を去った。

正式な手続きも踏んで辞めたのだから、

本来長谷川が恨むのは筋違いもいいとこだろうと思っていたのだが。

それでも何故長谷川が根に持つのか小林にはよくわからなかった。


「・・おい」


とそんな回想に浸っていた小林に声を掛けた生徒がいた。

手には購買で買ってきたのであろう菓子パンと珈琲牛乳のパックを持って、

こちらを威圧するような眼差しを向けている。


「はい?」


それに対して小林の返答は間抜けなもので、

口にはまだ食べ物が入ったままで、もごもごさせている。

至って小林は落ち着いていたが、横に一緒に弁当を食べていた長谷川はそうはいかない。

静かに小林に話しかけた生徒と目を合わさないように席を立ち、

そそくさと教室を出て行ってしまった。


「あれ?長谷川・・」


となんで急に出て行ってしまったのかわからない小林は、

長谷川を目で追おうとするが、

それは声をかけた生徒に遮られた。


「おい、こっちを見ろ」


そう言われ仕方なく相手の方を見ると、その生徒は米山だった。

少し無視されたので多少顔を苛つかせているのがよくわかる。


「お前に話があるんだよ」


そう言うと米山はなんの断りもなく、

長谷川の座っていた席に腰を下ろして、小林を睨みつける。


途端に教室内の雰囲気が変わってしまった。

隅で固まっていた男子は遠巻きに二人を見つめ、

仲良く談笑していた女子は長谷川と同じくそそくさと教室から出ていく。

そして、今まさに何かのようで教室に入ってきた教師は背を向けて去っていく。

ある男子生徒はその時の二人を見て、

ついに虎と龍の死闘でも始まるのかと恐怖し、

そんな二人を恐れる雰囲気が教室中に充満し始めた。


「・・はぁ」


しかし、当の本人である小林は米山の睨みにすっとぼけた顔で答えた。

小林の認識でいうと米山はただのクラスの不良と言うだけで、

今この時まで全く話したことがなかったのだが、

一体なんの話だろうと心の中で首をかしげた。


だが、米山自身にとっても小林の認識はただの図体のでかい生徒と言うだけで、

今恐怖におののく生徒達が思っている関係では決してなかった。


「・・お前『Lamia?』の護衛依頼で困ってるんだってな」

「え?やってるの?」

 

まさかクラスの不良で『Lamia?』をプレイしている生徒がいたことが、

あまりにも意外だったので小林は思わず食べていた物を少し口から出してしまった。

それが米山に掛かり本人は 汚ねぇ と文句を言って、

小林がそれに謝るのだが、周りの生徒からしてみると、

小林が米山を挑発しているようにしか見えなかった。


「あぁ、そこら中で勧誘に回ってるそうじゃん」

「・・どうも誰も引き受けてくれなくてね」


校内中うろつきまわったので、不良を苛つかせてしまったのだろうか。

少し小林は不安になるが、米山はそんな彼をよそに呑気に菓子パンをかじ


「俺、引き受けてもいいぜ。」


と事も無げに言った。

今まで散々断られてきたので、

小林は最初この不良の言いたいことが少しわからなかったが、

直様顔に満面の笑みを浮かべ、思わず米山の手を握り締めた。

菓子パンで少々べたついているがそんなことなど、

小林にとっては些細なことで ありがとう ととても嬉しそうに頭を下げた。

過剰な反応に米山は驚いて引いたが、

もっと驚いたのは周りの生徒達で一体何が起こっているのか全く理解できなかった。




ファミレスでの食事を終えると、

吉沢は何度も魔術師への連絡を井出に念押しして、

そそくさと帰っていってしまった。

朝食兼昼食を奢ってもらったのは大変有り難がったが、

幾らなんでも素っ気ないなと、

井出は遠ざかっていく吉沢の後ろ姿を見送った。


多分井出は休みだったのだが、彼女はそうでもなかったのかもしれない。

井出は以前に吉沢が自分はイラストレーターだと名乗っていたことを思い出した。

一言にイラストレーターと言っても、その職業の実態について井出は何も知らない。

また、別段深く知る気もなかった。

ただ分かることと言えば彼女は在宅勤務なので、

自由に職場を抜け出すことができるという事だけだった。


そして、まだ昼間ということもあり、

部屋へ帰ってさっそく例の魔術師に連絡をとろうと、

とぼとぼ歩きだした井出は、

やっぱりロクな休日にならなかったと大きいため息を一つついたのだった。


高校時代よく昼飯の時は机をくっつけた記憶があります。

そして飯を食いおわるとよく麻雀やってたなぁ・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ