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Lamia?  作者: mo56
第1章 放浪にて
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34話 学校とファミレス

「俺は嫌だ」


朝のホームルームを終えて、一時限目の授業へと少し慌ただしくなった教室で、

図体のでかい男子学生が対照的な細身で背の低い眼鏡をかけた別の男子生徒に何か頼み事をしていた。


「そこをなんとか・・長い付き合いだろ?頼むよ・・」

「だから嫌だって、俺は平和にプレイしたいの お前みたいにいちいち血を見るプレイは嫌いだよ。」


大きい体をできる限り縮こませて頼み込んでいるのが、

ラヒムのプレイヤーである小林だ。

彼は昨晩井出がログアウトしたあとにシシャモと相談し、

誰か腕の立つやつを護衛に追加できないだろうかという話になり、

一応学校の『Lamia?』をプレイしている生徒 全員当たってみることにしたのだ。


それなりに小林の通っている高校にはプレイヤーがいるらしく、

できる限り親しい友人からあたり、

その友人に断れればまたその友人の知っている他の生徒を頼りに、

別の生徒に当たった。

小林が最上級生ということもあり、

プレイ仲間から多くの同級生や後輩にもあたってみたが、

今のところ朝のホームルームまでの時間で依頼に応じてくれる生徒は誰ひとりいなかった。


もし逆の立場に小林が頼まれたら多分首を縦にふりはしないだろう。

そんなことは自分がよくわかっている。今ゲームの中での現在地でさえ危ういのに、

騎士と何度かやりあって下手をすると追っ手でも繰り出されていてもおかしくない状況だ。

適当に嘘をついて騙して勧誘したとしても、

その嘘がすぐにバレてしまうことは火を見るより明らかで、

そうなれば二度とログインはしてこないだろう。

となれば正直に話すことしかできず、結果ことごとく断られた。


「頼むっ・・元傭兵組合の仲だろ?」


ゲームのこととは言えとても真剣に事を考えていた小林は、

どうしてもと小柄な眼鏡をかけた同級生に頭を下げて頼んだ。

他の事情を知らないクラスメイト達は元空手部の図体がでかくて凶暴そうな小林が、

なぜだか知らないが己より遥かに貧弱な生徒に頭を下げているのを見て困惑していた。


「黙れよ 小林が勝手に抜けたんだろ?まぁ確かにお前が抜けたおかげで枠が空いたから、

そこそこのランクにはいけたけど・・・それとこれとは話が別だ」


眼鏡をかけた生徒も中々譲らない。

生徒の名前は『長谷川はせがわ』という小林の同級生で同時期にLamia?を初めて、

共に傭兵組合でそこそこに名を挙げていたが、

小林が組合を抜けたので今ではちょっとした地位につけている。

もし、彼が共に護衛を引き受けてくれたならとても有難い。

傭兵組合で名を挙げたほどなのだから、彼のキャラは精鋭中の精鋭と言えるほどの実力だ。


ラヒムとは対照的に鈍重で図体のでかいキャラではあるが、多少の攻撃ではビクともしない程頑丈な卵以上の硬い鎧を着込んでいて、尚且つ得物とする『ビル』と呼ばれる農機具のような武器は彼程上手く使う者はいないと小林が確信するほど強力だ。

そんなキャラが味方にいれば心強い、

なんとかして小林は長谷川を説得して護衛に入れたかったが、

長谷川本人は未だに小林が傭兵組合を抜けたことを根に持っているらしく、

どうしても首を縦にふらない。

小林が抜けた理由を説明すると長いので省略するが、結局長谷川は首を横に振り続け

頑なに拒否した。

なんとか小林は説得しようとするが、

一時限目のチャイムが時間切れの合図をした為、

仕方なく昼休みでも他にあたろうと小林は困惑する生徒のことなど知りもしないで、

さっさと自分の席へと座った。

だが、そんな普段とはまったく雰囲気が違う困惑した目で眺める他の生徒たちとは別に、

一人だけ小林から少し離れた席から聞き耳を立てていた生徒がいた。

髪を茶髪に染め耳にはそれなりに大きいピアスをはめて、

見るからに不良だと自己アピールができている米山だった。


今まで同じクラスでありながら小林とは話したことが無かったが、

彼も体格が喧嘩慣れの為か異様に筋肉質で強面だった為。

他のクラスメイトにとってはあの二人はこのクラスの龍と虎だという認識が、

暗黙の了解のように存在してしまっていた。


しかも片方の米山は既に幾度か理由は他の生徒達は知らないが、

暴力事件も何度か起こしており。

しかも時と場合によっては教師にまで無言で暴力を振るう凶暴さもあり、

触らぬ神に祟りなしと何もしなければただ普通に授業を受けているだけなので、

彼の服装や態度については誰も注意できなかった。

だが、一方の小林も他の生徒は表立って言わないが、

先月あたりに空手部の講師を病院送りにしてしまったという事件を起こし、

その現場にただ一人 仁王立ちで立っていた小林が、

鬼のように見えたという同じ部の生徒が話した噂が広まり、

彼もまた陰ながら皆に恐れられていた。




「つまりね・・何もバカ正直に道を歩いてバストロクまで行く必要はないってこと」

「転移魔法か」

「そのとおり♪」


既に2箱目の半分を吸いつくそうとしている吉沢は自信満々にそう言った。

確かにこのブログの知り合いに連絡を取って、転移魔法の発動を頼めば楽にバストロクへ到着することができる。


「・・・危険じゃないか?」


井出は怪訝な顔で腕を組んだ。先程注文した軽食はまだ中々こなかった。

それほど時間がかかるメニューでも無いと思うのだが、

先ほどの店員のさり気ない嫌がらせだろうか。

だが、そんなことなど今はどうでもよかった。

転移魔法さえ使えれば確かに便利ではあるが、前にも言ったとおりあの魔術はとても危険だと身をもって証明した本人にまた頼むのは少々納得しかねた。


「そういう些細なこと気にしてちゃ大金は手に入らないわ」

「・・・この前まで門番の方が安定してるって言った奴が言うことかよ・・」


呆れながら呟く井出を全く気にしないように、

吉沢はやっときた軽食のサンドイッチを手に取りがっつき始めた。

それを眺め同じように咀嚼そしゃくするが、

彼女の治すべきところは服装や過度の喫煙もあるが、

もう少し女性らしくしなければいけないんじゃないかと井出は感じた。

だが、女性らしさとは何かそんなこと男性である井出に分かる訳もなく。

そのことについては言わないほうがいいと自分を戒めた。


「それで・・その魔術師にはあんたから連絡とっといて、知り合いなら割引するかも」

「割引って・・金とるのか?」

「当たり前でしょ相手だってそこそこのリスク覚悟の上でやってるんだから・・・一人分の報酬丸々 分捕られるわ、普通に頼んだら」


いくら昔の知り合いだからといって、

もう追い剥ぎ組合に所属しているようにも見えない。

そうなると古い仲だからといって割り引いてくれるのだろうか、

いや、それ以前にどうやってその魔術師と連絡を取ればいいんだ。

そのことについて頭を悩ますと吉沢はスマフォの画面を指で叩いた


「連絡先はここだって」


指で叩かれた場所には専用チャットで必要な詳細な魔術師のキャラ名が記載されていた。

少し悩んだ自分が馬鹿だったと画面に目をやると


『マジカル☆ガール☆サンマ』


と目に痛いカラフルでポップな文字でそう記載されている。

なんだかとてもこの名前を打って連絡をとることを考えると、

頭が色んな意味で痛くなってきてしまった。


いつも学校のHRを朝礼と呼んでいたので、

高校になって初めてその名を聞くとどうにも納得できなかった記憶があります。

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