最後の修行
師匠…
師匠との勝負が始まってしばらくたった
「(強すぎる!)」
圧倒的な力で攻撃され、こちらの攻撃はかすりもしない
僕はオーガの力を解放した
師匠に向かって一直線に走り、拳を突き出す
――――――――――――当たるはずはないのに
師匠は動きを止め、僕の拳をまともに喰らった
いくら師匠とはいえ、無傷ではないだろう
「ガハッ!!!」
師匠は口から血を吐き出し、その場に崩れた
「師匠!?」
僕は大急ぎで師匠の元へ向かう
「師匠! どうしたんですか!?」
「ぅぅむ、これまでか…」
「何がこれまでなんですか!さっきの攻撃なんてなんで避けなかったんですか!?」
「寿命じゃよ」
「え?」
「我はもう死ぬのだと言ったのじゃよ」
どうして
今の今まで元気に僕と修行してたじゃないか
「師匠が僕と勝負すると言ったのは死ぬことが分かっていたからですか」
「そうじゃ…ゴホッ」
「なぜです! こんなことしなければまだ、生きられたでしょう!?」
「小僧、我は寿命の長い短いなどどうでもいいのじゃよ。おもしろければの。そして小僧は我を楽しませてくれた。感謝するぞ」
「いやですよ…遺言なんて聞きたくないですよ!!」
「良いから聞け、我はもう死ぬ。だが小僧はまだこれからだ。だから小僧には我から贈り物とお願いがある」
「…なんですか」
「うむ、小僧には我が昔集めたお金と、魔剣を贈る。それらは近くの小屋の中に置いてある。それとな、昔殺しあった奴が噂で学園の長を務めていると聞いた。小僧の歳は学校へ行くのが普通だろう。招待状と呼べるかわからんが、手紙を残しておいたから我が死んだ後手紙を持って行くといい」
「…はい」
「それとお願いの方じゃ…我を吸収してくれんかの」
「!!?? 師匠を吸収するなんて、できるわけないじゃないですか!?」
「…頼む」
「師匠…」
「我は誰かの記憶の片隅に覚えておいてもらいたいのじゃ。だが我は小僧以外誰もおらん。…どうか、我を小僧の心に残しておいてくれんかの」
師匠の最初で最後の願い…
嫌だなんて言えるわけないじゃないですか
「…わかりましたよ」
「あぁ、ありがとう…」
師匠はそう言って涙をこぼした
「師匠…今まで本当にありがとうございました。僕は師匠のことをずっと忘れません」
そう言って僕は師匠を吸収した
師匠が光の粒となり、消えていく途中師匠はたしかにこう言った
―――――――――――――君は強くなった
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