仮恋人の契約
「まあ…ね。迷惑だよね」
廉人さんが答える
やっぱり迷惑なんだ
「ごめんなさい。この話は無かったことにしてください」
私は頭を下げると、廊下を走って玄関まで行く
靴を履こうとすると……
え?
靴がない…どうして
私の革靴がない!
後ろからゆっくりと、廉人さんが歩いてきた
「どうした?」
「靴がないんですけど?」
「どうせ、花恋が持ってたんだろ? 拒否権はねぇ…とか言ってたから。とりあえず、恋人同士でやることをやっちゃいますかね~」
廉人さんが私の肩を抱いた
え?
恋人同士でやること?
やっちゃう?
「あの…」
私は廉人さんに、連れられるまま、寝室に入る
「これは良くないですよ」
私の体は硬直する
「でも俺ら、恋人同士なんでしょ? 質問は全て、君に聞くように言われているし、まずは体に聞かないと」
「お話すれば…どうでしょう?」
「まずは体だよ」
私はベッドの上に押し倒された
怖い!
恋人同士って言っても、愛し合っているわけじゃないんだし
一週間後のパーティだけでいいんですけど
「君ってさ。もしかして処女?」
なんでそんな質問なの?
「はい」
「あっそ。俺は処女に興味ないから…ていうかさ。面倒だから。痛いとか、血が出るとか。そんなのに快楽があるとは思えないし」
なんか急に冷たい気がする
果恋ちゃんが家を出ていってから、すごく冷たくなった
「ごめんなさい」
「で? どういう経緯で果恋が、俺に恋人になれっていう答えを出したのか、教えてもらえない?」