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私の仮恋人は親友のお兄さん  作者: ひなた翠
果恋のお兄さん
6/26

彼氏いない歴15年

お兄さんはキッチンに入り、ポットからお湯を出す


Tパックを紅茶カップに入れて、三人分の紅茶を淹れてくれた


「果恋ちゃん…私、帰るよ。お仕事の邪魔しちゃ悪いし」


私は果恋ちゃんの後ろに立つと耳元で囁いた


「気にしなくていいんだって、花音のほうが一大事なんだから」


「でも…私は麗華さんに謝ればすむことだし」


「それはダメ。絶対に駄目よ。あんなに馬鹿にされて悔しくないの? 必ず見返してやるのよ」


「でも…」


「あの顔なら、麗華だって悔しがるでしょ?」


果恋ちゃんは、キッチンで紅茶を淹れているお兄さんを指でさした


えぇ?


「顔だけなら良い顔してるから。付け焼刃には持ってこいよ」


それは…ちょっと、悪いでしょう


いくら果恋ちゃんのお兄さんでも、良くないよ


「あの…でも」


「いいの、いいの」


果恋ちゃんは、ソファを叩いて、私に座るように目で訴えた


「お兄ちゃん…紅茶、遅いけど? あと早く、仕事を休むって電話しなさいよ」


果恋ちゃんは厳しい声で、お兄さんに文句を言う


「我が儘だな~。これだから、年下は嫌なんだ」


え? 私は肩身が狭くなった


果恋ちゃんのお兄さんは、ブツブツと文句を言いながら、電話の前に行く


家電から会社に電話したようだ


妹の具合が悪くなったから、休むと言っていた


果恋ちゃんって凄い


本当に、休ませてしまった


スーツも着て、仕事に行く気だっただろうに


私はますます、申し訳なくなって肩を縮めて座った


「ほら、紅茶だよ」


果恋の前に荒々しくコップを置く


でもお兄さんは、私に置くときだけ丁寧に置いてくれた


「何、この扱い差は? 可愛い妹にたいして冷たくない?」


「どこが可愛い妹だよ。…ったく。お前のせいで、月に何回欠勤になっているんだか」


「ごめんなさいっ!」


私は謝ると、お兄さんは驚いた顔をして、首を振った


「君が謝ることじゃないよ」


「そうよ。だいたいお兄ちゃんはサボり癖があるんだから」


「お前のせいだろうが! 塾の送り迎えをしろ、とか。服が買いたいから、車を出せとか。お前の願いごとは、ロクなもんじゃねえ」


ロクなもんじゃない…ってことは今回も、そう思われちゃうのかな?


面倒くせえって、嫌な顔をされるのだろうか


そうだよ。私の恋人役なんて、面倒くさいよ


やっぱりここは、麗華さんに謝るべきなんだ




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