彼氏いない歴15年
「ここ、ウチのマンション」
大きなタワーマンションを私は見上げた
私と仲良くしてくれる果恋ちゃんだけど、お金持ちの娘さんだった…ね
都心部にある大きなマンション
きっと部屋を借りるだけでも高いんだろうな~
私は果恋ちゃんの後ろを歩いた
大きなエントランスが、まるでホテルのようだ
足音が響いた
エレベータに乗ると、果恋ちゃんは最上階を押した
「すごいね! 最上階に住んでるの?」
「ううん。私の部屋はもうちょい下。これから行くのはお兄ちゃんの部屋だよ」
「え?」
「ウチはみんな、個々に住んでるんだ。父親は自分の経営しているホテルで暮らして、母親は海外を転々としてて、んでお兄ちゃんと私がこのマンション」
「はあ…」
私は世界の違いに圧倒された
私の家は小さなマンションの一室を借りて生活している
妹と同じ部屋を共同で使い、両親は居間で寝ている
古いマンションで上の階や両隣の生活音なんか、普通に聞こえちゃうような壁の薄い古いマンションだ
私って高校選びを間違えたよね?
明らかに世界が違う過ぎる
マンションの最上階につくと、目の前には家のドアがあった
最上階は一室しかない
ここに果恋ちゃんのお兄さんが生活しているんだ…
果恋ちゃんは持っていた鍵で部屋を開けると、ずかずかと中に入っていった
「お兄ちゃん、可愛い妹が来たけど」
果恋ちゃんは靴を脱いで、部屋の奥に行ってしまう
私は、どうしたらいいのかわからず、玄関のドアを開けたまま呆然と広い廊下を見つめていた
「俺が忙しい時間に、来るなって言ってあるだろう?」
そう言って果恋ちゃんのお兄さんらしき人が部屋から出てきた
「ひぃ!」
お兄さんらしき人と目が合った私は驚いて声をあげて、玄関のドアを閉めてしまった