仮彼氏とキス
「なあ、起きてるか」
「寝ました」
「キスするか?」
「もう爆睡中です」
廉人さんは、声を殺して笑っていた
「あんたって面白い。キスをしよう」
「グー、グー」
「寝た振りときたか。んじゃ、寝込みを襲うしかないな」
「ちょ…それは。反則です」
「一緒に寝てるのに、キスもないのは…おかしいだろ?」
「だからソファで寝てたんですけど」
「恋人同士なのに、どうして、別々になるのさ」
「期限付きですし」
「それでも恋人は恋人だろ?」
「そうですけど
でも普通の恋人とは違います」
「知りあってその晩にセックスするような男女がいるのに、あんたって考え方が真面目すぎる」
「一般人的思考です!」
「金持ち的思考なら、俺はこうする」
廉人さんは、私の上に乗りかかると、両肩を押さえて私にキスをした
抵抗しようと両腕を動かすけど、そう簡単に男性の力に勝てるはずもなく…私は廉人さんの思うとおりにキスをされた
軽いキスから、深いキスまで
唇にするキスや首筋にするキス、鎖骨にも
廉人さんのキスに、私は力が抜けていった
「どう? 金持ち的思考もなかなか、いいでしょ?」
「良くないです」
「頬が赤いけど?」
「外が明るくなってきたから、じゃないんですか?」
「外はまだ暗いよ」
廉人さんはまたキスをした
抵抗しない私に、面白がっていた
廉人さんはきっと、いろいろな女性にこうやって、口説いているのだろうと思った
そしてこのベッドの上で、何十人もの女性を抱いてきたに違いない
そう思うと、なんか心の奥が苦しくなった