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私の仮恋人は親友のお兄さん  作者: ひなた翠
仮彼氏との生活
17/26

果恋の研究

廉人さんのお店についたのは、夜も8時になってからだった


すでに店内に多くの女性で、埋め尽くされていた


「うわ~、華やかな世界ですね」


私は廉人さんに案内されて、店の奥の席に通された


「ここで、良い女と良い男のやり取りを勉強するといい」


そう言って廉人さんは、店の奥へと入っていった


「ね! 君の名前は?」


ホストが二人、私の両脇を固めて座ってきた


一気に緊張する


だめ! 顔をあげて、笑顔を絶やさない


「花音です」


「へえ~。可愛い名前だね。オーナーの知り合いみたいだから、俺らサービスしちゃうよ」


「でもお金の請求は、廉人さんでお願いしますね」


私はほほ笑んだ


「あ…じゃ、あんまサービスは、しないほうがいいのか? サービスしても、オーナーの懐から出るんじゃ、利益はあまりなし?」


私は声を出して笑った


「おれは雅人」


茶色の髪に、紺色のスーツを着ている人が、自己紹介をしてくれる


「おれは俊だよ」


もう一人も名刺を渡してくれた


オレンジジュースが、私の前に置かれた


「え? 酒じゃなくていいの?」


ボーイさんのような人に、雅人さんが声をかけた


「オーナーの指示ですから」


「あっそ」


「私、未成年ですから」





廉人さんはオーナーでもあり、ホストでもあった


店についてから2時間、休む暇もなくホールに出て、接客をしていた


私はそれを眺めながら、入れ替わり、立ち替わりくる


ホストの男性たちを、会話をした


緊張するし、無言で下を向きそうになる自分に、活を入れながら…必死に、格好良い女を勉強し、演じた


果恋ちゃんの言うとおり、廉人さんは外っ面がいい


優しくて、女性の喜ぶしぐさや、言葉を知っている


そして絶妙のタイミングで、女性の嬉しがる言動をするのだ


それに喜ぶ女性の笑顔で、とても素敵で私は、恋をしている女性の美しさに目を奪われていた



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