果恋の研究
「うっわ~。すべすべになるんですね~」
エステが終わると、自分の腕を触って、声をあげた
受付では、廉人さんがエステ嬢といちゃいちゃしながら、会計を済ませていた
「一週間のコースで、30万になります」
30万ですか?
金額に私はちょっと、動揺する
でも廉人さんは、とくに気にするわけでもなく、カードで支払っていた
「じゃ、今夜、連絡するから」
爽やかな顔をして、エステ嬢に手を振った
一度店の外に出ると、私は大きな声を出す
「なんだよ?」
「ちょっと忘れ物~」
笑顔で廉人さんの肩を叩くと、私はエステの店へと戻った
受付にいる女性が、笑顔で出迎えてくれた
「質問なんですけど」
「はい?」と受付の女性が首を傾げた
「良い女の定義を教えてください」
「は?」
「あ…勉強中なんです。だから、知りたくて」
受付の女性は、勝ち誇った顔をした
たぶん、廉人さんに相手にされていない子とでも、目に映ったのかもしれない
どんな風に思われようと、私の目標はパーティで、麗華さんを驚かせることだ
今の恥は、一時のもの
我慢、がまん
「そうね。男にどれだけ貢いでもらえるかってことじゃない?」
「ありがとうございます」と、私は頭を下げると、エステ店を出て行った
「忘れ物って何だ?」
店の前で待っていてくれた廉人さんが、不機嫌そうに口を開いた
昨日とは違う…苛々だ
どうしたのだろう?
「ちょっと、聞き忘れたことがあって」
「何を?」
「それは…言えません」
「何で?」
「女同士の秘密です」
私は廉人さんの前を歩いて、車に向かった
「制服で、廉人さんの店はまずいですよね? あ…でも、マニアには喜ばれます? お客さんは女性客だから、制服でも関係ないか」
私は車の中で、着ている制服に目を落とした
「服、買うか?」
「ん~、どっちでも。店にいるのに、ご迷惑になるなら。服を買おうかな」
「わかった」
廉人さんは、洋服を買いに、車を走らせてくれた
ブランド店を回り、3店目でやっと気にいったデザインがあったと言い、買ってもらった
本当はどんな服でも良いけど、少し振り回すのも良い女の鉄則?…な気がしてきた
よくわからないけ…廉人さんの反応を見つつ、勉強をしている私です