良い女講座
「お姉ちゃん、五月蠅い」
妹の紫音が冷たい言葉を吐きだした
寝ぼけているのか、寝言なのか
廉人さんには気づいていないようだ
「これからパーティまで、花音さんを預かっても良いですか?」
「はい?」
私は飛び起きる
今度は廉人さんが、ぶつからないように、廉人さんが体を避けてくれた
「いいんですか?」
母親の目が輝く
え? 反対してくれないの?
私はこれから6日間、廉人さんのマンションにお泊りすることになった
服は廉人さんが用意するからと、私はパジャマのまま、車に乗り込み
廉人さんのマンションへと連れて行かれた
嘘…だって…え?
私、廉人さんと同棲するってこと?
「昨日、あれから一晩、考えたんだけどな。ただあんたを綺麗にしただけじゃ…麗華を見返せないと思うんだ。綺麗になって俺の隣を歩いていても、麗華にすぐにバレる。恋人同士じゃなくて、間に合わなくて、果恋の兄貴に頼んだってな」
「だからって、一緒に暮らすって…」
「俺は夜の仕事をしている。放課後に会って仕事までの時間一緒にいるっていっても、それなりに制限がある。日中は逆にあんたが、学校だろ? 一緒にいる時間を増やすには、同じ空間にいるのがベストだ」
「あと6日間ですよ?」
「どうにかするんだよ」
「できますかね?」
「お前がやるんだ。頑張るのはあんただ」
廉人さんの口調は怖いけど、約束したことを、守ろうとしている姿勢にはすごいなって感心しているんだ
有言実行って言葉があるけど、なかなかできないじゃない?
たとえ押し付けられた仕事でも、しっかりとこなしていこうとする姿勢が、私は羨ましく感じたの
「夜の仕事って? なんですか?」
「ホスト」
「え?」
なんかわかる気がする
廉人さんならきっと夜の世界で、ナンバー1になれるよ!
「だからホストだよ。店の経営者でもあるけど」
「す…凄いですね」
「別に。あり余る親父の金を貰って作った店だし。凄くも何でもねえよ」
「はあ…」
「その間抜けな返事は、今後一切するな」
「は…はい」
果恋ちゃんも、廉人さんもお金に執着せず、やるって決めたことは貫いて、尊敬しちゃうな
二人の傍にいるとなんだか、麗華さんのことを、見返せそうな気がしてくる
私も頑張れそうな気がしてくるよ