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キャンピングカーで始める異世界スローライフ  作者: まけない犬
死にたがりシスターと口の悪いメイド
5/15

キャンプ地

■ 本作について

本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案・執筆の大半を著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。


■ 活用の具体的な範囲

AIを活用しつつも、自己規範にのっとり、執筆であることは放棄しない方針です。

興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]


■公開済エピソートのプロットを公開中

「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。

https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/


■ AI活用の目的とスタンス

本作は 「AIを活用しつつ創作性を確保する」を模索する試みでもあります。

ただし、創作の主体はあくまで自分であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。

また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。

「いかん。さすがに深く入りすぎたか?」


 黒い森が続いていた。

 キャンプといえば森だし、この世界にそういった場所はいくらでもありそうだった。

 森に踏み込むまえに軽く覗いたときは、緑色の景色が広がっていて、木漏れ日のカーテンが俺を歓迎しているようにも見えた。


 木々も程よい密集具合で、車一台通れそうだったから、立ち入ってみた。

 それから十分か、二十分か。正確な時間はわからないが、のろのろと前に進んだ。


 エクラの走破性というのだろうか。

 草木や、木の根が張り廻った(めぐった)森の中を、ゆっくりだが確実に進んでいく感覚は、気持ちの良いものだった。


 しかし、しばらく運転を続けているうちに、急に不安になってきて、引き返そうかと思った。

 バックミラーに視線を向けると、いままで進んできたはずの道がなくなっていた。


 どういうことだって思うだろ?

 そう、俺はまさにいまそう思っているところなんだ。


 開けていたはずの森が、蓋をされたみたいに閉ざされている。


「俺は、ここまでどうやってきたんだよ?」


 そんな風にぼやいてみたところで現実は変わらない。


「まぁ、でも森ってこんな感じなのかな? 異世界だしな、多少はそういう所あるのかもな……」


 社畜の必須スキルは《あきらめ》である。

 別に悪いことばかりじゃないぜ。現状を受け入れて生き抜く、サバイバルテクニックでもあるんだ。


 帰り道は閉ざされているが、暗くて黒い方。先に進む道はまだ開けている。


「俺を誘ってんのか?」


 そんな考えがよぎるが、自意識過剰な気もした。


「こっちの方がまだ安全そうだな……」


 そう呟きながら《つぶやきながら》、左方向のウィンカーを点灯させた。

 ゲーム的に例えると、森林と樹海のバイオームが切り替わる(ふち)に俺は居る。その境目にそって移動できそうだった。


 そうやって進むこと十分ほど。不意に視界が開けた。

 湖だ。森に囲まれた、静かな湖畔。

 黒い方の森は相変わらず不気味だが、ここなら開けているし、水場もある。

 今日はここで一泊しよう、他の選択肢は頭に浮かばなかった。


「まずは焚き木(たきぎ)からだろう」


 九段下半蔵の初キャンプ。最初の仕事は火起こしだ。


 本来はテントの設営などから始まるのだろうが、寝床としてはキャンピングカーがある。


 実際、キャンパー達がどういう流れでやっているのか正確には知らない。

 必要な道具などは、ネットやキャンプ動画を参考に揃えて(そろえて)あるが、キャンプの手順までは、敢えて調べていない。


 毎朝六時に満員電車。昼十二時にワンコイン弁当。夕方五時に退勤を押す。

 あとは好きなだけサービス残業だが、ココにリミットはない。


 うんざりだった。


 自分の好きなことを、自分の好きなタイミングで――それがいま、俺のやりたいことだ。


「……おっ……おっ……おおっ! …………あれっ全然うまくいかないぞ!?」


 ファイヤースターターという道具を使ってみた。金属の棒と板を擦り合わせて火花を起こす仕組みらしい。


 新品の箱のまま持ち込んでいたから、ペラペラの説明書が一枚付属していた。

 記載通りに進めているはずなんだが、なかなか火は付かない。


 その辺りで拾った枯れ木を、同じくその辺りで拾った石で囲んで、かまどっぽく組んでみた。

 見よう見まねだが、形だけは焚き木(たきぎ)っぽい。


 金属を擦り合わせると、乾いた音とともに火花は散る。不良品ではないはずだ。

 だけど、いくら火花を散らしても枯れ木に火は付かない。燻ることすらなく、消えていく。


「あっちぃっ!」


 ときおり吹いてくる風で火花が跳ね返り、俺の手を襲った。

 ちゃんと、熱かった。


 汗が額を伝う。もう疲れた。そもそも、まともに火花を出すまでに三十分は掛かっていた。

 箱から出してすぐの時は、シャッシャッと音が鳴るだけで、何も起きなかった。


 何度も何度も挑戦するうちに、焦げた匂いを感じて……気持ち強く擦ることを意識した。

 そうすることで、火花を散らすことはできるようになったのだが、そこから前に進まないのだ、一向に。


「不便すぎるっ! やってられんっ!」


 ふと、ツールボックスの中にライターがあったことを思い出す。


「って、バカヤロウっ! キャンプ一発目だぞっ! 文明の利器に頼ってどうする!」


 ファイヤースターターも文明が生み出したものだが、それは考えないことにする。

 異世界一発目の火起こしは、自らの手で成功させないといけない。


 そう意気込みながら、おもむろにスマフォを取り出す。


「えーっと……焚き木(たきぎ)、ファイヤースターター……と」


 火起こしなんかより、よほど慣れた手つきで動画を検索する。

 なんなら音声認識だって使える。社畜のITスキルを舐める(なめる)なよ。


「ふんふん……あ……着火剤というのが必要なのか?」


 薪に直接着火はできないらしい。

 火種になる着火剤が必要で、薪の質も重要。その辺りで適当に拾ったものでは厳しいそうだ。


 ふと周囲を見渡す。

 湖の直径は数百メートルって所で、風呂(おけ)みたいな綺麗(きれい)な円形になっている。

 景色はいいんだが……そうか、水辺だもんな。

 散乱する枯れ木は湿気ている。火なんて起きるわけない。勉強になった。


「着火剤は買っておいた気がする」


 ここ数週間、ブラック企業での漆黒勤務の合間に、ショッピングサイトを巡っていた。

 キャンプデビューを目の前に、タガが外れたように、キャンプ用品を買いまくっていた。


 用途なんてよくわかってなかったが、キャンプインフルエンサーがおすすめしたものを片っ端から、欲しいものリストに登録していった。

 思えば爆買いによる現実逃避だったのかもしれない。きっとそうなのだろう。だが、異世界に飛ばされると事前に知っていたのなら、もっと色々ポチってたはずだ。


「ふんふん……ファットウッドを削る方法もある? あるぞ……それも買ってたぞ多分っ!」


 バラバラに届いたキャンプ用品だったが、無駄にデカい箱で届いたものがいくつかあった。

 そういった環境破壊的デカ箱に、他アイテムも詰めに詰め込んでエクラに乗せてある。


 箱をゴソゴソまさぐると、麻袋にまとめられた木片を見つけた。

 ヘアジェルみたいな着火剤もあるにはあったが、木を削ってみたい好奇心が勝った。


「あるぜ……ナイフもな……」


 本当はランボーみたいなデッカイナイフが欲しかったのだが、俺が住んでいた国には銃刀法というルールがある。

 ポリスメンに職質を受けた場合を想定し、「キャンプ用品です!」と自信もって言えるよう、できるだけ小ぶりのナイフを見繕った。


 なんて不自由な国なんだと思うこともあるが、ナイフを使うことなんて人生においてそうそうない。

 とはいえ、包丁の扱いはどうなってるんだよって思ったりもする。実際、デカめの包丁も持参していて、キッチン棚に納めてある。

 まぁ、定義とかルールとかはキチンとあるのだろう。もろもろ考慮に入れると平和で良い国だ。特別不満なんてなかった。


 異世界(こっち)に飽きたら、ホームシックにかかったりするのだろうか。

 少なくともいまはそんな気分ではない。


「えーっと、こうやって……細かく削って……」


 百均で買ったスタンドに立てかけたスマフォ。画面には二十秒程度で構成された、着火手順を説明する動画がループで流れている。

 数十回、繰り返し見て試すうちに「全然ダメ……」から「おしい!」に変わっていった。


「消えるなっ! 消えるなっ! 生きろっ!」


 そう叫びつつ、フーフーと息を吹きかけた。頭がクラクラする。


「うぉおおおおっっ!」


 おそらく顔は真っ赤だろう。

 肺が空になるほど息を吹きかけると、白い煙が立ち上り、炎が揺らめいた。


「やったっ! 着火た(ついた)ぞっ! やったっ!」


 もっと上手いやりかたはあるのだろう。だが、はじめてにしては上出来じゃあないか。

 俺は中腰の姿勢から、真後ろにドサっと倒れた。

 すこし湿り気のある、土の感触がいまは気持ちがいい。


「スー……ハー……スー……ハー……」


 空気を取り込もうと深呼吸をすると、燻った(くすぶった)薪の香りで肺が満たされた。

 (けむ)い……だが、悪くない感じだ。


「不便を楽しむってのは、こういうことか」


 キャンプ配信者がよく口にするフレーズだ。

 それが本質だろうなというのは、なんとなく理解できる。


「まだまだ修行が足りないってか」


 楽しいといえば楽しかった。だが、ほんのりと面倒くささを感じたのも事実だ。

 次はライターでいいんじゃないかって、身も蓋もないことが頭をよぎった。


『ファイヤースターターの使い方、解説します。まずは、着火剤を用意しましょう――』


 何度目のループだろうか、脇に置いたスマフォから、ファイヤースターターの使い方が流れてくる。

 復唱できるくらい聞いた気がする。次はもっと上手くやれるだろう。


「腹減った~……喉も乾いたなぁ……」


 大仕事を終えて、ようやく空腹を思い出した。

 食材も色々と用意してある、火もあるんだから、次は料理だろう――キャンプ料理の動画を流そうとスマフォに手を伸ばした。


「……ってっ! Wi-Fi(ワイファイ)繋がる(つながる)のかよっ!!」


 ずっと圏外のままだから通話は無理。だけど、ネット回線は生きてる。

 Wi-Fi(ワイファイ)ルーターは、エクラの中にあるからだろうか。

 

 俺の叫びは、木霊のように響いていた。

最後までお付き合いいただき、感謝です!

「いいね!」と思っていただけたら、高評価をいただけると嬉しいです!

今後の励みになりますので、もしよろしければ……!

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